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Audemars Piguet · Royal Oak Concept · 2020

Audemars Piguet Royal Oak Concept Frosted Gold Flying Tourbillon Pink Gold / Blue

フロステッドゴールドを初めて纏ったコンセプト。2020年発表、38.5mm手巻きフライングトゥールビヨンのピンクゴールド仕様

26630OR.GG.D326CR.01は、2020年8月に発表されたロイヤル オーク コンセプト フロステッドゴールド フライング トゥールビヨンのピンクゴールド仕様である。コンセプトのケースとして初めてフロステッドゴールド仕上げを採用し、38.5mmのハンマード加工18Kピンクゴールドケースに手巻きCal.2964を搭載する。文字盤は大きさの異なる4枚の円盤を重ねた多層構造で、6時位置のフライングトゥールビヨンを起点に青のグラデーションが外周へ広がる。ホワイトゴールド仕様の26630BCと同時に登場した、ブティック限定の女性向けコンプリケーションである。

Ref. 26630OR.GG.D326CR.01
発表年 2020
状態 現行品
限定 通常生産
コレクション Royal Oak Concept
カテゴリ ラグジュアリースポーツ
キャリバー AP 2964
ケース径 38.5 mm
防水 20 m
関連人物 ジュール=ルイ・オーデマ / エドワード=オーギュスト・ピゲ / ジェラルド・ジェンタ
トゥールビヨン
01 — Specification

仕様

As of WatchBase sync · 2026.06.10
Case · ケース
素材 Pink Gold
形状 Other
38.5 mm
厚さ 11.9 mm
ガラス Sapphire
裏蓋 Open
防水 20 m
Movement · ムーブメント
キャリバー AP 2964
タイプ Handwound
振動数 21,600 bph
石数 17 石
パワーリザーブ 72 時間
Dial · 文字盤 / Hands · 針
文字盤色 Blue
インデックス None
Stick
i — Editorial

設計思想

Design philosophy

「実験室」が開いた小径の扉

ロイヤル オーク コンセプトは、ロイヤル オーク誕生30周年にあたる2002年、素材と機構の実験場として生まれたコレクションである。初代(Ref. 25980AI)は超硬合金アラクライト製の44mmケースを持ち、以後も大型で前衛的な男性向けモデルが系譜の中心を占めてきた。転機は2018年に訪れる。この年のSIHHでオーデマ ピゲは自社初のフライングトゥールビヨンを発表し、その受け皿のひとつとして38.5mmの小径コンセプトケースを新設した。宝石を敷き詰めたオープンワーク文字盤を持つ26227系である。26630OR.GG.D326CR.01は、この38.5mmプラットフォームの第2世代にあたる。

宝石から「仕上げ」へ

2018年の26227系が輝きの源をダイヤモンドやサファイアのセッティングに求めたのに対し、2020年の本機はそれを金属の表面加工そのものに置き換えた。採用されたフロステッドゴールドは、フィレンツェの伝統的な宝飾技法をジュエリーデザイナーのカロリーナ・ブッチが再解釈したもので、2016年にレディス ロイヤル オーク誕生40周年を記念して時計に導入された経緯を持つ。ダイヤモンド先端の工具で金の表面に無数の微細なくぼみを刻み、石を使わずに「ダイヤモンドダスト」のような煌めきを生む技法である。これがコンセプトのケースに適用されたのは本機が初となる。文字盤も宝飾的なオープンワークから一転し、大きさの異なる4枚の円盤を重ねた多層構造へと改められた。段差を持つ同心円の意匠はロイヤル オークとして初の試みとされる。

Cal.2964という再定義

搭載される手巻きCal.2964は本機のために用意された新キャリバーで、複雑機構の開発で知られるルノー・エ・パピ(APRP)が開発に関わったと伝えられる。26227系が備えていたパワーリザーブ表示は省かれ、機能は時・分とフライングトゥールビヨンのみに絞られた。表示を削ぎ落としたことで、文字盤は同心円の造形とトゥールビヨンの回転だけで構成される静かな画面になった。複雑機構を「誇示の対象」ではなく「意匠の核」として扱うこの構成こそ、宝飾系の前任から本機への最も大きな転換である。

