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CALIBER · OMEGA

2500

自動巻 Automatic Analog

1999年、ダニエルズのコーアクシャル脱進機を世界で初めて量産化した、オメガの転換点キャリバー

2500
movement · 2500
図: ムーブメント — WatchBase
OVERVIEW · 概要

Cal. 2500は、ETA 2892-A2をベースにオメガが1999年に発表した自動巻キャリバーである。ジョージ・ダニエルズ博士の発明した「コーアクシャル脱進機」を、世界で初めて量産時計に組み込んだムーブメントとして時計史に名を残す。直径25.6mm、27石、毎時28,800振動(C世代以降は25,200振動)、パワーリザーブ48時間。COSC認定クロノメーター。初搭載はデ・ヴィル コーアクシャル Ref. 5931.81.00であり、後にシーマスター・プラネットオーシャン、アクアテラ等の主要ラインに展開された。2007年のCal. 8500登場まで、オメガの基幹ムーブメントを担う。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerOmega
Reference2500
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency25,200 bph (3.5 Hz)
Jewels27 石
Power reserve48 h
Movement ⌀25.6 mm
HandsHours, Minutes, Seconds
DateDate
AdditionalCo-Axial Escapement, Chronometer
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. ジョージ・ダニエルズの構想

コーアクシャル脱進機の発想は、1970年代の英国に遡る。マスターウォッチメーカー、ジョージ・ダニエルズは、長年機械式時計を悩ませてきた「脱進機の油切れ」問題に着目した。レバー脱進機は構造上、ガンギ車の歯がアンクルの爪石を滑らせる「滑り摩擦」によってエネルギーを伝達するため、潤滑油が必須となる。しかし油は時間とともに劣化し、定期的なオーバーホールでの交換が避けられない。

ダニエルズが構想したのは、摩擦そのものを根本的に減らす脱進機であった。1974年から1975年にかけて、彼は自身のオメガ・スピードマスター Mark 4.5(Cal. 1045)を改造し、世界初のコーアクシャル腕時計プロトタイプを製作する。この時計は現在、ビールのオメガ博物館に収蔵されている。

ダニエルズは当初、ロレックスやパテック フィリップなど複数のスイスブランドに本機構を売り込んだとされるが、量産化に踏み切るブランドは現れなかった。コーアクシャル脱進機は構造が複雑で、従来比で高精度の製造設備を要求する。レバー脱進機で十分という保守的な空気のなか、1980年に特許を取得した後も実用化の機会は長く訪れなかった。

2. オメガとの協業

転機は1990年代に訪れる。1993年、スウォッチ・グループ会長ニコラ・G・ハイエックの後押しのもと、オメガはダニエルズからコーアクシャル脱進機の特許権を取得した。同じグループ傘下のETAとニヴァロックスFARが製造面で協力する体制が整い、量産化への道筋がついた。

オメガは、当時の基幹自動巻Cal. 1120(装飾版ETA 2892-A2)をベースに開発を進める。既存ムーブメントの狭いスペースに新脱進機を収めるには、テンプとアンクル周辺の輪列を再設計する必要があった。開発は6年に及び、1999年のバーゼルワールドで満を持して発表される。

3. デ・ヴィルでのデビュー

初搭載モデルは、新生「デ・ヴィル コーアクシャル」Ref. 5931.81.00となった。イエローゴールド999本、ローズゴールド999本、プラチナ99本という限定シリーズで、ダニエルズ自身の監修のもとリリースされたと伝わる。「実用的な新脱進機としては約250年ぶり」というメッセージは、業界に大きな衝撃を与えた。

4. 4世代の改良とCal. 8500への継承

Cal. 2500は、A・B・C・Dの4世代にわたって段階的に改良される。初代2500Aは衝撃保護機構の不足から信頼性に課題を抱え、生産期間は比較的短期に留まった。2003年の初代アクアテラに搭載された2500Bでは部品素材の見直しが施され、続く2500Cでプラネット・オーシャンに採用される段階で、振動数が28,800vphから25,200vphへ引き下げられた。これは部品摩耗を抑え、サービス周期を延ばすためのオメガの判断と伝わる。最終世代の2500Dは3層構造のガンギ車を採用し、後のCal. 8500の設計思想に最も近づいた世代となる。

