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CALIBER · Omega

9900

自動巻 Automatic Analog クロノグラフ デイト Chronometer Co-Axial Escapement

2016年、オメガ初のマスター クロノメーター認定クロノグラフ。コラムホイールとコーアクシャル脱進機を統合した自社製自動巻

振動数
28,800 vph · 4 Hz
パワーリザーブ
60 時間
石数
54 石
Cal. 9900
movement · 9900 図: ムーブメント — WatchBase
01 — OVERVIEW

概要

Cal. 9900は、オメガが2016年のバーゼルワールドで発表した自社製自動巻クロノグラフキャリバーである。2011年登場のCal. 9300を基礎とし、スイス連邦計量・認定局(METAS)が認証するマスター クロノメーター認定を、同社のクロノグラフとして初めて取得した。28,800vph (4Hz)、54石、直列2香箱による60時間のパワーリザーブを備え、コラムホイール、垂直クラッチ、コーアクシャル脱進機、Si14シリコン製ヒゲゼンマイを統合する。初搭載はシーマスター プラネットオーシャン 600M クロノグラフで、スピードマスター レーシング、シーマスター ダイバー300M クロノグラフへと展開された。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerOmega
Reference9900
TypeAutomatic(自動巻)
DisplayAnalog
Frequency28,800 vph (4 Hz)
Jewels54 石
Power reserve60 h
HandsHours, Minutes, Small Seconds
DateDate
ChronographChronograph, Column wheel
AdditionalChronometer, Co-Axial Escapement
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 前身Cal. 9300という出発点

Cal. 9900の系譜は、2011年のバーゼルワールドに遡る。この年オメガは、スピードマスター コーアクシャル クロノグラフRef. 311.30.44.51.01.002とともに、同社初の自社製クロノグラフキャリバーCal. 9300を発表した。1999年のCal. 2500でコーアクシャル脱進機を量産化し、2007年のCal. 8500で3針の自社製基幹機を確立したオメガにとって、クロノグラフは残された大きな空白であった。

Cal. 9300は14リーニュ級の新設計とされ、Cal. 8500を流用したものではないと伝わる。コラムホイール、垂直クラッチ、直列2香箱、シリコン製ヒゲゼンマイという構成は、この段階ですでに完成していた。認定はCOSCのクロノメーターであり、組み立ては当初、スウォッチ グループ傘下ETAの専用ラインで行われていたと報じられている。

2. マスター クロノメーターへの移行

転機は2015年である。オメガはグローブマスターのCal. 8900で、METASと共同で策定したマスター クロノメーター認定を導入した。精度に加え、15,000ガウスの耐磁性や完成時計としての性能を問う新基準である。

翌2016年、Cal. 9300の設計を受け継ぎつつ、この基準に適合させたのがCal. 9900である。初搭載はシーマスター プラネットオーシャン 600M マスター クロノメーター クロノグラフで、オメガのクロノグラフとして初めてMETAS認定を得た。金無垢ケース用のCal. 9301も、同時にセドナゴールド製ローターを持つCal. 9901へ移行している。基本レイアウトを保ったまま耐磁化と認定取得を果たした点に、この世代交代の性格がある。

3. 派生と展開

Cal. 9900は、その後オメガのスポーツクロノグラフの基盤となった。2017年にはスピードマスター レーシング マスター クロノメーターに採用され、シーマスター ダイバー300Mにもクロノグラフ版が加わった。2024年末に登場したスピードマスター パイロットは40.85mmケースに本機を収め、2025年にはダーク サイド オブ ザ ムーンもCal. 9900仕様へ更新されたと伝わる。

手巻化した派生も生まれた。2021年のスピードマスター クロノスコープに用いられたCal. 9908は自動巻機構を省き、厚みを約1.2mm削っている。スピードマスター '57の手巻Cal. 9906も同系統に属する。2023年にはヒゲゼンマイの新調整機構スピレート システムを備えたCal. 9920が、スピードマスター スーパーレーシングで登場した。

