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CALIBER · ROLEX

3285

自動巻 Automatic Analog

2018年登場、クロナジー脱進機と約70時間動力を備える、ロレックスのGMT専用キャリバー

3285
movement · 3285
図: ムーブメント — WatchBase
OVERVIEW · 概要

Cal. 3285は、ロレックスが2018年に発表したGMT機能搭載の自動巻きキャリバーである。32xx世代の系譜に連なり、先代Cal. 3186/3187からの世代交代を担う。28,800vph (4Hz)、31石、約70時間のパワーリザーブを備え、独自開発のクロナジー脱進機、青色のパラクロム・ヒゲゼンマイ、パラフレックス耐衝撃装置を搭載する。GMT-Master IIおよびエクスプローラーII 226570の現行ラインに採用され、ロレックスのトラベルウォッチを支える基幹ムーブメントである。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerRolex
Reference3285
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels31 石
Power reserve70 h
Movement ⌀28.5 mm
HandsHours, Minutes, Seconds, Additional 24 Hour Hand (adjustable)
DateDate
AdditionalChronometer
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 32xx世代の構想と先代の限界

ロレックスは2015年、Cal. 3255の発表とともに32xx世代と呼ばれる新世代自動巻きキャリバー群の開発を表明した。デイデイト40で初登場したCal. 3255は、開発時に14件の特許を取得した自動巻ムーブメントであり、その後Cal. 3235、Cal. 3285、Cal. 3230へと派生していく。

Cal. 3285の先代にあたるのは、GMT-Master IIに搭載されてきたCal. 3186と、エクスプローラーII 216570に搭載されたCal. 3187である。Cal. 3186は2005年にイエローゴールド製のGMT-Master II Ref. 116718で初登場したキャリバーで、ロレックスの定番Cal. 3135をベースに24時間針を独立調整可能とする真正GMT機構を組み込んだもの。青色パラクロム・ヒゲゼンマイを初搭載したことでも知られる。ただし振動数は28,800vph、パワーリザーブは約50時間と、業界全体で長動力化と磁気耐性の刷新が進む2010年代後半には、機構の全面更新が求められていた。

2. クロナジー脱進機と70時間動力

Cal. 3285の核となる革新は、ロレックスが2015年に発表したクロナジー脱進機の搭載である。スイス・レバー脱進機を再設計した独自機構で、レバー (アンクル) とガンギ車を非対称形状とし、両者をニッケル・リン合金で製造する。ガンギ車には肉抜き加工が施され、回転体の慣性を低減するとともに、ニッケル・リンが持つ常磁性によって磁気耐性を確保する。ロレックスはこれにより、エネルギー伝達効率を従来比で約15%向上させたとしている。

さらに香箱の壁厚を従来比で約半分まで薄くすることで、外径を変えずに内部容積を拡大。輪列幾何学の最適化と相まって、パワーリザーブは先代の約50時間から約70時間へと拡大した。開発過程では10件の特許出願が行われたと公表されている。

3. GMT特化機としての位置

32xx世代の中で、Cal. 3285はGMT複雑機構を担う唯一のバリアントである。中央の12時間針はリューズ操作によって1時間単位で前後に独立調整でき、24時間針と分針・秒針には影響を与えない。日付表示は現地時間と連動し、深夜0時に瞬間切替する設計となっている。

長距離渡航者向けに設計された真正GMT機構という思想は、1955年に初代GMT-Master Ref. 6542が搭載したCal. 1036から連綿と続くものだが、Cal. 3285はその系譜を現代的素材と機構で再構築した到達点である。

4. 業界文脈と現行採用

Cal. 3285はBaselworld 2018で発表後、GMT-Master II Ref. 126710BLRO (通称ペプシ)、126711CHNR、126715CHNRの3型番に初搭載された。2021年にはモデル誕生50周年を迎えたエクスプローラーII 226570にも採用され、Cal. 3187からの世代交代を実現。以降、126720VTNR、126713GRNR、126718GRNR、126729VTNRなど新型バリエーションへ展開を続けている。