同時発表機と後続

本機はホワイトゴールド仕様の26630BC.GG.D326CR.01と同時に発表され、いずれもブティック限定で展開された。プラットフォームはその後も命脈を保ち、2024年にはオートクチュールデザイナーのタマラ・ラルフと組んだ102本限定の派生(26630OR.GG.D626CR.01)が、2026年にはCal.2964を基に開発されたCal.2982を積むチタン製の後続が登場している。38.5mmコンセプトの方向性を決定づけた基準点として、本機の位置づけは年を追うごとに明確になりつつある。


ii — Editorial

意匠分析

Visual analysis

ケースは38.5mm×11.9mmの18Kピンクゴールド製で、八角形ベゼルとストラップへ一体的に流れ込むラグというコンセプト特有の造形を、小径のまま維持している。上面はすべてハンマード(フロステッド)加工で覆われ、ベゼルの面取りはミラーポリッシュ、側面はサテン仕上げと、3種の表情が稜線で切り替わる。ラグ上の3つの大きなファセットがベゼルの八角形を反復する構成は大型コンセプトから継承されたもので、光を乱反射する微細なくぼみと鏡面エッジの対比が、石を使わない宝飾表現の核になっている。リューズには半透明のサファイアカボションが据えられ、工具的な印象の強いコンセプトのリューズ周りを和らげている。

文字盤は径の異なる4枚の円盤を段状に重ねた多層構造である。6時位置のフライングトゥールビヨンを起点に、外周へ向かうほど明るくなる青のグラデーションが施され、各層にはサンレイ(放射)模様が刻まれる。インデックスは置かれず、12時のAPロゴと夜光塗料入りピンクゴールド製ロイヤル オーク針だけが時刻表示を担う。下から片持ちで支えられるフライングトゥールビヨンのキャリッジはオープンワークの同心円リングで構成され、中央にブリリアントカットダイヤモンドが添えられる。文字盤の円環モチーフがキャリッジまで連続する設計である。

シースルーバックから見えるCal.2964の仕上げも独特で、コート・ド・ジュネーブやペルラージュではなく、ハンマード地に同心円のレリーフを重ねた幾何学的な意匠が採用されている。外装、文字盤、ムーブメントが同じ円環の言語で統一されている点が本機の設計上の核心である。ストラップは「大スクエアスケール」型押しのブルーアリゲーターで、フロステッド仕上げのピンクゴールド製APフォールディングバックルが付く。光沢のあるブルーラバーストラップも付属し、20m防水という数値が示す通り、実用よりも装いに軸足を置いた仕様である。


iii — Editorial

系譜と歴史

Lineage

本機は2020年8月上旬、ホワイトゴールド仕様の26630BC.GG.D326CR.01とともに発表された。新型コロナウイルス流行で大規模見本市が相次ぎ中止された年であり、オーデマ ピゲが同年の新作群の一環としてオンラインで公開した形である。発表当初からブティック限定での展開とされ、限定本数は設けられていない。同じ2020年、オーデマ ピゲはオートクチュールデザイナーのタマラ・ラルフとの提携を開始し、彼女の2021年春夏プレタポルテコレクションに本機を含む時計を合わせて披露した。この関係は後の派生機につながる。2024年1月22日、パリ・オートクチュール・ファッションウィークのタマラ・ラルフのショーにおいて、本機と同じケースとCal.2964を用いた102本限定の「タマラ・ラルフ」エディション(26630OR.GG.D626CR.01)が発表された。ブラウンからブロンズ、ゴールドへと階調する多層文字盤を持つ、本機の直接の派生である。さらに2026年5月21日には、AMBUSHのYOONとVERBALとの協業による38.5mmチタンケースのフライングトゥールビヨン(150本限定)が登場した。搭載されるCal.2982はCal.2964を基に開発されたと伝えられ、本機が確立した小径コンセプトの設計が次世代へ受け継がれたことを示している。生産期間中の仕様変更は確認されておらず、2026年6月時点で公式サイトに製品ページが維持されている。生産終了の告知も確認できない。

02 — Derivatives

同型・派生 Ref

Color · material · bracelet variants