4. 業界での位置

コラムホイールと垂直クラッチを備えた一体型自動巻クロノグラフは、2000年代以降、ロレックスのCal. 4130をはじめ各社の自社製機で採られてきた構成である。そのなかでCal. 9900の個性は、12時間計と60分計を一つのサブダイヤルに同軸で表示する読み取り設計と、コーアクシャル脱進機を組み合わせた点にある。独立して動かせる時針も備え、旅行時の時差調整を想定した実用機としての性格が強い。

04 — LINEAGE

キャリバーの系譜

Predecessors & derivatives
05 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

基本構成と数値

Cal. 9900は、直径32.5mm、厚さ7.6mmとされる自動巻クロノグラフである。振動数は28,800vph (4Hz)で、テンプは1秒間に8回振動する。振動数が高いほど、姿勢変化や衝撃による乱れが時間表示へ及ぼす影響は相対的に小さくなる。石数は54石、パワーリザーブは60時間である。表示は中央の時・分・クロノグラフ秒針、9時位置のスモールセコンド、12時間計と60分計、日付で構成される。

コーアクシャル脱進機

脱進機は、ゼンマイの力を一定の間隔で解放し、テンプに衝撃を与える機構である。英国の時計師ジョージ・ダニエルズが考案したコーアクシャル脱進機は、3層構造のガンギ車とアンクル、テンプの振り座を組み合わせる。一般的なレバー脱進機がアンクルの爪石とガンギ車の歯の滑り摩擦で力を伝えるのに対し、コーアクシャルは押し出すような接触で力を伝える。滑り摩擦が減るため、注油の劣化に左右されにくく、長期の精度安定に寄与するとされる。

テンプとヒゲゼンマイ

テンプはフリースプラング方式で、緩急針を持たない。歩度の調整はテンプの外周に設けた偏心ウェイトで慣性モーメントを変えて行う。ヒゲゼンマイはテンプの往復運動を司る渦巻状のバネで、本機ではオメガがSi14と呼ぶシリコン製を用いる。シリコンは非磁性で軽く、温度変化による特性の変動も小さい。耐震装置にはニヴァショックが採用されている。

耐磁性の考え方

本機は15,000ガウス(1.5テスラ)の磁場に耐える。軟鉄製のインナーケースでムーブメントを囲う従来の手法ではなく、ヒゲゼンマイや脱進機など磁気の影響を受けやすい部品そのものを非磁性素材で構成する点に特徴がある。そのため、シースルーバックとの両立が可能となった。

香箱と巻き上げ

動力源は直列に連結した2つの香箱である。直列配置はゼンマイの総延長を伸ばし、巻き始めから巻き終わりまでのトルク変化を穏やかにする効果を持つ。ローターは両方向巻き上げ式で、どちらに回転してもゼンマイを巻き上げる。

クロノグラフ機構

クロノグラフの発停とリセットは、円柱状の歯車であるコラムホイールが統御する。オメガが本系統のために独自形状で設計したと伝わる。計測輪列の連結には、摩擦ディスクで上下方向に動力を伝える垂直クラッチを用いる。水平に歯車を噛み合わせる方式に比べ、スタート時の秒針の跳ねが起きにくく、長時間作動させても計時精度への影響が小さい。12時間計と60分計は3時位置の一つのサブダイヤルに同軸で配置され、経過時間を時計の針と同じ感覚で読み取れる。

タイムゾーン機能

時針はリューズ操作で1時間単位に前後へ独立して動かせる。分針と秒針を止めずに時差を合わせられ、時針が午前0時をまたぐと日付も前後に連動する。この機構が日付の早送り機能を兼ねている。

仕上げと認定

受けやローターはロジウムメッキで仕上げられ、アラベスク状に展開するジュネーブウェーブ(コート・ド・ジュネーブ)が施される。金無垢ケース用のCal. 9901では、ローターとテンプ受けが18Kセドナゴールドとなる。

認定はマスター クロノメーターである。COSCのクロノメーター認定を経たムーブメントを、METASが定める8項目の試験にかける。試験はケーシング後の完成時計で行われ、日差0〜+5秒の精度、15,000ガウスの耐磁、パワーリザーブ、防水性などを確認する。

06 — CARRIERS

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

This caliber appears in 1 references
07 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

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