2023年からは、ローター中央の玉軸受が最適化され、ローターには「Chronometer Perpetual」、ブリッジには「Superlative Adjusted」の刻印が追加された。同時代の競合GMTキャリバーが磁気耐性・精度・動力リザーブをそれぞれの設計哲学で追求する中、Cal. 3285は産業規模での信頼性と長期的継続性を重視する設計思想を体現している。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

1. 脱進機 — クロナジー

Cal. 3285の中核を成すのは、ロレックスが特許を取得したクロナジー脱進機である。レバー (アンクル) とガンギ車をニッケル・リン合金で製造し、両者の形状を再設計したもので、レバーは厚みと長さを最適化、ガンギ車は歯先輪郭と肉抜きパターンを刷新している。これによりエネルギー伝達効率は従来のスイス・レバー脱進機比で約15%向上したとされ、同時にニッケル・リンの常磁性によって脱進機全体の磁気耐性が確保される。

クロナジー脱進機は2015年にCal. 3255とCal. 3235で初搭載され、Cal. 3285には2018年から採用された。基本骨格はスイス・レバー式の範疇にあるが、形状と素材の刷新によって、長期的安定性と効率の両立を狙った設計と位置づけられる。

2. 振動子 — 青色パラクロムと可変慣性テンプ

調速機の中枢を担うのは、ロレックス独自の青色パラクロム・ヒゲゼンマイである。ニオブ・ジルコニウム合金をベースに陽極酸化処理で青色を発色させたもので、常磁性を持ち磁界の影響を受けにくく、温度変化に対する安定性も高い。ロレックスの公表によれば、衝撃を受けた際の精度は従来素材のヒゲゼンマイと比較して最大10倍に達するとされる。

テンプは可変慣性方式である。テンプ外周に組み込まれた4個のマイクロステラ・ナット (金製) を回転させることで慣性モーメントを微調整し、緩急装置を持たない構造で精度調整を行う。ヒゲゼンマイは外端カーブを備えるロレックス・オーバーコイル仕様で、姿勢差による振動の不規則性を抑える。

テンプ・ブリッジは両持ち式の高さ調整可能な構造を採る。片持ち式より固定剛性が高く、衝撃に対する受け石の位置ずれを抑えるという利点がある。

3. 耐衝撃機構 — パラフレックス

テンプの軸受には、ロレックス開発・特許のパラフレックス耐衝撃装置が組み込まれている。汎用品 (インカブロック等) を採用せず、自社開発の板バネ形状で衝撃を吸収する仕組みで、ロレックスは従来汎用品と比較して衝撃耐性を最大50%向上させたと公表している。

4. 香箱と動力

香箱は壁厚を従来比で約半分まで薄くする設計改訂が行われ、外径を変えずに内部容積を拡大した。これによりゼンマイの長尺化が可能となり、輪列の最適化とクロナジー脱進機の効率向上が組み合わさることで、約70時間のパワーリザーブが実現されている。これは先代Cal. 3186の約50時間から約20時間の延長にあたり、週末を挟む着用パターンでも止まらない実用性をもたらす。

5. GMT機構と自動巻

中央12時間針はリューズ第2ポジションでの操作により、1時間単位で前後どちらにも独立調整可能。分針・秒針および24時間針 (GMT針) は止まることなく稼働を続け、リファレンスタイムの精度を維持したまま現地時間のみを変更できる。日付は現地時間に連動し、深夜0時に瞬間的に切り替わる。

自動巻はパーペチュアル・ローターによる両方向巻上げ方式で、リューズによる手巻き (時計回り) も可能。2023年以降はローター中央の玉軸受が最適化され、ローター本体には「Chronometer Perpetual」、ブリッジには「Superlative Adjusted」の刻印が追加された。

6. 認定とスペック

Cal. 3285搭載モデルはCOSC認証取得後、ケーシング状態でロレックス独自の追加検査を受け、日差-2/+2秒以内の精度を保証する「スーペラティブ・クロノメーター」として供給される。基本仕様は28,800vph (4Hz)、31石、約70時間のパワーリザーブ、機能は時・分・秒・日付・独立調整可能な12時針および24時針 (GMT) というもので、現行のGMT-Master IIおよびエクスプローラーII 226570の全モデルに共通して採用されている。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 7 本のリファレンス

This caliber appears in 7 references