2007年、オメガは「コーアクシャル脱進機を中心に最初から設計された自社開発キャリバー」Cal. 8500を発表する。Cal. 2500は基幹ムーブメントの座をこれに譲ったが、ボリュームゾーンのラインには2010年代前半まで搭載され続けた。外部ベースからフル自社開発へと至る過渡期を象徴する存在として、コーアクシャル革命の起点として、Cal. 2500は時計史に刻まれている。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

Cal. 2500は、ETA 2892-A2をベースに、オメガがジョージ・ダニエルズ博士の発明したコーアクシャル脱進機を組み込んだ自動巻キャリバーである。直径25.6mm、デイト機能を備えた中型ムーブメントとして設計される。

脱進機:時計史250年ぶりの新機構

最大の特徴は、その名のとおりの「コーアクシャル(同軸式)脱進機」にある。従来のスイス・レバー脱進機は、ガンギ車の歯がアンクルの爪石を滑らせる「滑り摩擦」によってエネルギーを伝達する。これに対しコーアクシャル脱進機は、3つの爪石を持つアンクルと、2層構造(後期型では3層)のガンギ車によってエネルギーを「押し」で伝える設計を採る。

ガンギ車の歯がアンクルの爪石を滑らずに直接押す形式のため、接触面での摩擦が大幅に減り、潤滑油への依存が低減される。1750年代にトーマス・マッジが現在のレバー脱進機を考案して以来、量産化に成功した実用的な新脱進機は本機が初とされる。

テンプとヒゲゼンマイ

Cal. 2500は、フリースプラング(緩急針なし)・テンプを採用する。テンプ環の重りを微調整することでレート調整を行う方式で、緩急針に頼らない分、衝撃や経年でのレートずれが起こりにくい設計とされる。

ヒゲゼンマイは、2500の世代を通じてNivarox系の合金製を採用する。後年のCal. 8500世代から本格化するシリコン製(Si14)ヒゲゼンマイは、Cal. 2500には基本的に搭載されない。耐磁性能の面では、Cal. 8800以降の世代で標準となる15,000ガウス対応(Master Chronometer認定)は、Cal. 2500の時代には未だ存在しない。

振動数:28,800から25,200へ

初期世代の2500Aおよび2500Bは、毎時28,800振動(4Hz)で稼働する。これはベースとなるETA 2892-A2を継承した振動数である。しかし、コーアクシャル脱進機の特性を活かすには、より低い振動数のほうが部品摩耗を抑えられるとオメガが判断し、2500Cからは毎時25,200振動(3.5Hz)へと引き下げられた。この振動数は、後のCal. 8500、Cal. 8800、Cal. 8900の各シリーズにも引き継がれる「オメガ最適振動数」となる。

主要仕様

| 項目 | 仕様 |
|------|------|
| ベース | ETA 2892-A2 |
| 直径 | 25.6mm |
| 石数 | 27石 |
| 振動数 | 28,800vph(4Hz)→25,200vph(3.5Hz、C世代以降)|
| パワーリザーブ | 48時間 |
| 巻上方式 | 自動巻、双方向ローター |
| 機能 | 時・分・秒・日付 |
| 認定 | COSCクロノメーター |

クロノメーター認定

Cal. 2500は、すべての世代でCOSC(スイス・クロノメーター検定協会)による認定を取得しており、日差マイナス4秒からプラス6秒以内の精度を満たす。Cal. 8500世代以降に導入される、より厳格な「Master Chronometer」認定(15,000ガウス耐磁試験を含む)は、Cal. 2500の射程外である。

仕上げと意匠

Cal. 2500の仕上げは、ベースとなるCal. 1120(装飾版ETA 2892-A2)の文脈を引き継ぐ。地板にはペルラージュ、ブリッジには縞模様装飾が施される。ローターには「OMEGA」の刻印と装飾仕上げが入る。後のCal. 8500世代で全面採用される「コート・ド・ジュネーブ・アン・アラベスク」のような独自パターンは、Cal. 2500の段階ではまだ用いられない。仕上げの密度はオート・オルロジュリーのそれには及ばないが、量産チューニング・キャリバーとしては丁寧な造作を保つ。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

搭載モデル

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