GMT
グリニッジ標準時を語源とし、24時間で一周する針とベゼルで複数の時間帯を読む複雑機構
- INVENTOR
- ロレックス
- YEAR
- 1954
- CLASS
- 時刻表示 · 時間表示拡張
- 搭載モデル
- 48 本
概要
仕組み・原理
24時間針
GMTウォッチは、通常の時針と分針に加えて、24時間で文字盤を一周する針を持つ。通常の時針は12時間で一周するため午前と午後を区別しないが、24時間針は1日かけて一周するので、昼か夜かを読み分けられる。GMTの名はグリニッジ標準時に由来するが、24時間針が常にグリニッジの時刻を示すわけではなく、使う人が選んだ時間帯に合わせて用いる。
ベゼルと第3の時間帯
多くのGMTウォッチは、24時間目盛りのベゼルを併用する。回転するベゼルを備えた時計では、ベゼルを回して目盛りをずらすことで、24時間針の指す位置から第3の時間帯を読み取れる。SJXは、チューダーのブラックベイGMTについて、両方向に回るベゼルとの組み合わせで3つの時間帯を追えると書いている。
オフィスGMTとトラベラーGMT
Monochromeは、GMTウォッチを大きく2つの方式に分けている。一つは「オフィスGMT」または「コーラーGMT」と呼ばれる方式で、24時間針を単独で動かせる。もう一つは「トラベラーGMT」または「トゥルーGMT」と呼ばれる方式で、現地の時針を単独で動かせる。時間帯を越えて移動するとき、トラベラーGMTでは時計を止めずに現地の時刻だけを合わせられる。
両者の違いは、文字盤の見た目では分かりにくい。たとえばMonochromeによれば、セイコー5スポーツのフィールドGMTに載るキャリバー4R34は、赤い24時間針を1時間ずつ単独で動かすオフィス式である。これに対し、ミヨタ9075は、時計を止めずに現地の時針を単独で動かせるトゥルーGMTのムーブメントである。
歴史
グリシン・エアマン
Monochromeによれば、大陸間の飛行が広がって人々が時間帯を頻繁に越えるようになると、パイロットや旅行者は本国と現地の時刻を同時に知る必要に迫られた。最初のGMTウォッチの創出は、しばしば小さなブランドのグリシンに帰せられる。1953年のエアマンは、24時間の回転ベゼルと24時間表示の文字盤によって、2つの時間帯を同時に追うことができた。
ロレックスのGMTマスター
Monochromeによれば、この種の時計を広めたのは、パンアメリカン航空のパイロットのために構想されたロレックスのGMTマスターで、このジャンルを定義し、いまも手本となっている。最初のRef.6542の登場年は資料によって1954年と1955年に分かれ、Monochromeは2024年の記事で、ロレックスの現在の年表に従って1955年としている。SJXも1955年の登場とし、昼と夜を赤と青で塗り分けたベゼルを特徴に挙げている。同誌によれば、壊れやすいプレキシガラスだったベゼルは1959年に陽極酸化アルミニウムの挿入板に替わり、同じ年にGMTマスターはパンアメリカン航空の公式の時計となった。
GMTマスターII
Monochromeによれば、1982年にGMTマスターIIのRef.16760が登場した。キャリバー3085によって時針と24時間針の結びつきが解かれ、時針を単独で動かせるようになった。同じ機構は1985年にエクスプローラーIIにも与えられている。SJXによれば、2005年に初めてセラクロムのベゼルを得たGMTマスターIIには、キャリバー3186が採用された。
広がり
その後、GMTの機構は多くのブランドに広がった。近年は、ミヨタ9075のようにトラベラーGMTの機能を持つ比較的手頃なムーブメントも現れている。Monochromeによれば、2020年に登場したバルチックのアクアスカーフGMTはソプロッドのオフィスGMTを使っていたが、2026年のMK-IIではミヨタ9075を採ってトラベラーGMTとなった。
代表的な実装
ロレックスのGMTマスターとGMTマスターIIは、GMTウォッチの代表として知られる。Monochromeは、GMTマスターをどのブランドのものと比べても最も象徴的な旅行者の時計の一つと評している。
チューダーのブラックベイGMTは、自社製のキャリバーMT5652を積む。SJXによれば、第2時間帯の機能はモジュールではなく地板に組み込まれ、現地の時針を1時間ずつ単独で動かせる、本来の意味でのGMTである。
手頃な価格帯では、セイコー5スポーツのフィールドGMT(キャリバー4R34)が24時間針を単独で動かすオフィス式、ミヨタ9075を積む時計がトラベラー式という具合に、同じGMTでも方式が分かれる。購入や比較の際には、どちらの針を単独で動かせるのかを確かめることが大切である。
この機構を搭載する 48 本のモデル
出典
本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。
- 01 公式 GMT-Master II - Rolex
- 02 専門メディア In-Depth: The History of the Rolex GMT-Master and GMT-Master II
- 03 専門メディア Introducing: New, Earthy Colourways for the Seiko 5 Sports Field GMT Series
- 04 専門メディア Introducing: The Baltic Aquascaphe GMT MK-II, Now a True GMT and More Accessible
- 05 専門メディア Technical Guide - The Difference Between Office GMT and Travel GMT Watches
- 06 専門メディア In-Depth: The Rolex Oyster Perpetual GMT-Master II, Materials and Mechanisms
- 07 専門メディア Up Close with the Tudor Black Bay GMT