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Rolex · GMT-Master · 1989–2007

GMT-Master II 16710 Coke

GMTマスターII初代の赤黒を受け継ぎ、1989年から2007年まで作られた、現時点で最後のコークGMT

Ref. 16710は、1989年に登場したロレックスGMTマスターIIの第2世代である。本ページはそのうち、赤黒ベゼルの通称「コーク」仕様を扱う。40mmのステンレススチールケースに、時針だけを1時間刻みで動かせるCal.3185を収める。ケースは先代16760より薄くなり、標準的なオイスターの姿に戻った。赤黒は16760が唯一備えた配色で、16710では青赤、黒と並ぶ3択の一つとなる。2007年の生産終了以後、ロレックスは赤黒ベゼルのモデルを発表しておらず、本機は2026年時点で最後のコークにあたる。

Ref. 16710 Coke
発表年 1989
状態 生産終了
限定 通常生産
コレクション GMT-Master
カテゴリ GMT
キャリバー 3185
ケース径 40 mm
防水 100 m
関連人物 ハンス・ウィルスドルフ
GMT デイト
01 — Specification

仕様

As of WatchBase sync · 2026.09.21
このモデルを比較する
Case · ケース
素材 Stainless Steel
形状 Round
径 40 mm
厚さ 11 mm
ガラス Sapphire
裏蓋 Closed
防水 100 m
Movement · ムーブメント
キャリバー 3185
タイプ Automatic
振動数 28,800 bph
石数 31 石
パワーリザーブ 50 時間
Dial · 文字盤 / Hands · 針
文字盤色 Black
インデックス Stick / Dot
針 Mercedes
i — Editorial

設計思想

Design philosophy

1. 赤黒で始まったGMTマスターII

GMTマスターIIの歴史は、赤黒のベゼルから始まる。初代Ref. 16760は時針を単独で動かせる新機構を備えながら、ベゼルは赤黒の一種しか用意されなかった。青赤のペプシが1955年以来GMTマスターの顔であったことを思えば、新しい機構の登場を別の配色で示したとも読める。

1989年、後継のRef. 16710が登場し、ベゼルは赤黒、青赤、黒の3択となった。本ページが扱うのは、このうち初代の配色を受け継いだコーク仕様である。

2. 二つのGMTが並んだ時代

16710の登場後も、ロレックスは時針連動式のGMTマスターRef. 16700を併売した。両者のケースはほぼ同じ輪郭で、16700の標準ベゼルは青赤と黒の2種だった。赤黒は16700の標準仕様に含まれておらず、二つを並べれば「II」の側にだけ現れる色だったことになる。

時針が単独で動くという違いは、リューズを操作しなければ分からない。文字盤の「II」の二文字を除けば、赤黒のインサートは両者の差を外から伝える数少ない手がかりであったと言える。やがて16700が生産を終えると、青赤と黒もGMTマスターIIだけの選択肢となり、赤黒は三つの配色の一つへと位置を変えた。

3. インサート一枚が決める「コーク」

コークは正式名称ではない。赤と黒の配色が清涼飲料のロゴを連想させることから広まった愛称で、Ref番号は3種のベゼルで共通の16710である。インサートは付け替えができるため、同じ個体が生涯のうちにペプシにも黒にもなりうる。

つまり16710におけるコークとは、ケースやムーブメントではなく、アルミのインサート一枚に宿る個性である。専門のデータベースや販売記録は「16710 Coke」を独立した項目として扱う。この一枚の違いが、コレクターの間で識別の単位として定着していることの表れである。

4. 最後の赤黒

2007年の後継Ref. 116710LNは、オールブラックのセラクロムベゼルのみで登場した。赤黒は引き継がれなかった。赤をセラミックで安定して発色させるのは難しいとされる。青赤の実現でさえ、2014年のホワイトゴールド版Ref. 116719BLROを待った。

その後、赤黒のセラミック部品の製法を記したロレックスの特許出願が公開され、コーク復活の観測が広がった。しかし2026年4月のWatches and Wondersで、ステンレスのペプシRef. 126710BLROはカタログから外れた。代わりとなる赤黒も発表されていない。赤黒ベゼルを標準で備えたGMTマスターIIは、2026年9月時点で16760と本機に限られる。16710のコークは、アルミインサート時代の終点であり、いまのところ最後の赤黒でもある。


ii — Editorial

意匠分析

Visual analysis

ケースは40mm径の904Lステンレススチールで、先代16760から直径を変えずに薄くなった。新しいCal.3185が先代のCal.3085より薄かったためである。リューズガードとラグも細身に改められ、同時代のサブマリーナに近い輪郭へ戻っている。リューズはツインロックのねじ込み式で、防水は100m。後継116710LNはトリプロックへ移行したが、防水値は据え置かれた。風防はサファイアで、3時位置の日付をサイクロップレンズが拡大する。前期のケースはラグにバネ棒用の貫通穴を持ち、ブレスの着脱が容易だった。

