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CALIBER · Rolex

3186

自動巻 Automatic Analog GMT デイト

2005年、青色パラクロムを得て独立時針の操作系を磨き直した、ロレックスGMT-Master IIの基幹自動巻

振動数
28,800 vph · 4 Hz
パワーリザーブ
48 時間
石数
31 石
ムーブメント径
28.5 mm
Cal. 3186
movement · 3186 図: ムーブメント — WatchBase
01 — OVERVIEW

概要

Cal. 3186は、ロレックスが2005年に発表した自社製の自動巻GMTキャリバーである。基幹Cal. 3135に連なる31xx系の構造を土台とし、現地時刻を示す12時間針を1時間単位で独立調整できる。振動数28,800vph (4Hz)、31石、パワーリザーブは公称約48時間。常磁性合金による青色パラクロム・ヒゲゼンマイを備え、先代Cal. 3185から耐磁性と耐衝撃性を引き上げた。初搭載はGMT-Master II Ref. 116718LNである。以後、Ref. 116710LNやRef. 116710BLNRなど、セラミックベゼル世代のGMT-Master IIを内側から支えた。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerRolex
Reference3186
TypeAutomatic(自動巻)
DisplayAnalog
Frequency28,800 vph (4 Hz)
Jewels31 石
Power reserve48 h
Movement ⌀28.5 mm
HandsHours, Minutes, Seconds, Additional 24 Hour Hand (adjustable)
DateDate
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 開発の背景 — 素材の内製化と50周年

Cal. 3186の前身は、1988年に登場し、GMT-Master II Ref. 16710などを長く支えたCal. 3185である。そのヒゲゼンマイ (テンプとともに振動の周期を決めるばね) には、外部調達のニヴァロックス製が用いられていた。鉄とニッケルを主体とするこの合金は強磁性で、磁気の影響を受けやすい。

ロレックスは2000年前後から独自合金パラクロム (Parachrom) の開発を進め、磁気耐性の向上とともに基幹部品の内製化を図ったとされる。2005年には表面処理を施した青色のパラクロムが完成し、Cal. 3186はその最初期の搭載機となった。

同じ2005年は、1955年に誕生したGMT-Masterの50周年にあたる。バーゼルワールド2005で発表されたイエローゴールドのRef. 116718LNは、セラミック製ベゼル「セラクロム (Cerachrom)」の初採用モデルである。Cal. 3186は、この新世代とともに登場した。

2. 漸進的改良という方法論

Cal. 3186は、機能と基本構成の大半を3185から引き継いでいる。独立時針の操作体系も外径28.5mmの寸法も変わらず、変化は素材と細部に集中した。新素材を特定の機種で先行採用し、実績を確かめてから全体へ広げる。ロレックスに通底するとされるこの手法を、3186はよく示している。

パラクロムは、合金組成と表面処理の双方で特許を得たと伝わる。青色パラクロムはその後、ミルガウスやサブマリーナーなど他系統の搭載キャリバーへも順次展開されていった。

3. 派生と展開 — 16710の最終期からCal. 3187へ

2007年には、ステンレススティール製のRef. 116710LNがCal. 3186を搭載して登場した。移行期には先代Ref. 16710の最終生産分にもCal. 3186が組み込まれ、2008年製の個体が確認されている。エクスプローラーII Ref. 16570も、2000年代後半の生産分でCal. 3186へ切り替わったとされる。

2011年、42mmへ拡大したエクスプローラーII Ref. 216570のために、派生機Cal. 3187が用意された。3186を基に地板を拡大して日付窓を外周寄りへ移し、耐衝撃装置にはパラフレックスを加えたものである。

GMT-Master II側では、2013年に青と黒の2色セラクロムを持つRef. 116710BLNR、2014年に赤と青のRef. 116719BLROが加わった。ベゼルの素材技術が進む一方、内部のCal. 3186は一貫して変わらなかった。

4. 業界での位置と世代交代

2000年代半ばの時計業界では、ヒゲゼンマイの新素材としてシリコンが台頭しつつあった。各社がシリコン部品の実用化を進めるなか、ロレックスは金属合金を自社で開発する道を選んだ。目指す耐性は共通しており、違いは各社の製造体制と設計思想の差といえる。

