用語 / TERM · Hairspring
ヒゲゼンマイ
テンプに弾性復元力を与え、振動周期を一定に保つ渦巻きばね。機械式時計の精度を決定づける調速部品
ヒゲゼンマイ(Hairspring、テンプ髭)とは、テンプ軸に内端を、受け側に外端を固定した極細の渦巻きばねで、その弾性復元力とテンプの慣性によって振動周期を一定に保つ調速部品である。機械式時計の精度を最終的に決定づける中核要素である。
クリスチャン・ホイヘンスが1675年に発表したのが起源とされるが、英国のロバート・フックも先行を主張しており、発明の優先権には議論がある。1795年にはアブラアン・ルイ・ブレゲが最外周を持ち上げて同心円振動させる「ブレゲひげ(オーバーコイル)」を考案し、等時性を大きく改善した。
素材は鉄・スチールに始まり、20世紀初頭のエリンバーを経て、1933年にラインハルト・シュトラウマンが完成させた温度補正合金Nivaroxが現在も機械式時計の主流となっている。2000年代以降は耐磁性向上を目指した新素材が広がり、ロレックスのパラクロム(2000年)、セイコーのSPRON 610(2009年)、ユリス・ナルダンを起点にパテック フィリップ、ブレゲ、オメガ、チューダー等が採用するシリコン製、スウォッチ グループのNivachronなどが代表例である。