ベゼルは1周120クリックの両方向回転式で、陽極酸化アルミのインサートを嵌める。後継116710LNは1時間刻みの24クリックへ改めており、細かい刻みで回せる点はこの世代の特徴である。コークのインサートは先代16760と部品番号を共有するとされ、配色だけでなく部品の上でも初代の系譜に連なる。黒い半周は文字盤の黒と地続きになり、赤い半周だけが浮かぶ。赤い矢じりのGMT針がその赤と呼応し、青赤のペプシに比べて落ち着いた印象を与える。アルミは紫外線で退色するため、赤の褪せ方は個体ごとに異なる。

文字盤は黒で、夜光をホワイトゴールドの縁で囲んだ丸・バー・三角のインデックスに、メルセデス針の時針を組み合わせる。後期のスティックダイヤルでは、「GMT-MASTER II」のIIを挟むセリフが省かれ、字面がわずかに軽くなった。

Cal.3185は毎時28,800振動 (4Hz)、31石の自社製クロノメーターである。リューズ操作で時針だけを1時間刻みで進退でき、日付もこれに連動する。24時間針をホームタイムに残したまま現地時刻へ合わせられ、ベゼルを併用すれば三つ目の時間帯も読める。生産末期のCal.3186は、青いパラクロム・ヒゲゼンマイで耐磁性と耐衝撃性を高めた。時刻合わせの際の24時間針の遊びも抑えられたとされる。

ブレスは3連のオイスターと5連のジュビリーが用意された。後年のソリッドエンドリンク化で継ぎ目の剛性が増した。生産後期のオイスターには、安全装置付きのオイスターロック・クラスプが組み合わされている。


iii — Editorial

系譜と歴史

Lineage

Ref. 16710は1989年、GMTマスターII初代Ref. 16760の後継として登場した。WatchBaseは生産開始を同年4月と記録する。ロレゾールのRef. 16713、18金イエローゴールドのRef. 16718と同世代にあたる。ステンレス仕様の本機は、赤黒、青赤、黒の3種のベゼルと、オイスターまたはジュビリーのブレスから選べた。時針連動式のGMTマスターRef. 16700とは、およそ10年にわたり併売されている。

初期の文字盤はトリチウム夜光で、6時位置に「SWISS - T<25」と刷られた。1998年前後に夜光がルミノバへ替わり、表記は「SWISS」のみとなる。移行期には、T<25表記のままルミノバを載せた文字盤もあったとされる。2000年頃にはスーパールミノバへ移り、表記は「SWISS MADE」に改まった。同じ2000年頃、ブレスのエンドリンクが中空からソリッドへ変わっている。

2003年頃には風防の6時位置に王冠マークのレーザー刻印が入り、同時期のY番後期からラグの貫通穴が廃止された。2000年代半ば以降の生産末期には、文字盤の「II」の書体を改めた通称スティックダイヤルが現れる。2007年頃、Z番後期からM番のシリアルを持つ個体では、ムーブメントがCal.3186へ切り替わった。コーク仕様にも、この二つを併せ持つ個体が報告されている。

2007年のバーゼルワールドで後継Ref. 116710LNが発表され、16710は約18年の生産を終えた。2008年の日付を持つ個体も確認されており、出荷は翌年まで続いたとみられる。なおWatchBaseは生産終了を2005年と記録する。しかし上記の2007年前後の個体が存在することから、本稿は専門メディアの大勢に従い2007年を終期とした。


Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 報道 A Brief History of the Rolex GMT-Master 報道 · The Rake · 2026.10.11 閲覧 The Rake · 2026.10.11
  2. 02 専門メディア Rolex 16710 Coke : GMT-Master II 16710 Coke 専門メディア · WatchBase · 2026.10.11 閲覧 WatchBase · 2026.10.11
  3. 03 オークション Rolex Ref. 16710 GMT Master II “Coke” オークション · Phillips · 2026.10.11 閲覧 Phillips · 2026.10.11
02 — Derivatives

同型・派生 Ref

Color · material · bracelet variants