GMT機構の設計にも流儀の違いがある。汎用のETA 2893-2は24時間針を単独で送り、第2時間帯を手早く合わせる用途に向く。対してCal. 3186は12時間針を跳躍させ、渡航先で現地時刻を合わせ直す旅行者の使い方に即している。

2018年、クロナジー脱進機を備える後継Cal. 3285が登場し、GMT-Master IIの新型から置き換えが始まった。2019年にはRef. 116710BLNRも3285搭載のRef. 126710BLNRへ移行した。Cal. 3186は、およそ14年で役目を終えたとされる。

04 — LINEAGE

キャリバーの系譜

Predecessors & derivatives
05 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

1. 31xx系の骨格と振動数

Cal. 3186の骨格は、基幹Cal. 3135に連なる31xx系の構成を踏襲する。直径28.5mm、31石。テンプ (調速を担う振動子) は両端を支えるフルブリッジで固定され、緩急針を持たないフリースプラング方式を採る。歩度の微調整は、テンプ内側に配した4個のマイクロステラ (Microstella)・ナットで慣性モーメントを変えて行う。

振動数は28,800vph (4Hz) で、テンプは1秒間に8回振動する。振動数が高いほどテンプの運動エネルギーは大きく、着用中の姿勢変化や衝撃による外乱の影響を相対的に受けにくい。一方でエネルギー消費は増えるため、単一香箱の31xx系では、パワーリザーブは公称約48時間となる。

2. 青色パラクロム・ヒゲゼンマイ

最大の変更点は、テンプに往復運動の復元力を与えるヒゲゼンマイである。パラクロムはニオブとジルコニウムを主成分とする常磁性合金で、ロレックスは酸素を含む独自合金と説明している。常磁性体は磁界の中で弱く磁化されるものの、磁界が去れば磁化はほとんど残らない。強磁性の合金のように、残留磁化で巻き同士が引き合い歩度が乱れる現象が起きにくい。温度変化に対する安定性も高く、衝撃を受けた際の精度は従来のヒゲゼンマイ比で最大10倍とロレックスは公表している。

青色は、表面の酸化被膜を50〜100nm程度まで厚くする処理によって生じる。本来は長期的な安定性を高めるための処理で、発色はその結果である。外端には持ち上げたオーバーコイルを備え、伸縮を同心円状に保って等時性を高める。

3. 独立時針とクリックばね

リューズは3段階で操作する。第1ポジションで手巻き、第3ポジションで分針・12時間針・24時間針をまとめて合わせ、この間は秒針が停止する。GMT機構の要は第2ポジションで、12時間針のみを1時間単位で前後どちらへも跳躍させられる。分針・秒針・24時間針は止まらず、ホーム時刻を保ったまま現地時刻だけを変更できる。日付は12時間針に連動し、午前0時をまたげば前後どちらにも送られる。

3185では、時の歯車上の簡素なラチェットが日送りを担っていた。時刻調整時に24時間針がわずかに揺れたのは、この構造に由来する。3186はこの部分をクリックばねに改めたとされ、調整時の揺れは解消された。

4. 耐衝撃・自動巻・認定

テンプの耐衝撃装置は、3185と同系統の従来型 (キフ式) を踏襲したとされる。自社開発のパラフレックス (Paraflex) は、GMT系譜では2011年の派生機Cal. 3187で加えられた。

自動巻はパーペチュアル・ローターによる両方向巻上げ式である。2枚のリバーサーホイール (切替車) が、ローターがどちらへ回っても主ゼンマイを巻き上げる向きに変換する。

ムーブメントは出荷前に、スイス公式クロノメーター検査協会 (COSC) の認定を受けた。2015年、ロレックスは高精度クロノメーターの基準を、ケーシング後の完成品で日差-2/+2秒へと再定義している。後期の搭載機も、この新基準の対象となったとされる。なお派生機Cal. 3187とは、多くの部品に互換性があるとされる。

06 — CARRIERS

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

This caliber appears in 1 references
07 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 専門メディア Rolex Automatic Movements Reference Guide 専門メディア · Experts Watches · 2026.08.15 閲覧 Experts Watches · 2026.08.15
  2. 02 専門メディア Rolex Movements & Calibers 専門メディア · WatchGuys · 2026.08.15 閲覧 WatchGuys · 2026.08.15
  3. 03 ブログ Rolex GMT-Master II ブログ · Wikipedia · 2026.08.15 閲覧 Wikipedia · 2026.08.15