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CALIBER · ROLEX

3135

自動巻 Automatic Analog

1988年登場、フルブリッジ・テンプ受とマイクロステラ調整を備えた、ロレックスの基幹自動巻

3135
movement · 3135
図: ムーブメント — WatchBase
OVERVIEW · 概要

Cal.3135は、1988年にロレックスが発表した自社製自動巻きキャリバーである。先代Cal.3035の高い振動数(28,800vph、4Hz)を受け継ぎつつ、テンプ受けを片持ちのコック式からフルブリッジへ変更し、安定性と堅牢性を高めた。石数は31石、パワーリザーブは約48時間。グリュシデュール製テンプとマイクロステラ調整による緩急針なし(フリースプラング)機構を採用し、後年にはパラクロム・ヒゲゼンマイへと更新された。サブマリーナー・デイト、シードゥエラー、デイトジャスト36など主力モデルを長期にわたり支え、3130や3155、GMT系の3186など多数の派生を生んだ基幹ムーブメントである。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerRolex
Reference3135
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels31 石
Power reserve48 h
Movement ⌀28.5 mm
HandsHours, Minutes, Seconds
AdditionalChronometer
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 高振動数世代の到達点

ロレックスが現代的な自動巻きの基礎を固めたのは、1977年のCal.3035である。先代Cal.1575を発展させ、同社初の28,800vph(4Hz)高振動数機として登場した。振動数を高めることは、外乱に対する姿勢差の縮小と精度の安定に寄与する一方、テンプにかかる負荷も増す。Cal.3135は、この高振動数路線を継承しつつ、1988年に構造の刷新を担って現れた。石数は先代の27石から31石へ増え、より堅牢な設計思想が明確になっている。

2. フルブリッジという選択

最大の構造的特徴は、テンプの支持方式にある。先代までの片持ちのテンプ受け(コック)に代えて、両持ちのフルブリッジを採用した。回転軸を両端で支えることで、衝撃や姿勢変化に対する安定性が高まり、長期の堅牢性に寄与する。あわせて、緩急針を持たないフリースプラング機構と、テンプ内側の4つのマイクロステラ・スクリューによる調整方式を組み合わせ、外乱による狂いを起こしにくい構成とした。マイクロステラ機構そのものは1957年に遡るロレックスの伝統技術である。

3. 改良の積層

Cal.3135の歩みは、世代交代ではなく継続的な改良の積み重ねとして描かれる。2000年代半ばにかけて、ニオブとジルコニウムの合金から成るパラクロム・ヒゲゼンマイへと更新され、耐磁性と温度安定性が高められた。同時期、ロレックスは受石を保持するパラフレックス耐衝撃機構を2005年に導入し、3100系の各キャリバーへ順次広げていった。各改良が3135へ適用された時期はモデルにより異なり、明確な境界を引きにくいとされる。

4. 派生と継承

Cal.3135は、ロレックス現代ムーブメントの母体でもある。日付を持たない3130、軟鉄製の耐磁構造を備えた3131、デイ表示を加えた3155(デイデイト系)、第2時間帯を備えたGMT系の3185・3186、エクスプローラーIIの3187など、多くの派生を生んだ。2009年のデイトジャストIIには、径を拡大した3136が用意された。革新よりも改良を積み重ねるロレックスの姿勢を体現し、30年以上にわたり主力を担った本機は、信頼性の基準として広く認知されてきた。その役割は、2015年に登場した後継Cal.3235へと緩やかに引き継がれていく。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

Cal.3135は、28,800vph(4Hz)で駆動するスイスレバー式(アンクル式)脱進機を基幹とする自動巻きキャリバーである。4Hzとは、テンプが1秒間に8回の半振動を刻む速さを指し、秒針は滑らかに運針する。高い振動数は、外乱を受けた際の復元力を高め、姿勢差を抑える方向に働く。径は28.50mm、厚さは6.00mm、石数は31石である。

テンプとヒゲゼンマイ

精度の中核を担うのは、ベリリウム銅合金グリュシデュール製のテンプ(調速の振り子に相当する円輪)である。温度変化や磁気の影響を受けにくく、慣性モーメントの安定に優れる。ヒゲゼンマイ(テンプの振動を司る渦巻きばね)には、外端を立ち上げたブレゲ・オーバーコイルを採用し、ヒゲが同心円状に伸縮することで等時性を高めている。後年の個体では、ニオブ・ジルコニウム合金のパラクロム・ヒゲゼンマイが用いられ、常磁性ゆえに磁界の影響を受けにくく、衝撃への耐性も高い。

フリースプラングとマイクロステラ

本機は緩急針を持たないフリースプラング機構を採る。一般的な緩急針はヒゲの有効長を変えて精度を調整するが、衝撃で位置がずれると精度も変動しやすい。代わりにCal.3135は、テンプのリム内側に配した4つのマイクロステラ・スクリューを操作し、慣性モーメントそのものを増減させて精度を整える。ねじを中心へ寄せれば速度は上がり、外へ動かせば遅くなる。回転軸は両持ちのフルブリッジで支持され、片持ちのコック式に比べ衝撃と姿勢変化への安定性に優れる。

巻上機構と香箱

自動巻きローターは両方向に巻き上げる構造で、左右いずれの回転でも逆回り車(リバーシングホイール)を介して香箱へ動力を伝える。赤みを帯びたこの逆回り車は、3135系を識別する手掛かりのひとつである。満巻時のパワーリザーブは約48時間で、香箱1個から得られるこの持続時間は、機構効率と適切な注油管理を前提とする。

耐磁・耐衝撃と認定

基本となる3135の耐磁性は、軟鉄製の内ケース(ファラデーケージ)ではなく、主にパラクロム・ヒゲゼンマイの常磁性に拠る。軟鉄による磁気遮蔽を備えるのは、ミルガウスなどに用いられた派生の3131である。耐衝撃にはKIF、ないし後年の派生機構ではパラフレックスが用いられ、受石を保持して衝撃時の変形を防ぐ。精度面では、スイス公認クロノメーター検査協会(COSC)の認定を受け、日差-4/+6秒の基準を満たす。2015年以降、ロレックスは自社の高精度クロノメーター(Superlative Chronometer)基準を、ケーシング後の日差-2/+2秒へと再定義している。モジュール化された構成は保守性が高く、整備しやすいキャリバーとして技術者からの評価も厚い。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 2 本のリファレンス

This caliber appears in 2 references