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PERSON · 1853–1919

エドワード=オーギュスト・ピゲ

Edward-Auguste Piguet

オーデマ・ピゲ共同創業者。1875年にル・ブラッシュで興した工房を、商業の側から支えた時計師

BORN
1853年
DIED
1919年
MODELS
20 本
人物一覧と共通の時間軸 1690–2026
01 — OVERVIEW

概要

エドワード=オーギュスト・ピゲ(Edward-Auguste Piguet、1853-1919)はスイスの時計師・実業家で、1875年に幼馴染ジュール=ルイ・オーデマと共にオーデマ・ピゲを共同創業した。ヴァレ・ド・ジュー地方ル・ブラッシュ出身、時計師の家系に生まれている。1881年の共同経営契約以降は商業と財務を担い、販売網の構築に当たった。技術のオーデマ、商業のピゲ。この二人の分業が、創業から150年を経て今も創業家経営を続ける同社の原型となった。

02 — LIFE

生涯

A life in time

01時計師の家系に生まれて

エドワード=オーギュスト・ピゲは1853年、スイス・ヴァレ・ド・ジュー地方の村ル・ブラッシュに生まれた。時計師の家系に育ち、彼自身も時計師として育てられた一人である。冬は深い雪に閉ざされるこのジュラ山中の村では、農閑期に住民が自宅でムーブメント部品を仕上げる小工房の伝統が18世紀以来根づいており、若いピゲもこの環境のなかで職業の基礎を身につけている。

幼馴染にジュール=ルイ・オーデマ(Jules-Louis Audemars、1851-1918)がいた。オーデマもまた時計師の家系に生まれ、二人は同じ村で同様の職業教育を受けた。十代の途中で別々の道を歩んだ二人は、1870年代に再び結びつくことになる。

021875年、工房の開設

1875年、オーデマがル・ブラッシュに工房を構え、これが同社の創業年とされる。当時オーデマは複雑機構のムーブメントを各地のメーカーに供給しており、ピゲはムーブメントの調整に長けた時計師だったとされる。

オーデマの最初の工房とみられる1868年築の家屋は、現在もル・ブラッシュに残る。1881年12月17日、二人は正式に共同経営の契約書を交わし、商号「オーデマ、ピゲ&Cie」が翌1882年1月1日から効力を発した。ピゲは商業と財務の責任を負い、オーデマは自ら興した工房の運営を続けた。これが今日に至るブランドの法的な出発点である。

03商業の責任者として

1880年代から1890年代にかけて、オーデマ・ピゲは複雑機構の懐中時計に特化した小規模マニュファクチュールとして次第に名を上げる。同社は1882年にはロンドンとパリに販売拠点を持ち、ヴァシュロン・コンスタンタンやパテック フィリップ、ロンドンのデント、ニューヨークのティファニー、パリのカルティエといった流通網を持つ他社、ルツェルンのギューブランなどの小売店を通じて時計を届けた。ル・ブラッシュという辺境の村で作られる高価な時計を世界の都市に届けるための網を整えることが、商業を担うピゲの仕事であった。

04晩年と継承

第一次世界大戦下の経済混乱はオーデマ・ピゲにも打撃となった。共同創業者ジュール=ルイ・オーデマが1918年に没し、ピゲ自身も翌1919年に世を去る。創業の二人がほぼ同時期に亡くなったことで、経営は二代目に引き継がれた。ピゲの息子ポール=エドワール・ピゲと、オーデマの息子ポール=ルイ・オーデマが、それぞれの家系を代表して経営に加わり、戦間期の難局を乗り越えてゆくことになる。

03 — WORK

業績・代表作

What this person built

01工房の役割分担モデル

オーデマとピゲがル・ブラッシュで分担した仕事の構造は、現代の時計マニュファクチュール経営の原型のひとつとして見ることができる。一人が製造と技術を、もう一人が販売と経営を見るという二極の組織は、ヴァレ・ド・ジューの家内制小工房から脱した「会社」としての時計製造の始まりを示すものでもあった。

ピゲはムーブメントの調整を得意とした時計師でもあったとされ、製造の細部を知る人間が販売の側に回ったことになる。

02産業化に抗する選択

19世紀後半のスイス時計産業は、ジュラ山脈の周辺で急速な機械化と量産化に向かいつつあった。これに対して、オーデマとピゲは複雑機構付きの時計に軸足を置き続けた。当時の渓谷の製造は分業制(エタブリサージュ)で、同社は渓谷に散らばる小工房の仕事を取りまとめ、調整・仕上げ・組立を担う「ルパスール」を主に雇っていた。生産は1880年代の年約100本から1910年代の年約500本へと緩やかに増えたにとどまる。

このとき商業を担うピゲにとっての課題は、量を売らないビジネスモデルを成立させることだった。複雑時計という限られた市場に対し、適切な販売網と顧客層を見つける。ヨーロッパの宝飾商、アメリカの富裕層向け小売店との関係を築いてゆく作業のなかで、商品単価を高く保ったまま少量を捌くという、現代の高級時計ブランドの基本構造が組み上がっていった。

03黎明期の代表作と商業の働き

工房から世に出た時計のなかで、商業的にも歴史的にも重要なものが複数ある。1892年、オーデマ・ピゲは最初期のミニッツリピーター搭載腕時計のムーブメントをルイ・ブラント・エ・フレール(後のオメガ)に納めた。1899年に完成した「ユニヴェルセル」と通称される懐中時計は、1,000を超える部品で19のコンプリケーションを動かす当時屈指の超複雑時計である。エボーシュは、従兄弟で隣人でもあったルイ=エリゼ・ピゲの工房によるものである。

これらの時計はオーデマらの技術力の結晶であると同時に、ピゲ側の商業判断、すなわち「コンプリケーションの工房」というブランド像を市場に向けて発信する象徴的な商品でもあった。技術と商業が分業されていながら、最終的な時計のかたちのなかで両者が一体となっている。これが二人の創業者がオーデマ・ピゲに残した最大の遺産といえる。

04 — LEGACY

評価・後世への影響

What remains

エドワード=オーギュスト・ピゲの没後、経営は息子のポール=エドワール・ピゲと、共同創業者の息子ポール=ルイ・オーデマが共同で担うかたちで二代目に移った。両家の経営参加はその後も世代を継いで続いている。

ピゲ自身は表舞台で名を轟かせる時計師ではなく、ブランド名の片側に名前を残した経営者として、後の世代に直接の名声を残したわけではない。それでも、彼が組み立てた販売網と、量産化に向かう時代のなかで堅持された複雑機構重視の方針は、20世紀のオーデマ・ピゲの基層となった。

ル・ブラッシュには、創業期の家屋と1907年に建てられた建物が今も残り、博物館「ミュゼ・アトリエ・オーデマ・ピゲ」には1899年のユニヴェルセルなどが展示されている。

05 — WORKS

この人物が関わったモデル

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— — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 公式 The epic AP saga | AP Chronicles 公式 · Audemars Piguet · 2026.10.10 閲覧 Audemars Piguet · 2026.10.10
  2. 02 専門メディア ►► A Brief History Of Time: Audemars Piguet — Part One (1875-1967) 専門メディア · Fratello · 2026.10.10 閲覧 Fratello · 2026.10.10
  3. 03 専門メディア Audemars Piguet: A look back at 150 years of family-run history and milestones | Chronos Japan, a luxury watch magazine [webChronos] 専門メディア · webChronos · 2026.10.10 閲覧 webChronos · 2026.10.10