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CALIBER · Rolex

3187

自動巻 Automatic Analog GMT デイト

2011年、42mmのエクスプローラーIIのために地板を拡げた、パラフレックス搭載のロレックス自社製GMT自動巻

振動数
28,800 vph · 4 Hz
パワーリザーブ
48 時間
石数
31 石
ムーブメント径
30.97 mm
Cal. 3187
movement · 3187 図: ムーブメント — WatchBase
01 — OVERVIEW

概要

Cal. 3187は、ロレックスが2011年に発表した自社製の自動巻GMTキャリバーである。42mmへ拡大されたエクスプローラーII Ref. 216570のために、Cal. 3186を母体として開発された。地板を拡げて日付窓の位置を整え、耐衝撃装置を自社製のパラフレックスへ改めた点が主な違いとされる。振動数28,800vph (4Hz)、31石、パワーリザーブは約48時間。青いパラクロム・ヒゲゼンマイと、時針を単独で1時間ずつ動かせる独立時針機構を備える。搭載は白文字盤の216570-0001と黒文字盤の-0002に限られ、2021年にCal. 3285へ世代交代した。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerRolex
Reference3187
TypeAutomatic(自動巻)
DisplayAnalog
Frequency28,800 vph (4 Hz)
Jewels31 石
Power reserve48 h
Movement ⌀30.97 mm
HandsAdditional 24 Hour Hand (adjustable), Hours, Minutes, Seconds
DateDate
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 42mmケースが求めたもの

2011年3月のバーゼルワールドで、ロレックスはエクスプローラーIIの新型Ref. 216570を発表した。シリーズ誕生40周年の年にあたり、ケース径は前任16570の40mmから42mmへ拡大された。この外装とともに登場したのが、新しい自社製キャリバーCal. 3187である。当初は前年2010年の発表が予定されていたとも伝わる。

前任の16570は、後期にCal. 3186を搭載していた。基幹Cal. 3135と同じ標準的な径の基盤で、40mmケースに釣り合う寸法である。これをそのまま42mmケースに収めると、文字盤が広がる一方で日付窓は中心寄りに取り残される。ロレックスは地板そのものを拡げ、日車を大径化することでこの問題に応えたと見られている。

2. 3085から続くGMT機構の系譜

Cal. 3187の骨格は、ロレックスのGMT系キャリバーの系譜に連なる。1980年代前半のCal. 3085が独立調整式の時針を備えた。1988年のCal. 3185は、この機構を3135系の構造へ移している。2005年のCal. 3186は、青いパラクロム・ヒゲゼンマイを採用した。初搭載はGMT-Master IIのイエローゴールド製Ref. 116718LNである。

3187は3186の設計を受け継ぎ、機能と主要な技術要素をほぼ共有する。違いは主に二つとされる。一つは拡大された地板と日車、もう一つは耐衝撃装置を外部調達のキフ(Kif)式から自社製のパラフレックスへ改めた点である。部品の多くは3186と共通とされ、系譜の中では大径化した3186と位置づけられる。

3. 大径キャリバー群の一員として

地板を拡げるという手法は、同時期のロレックスに共通するものだった。2008年のデイデイトIIと2009年のデイトジャストIIは、いずれも41mmケースを採用した。前者にはCal. 3156、後者にはCal. 3136が用意され、ともに標準より大きな地板を持つとされる。日付を文字盤の外寄りに置き、大型ケースでも表示の均衡を保つための設計である。

3187は、この大径キャリバー群のGMT版にあたる。一方、GMT-Master IIは40mmケースのまま3186を使い続けた。同じ系譜の2機種は、ここでムーブメントを分けることになる。WatchBaseの搭載モデル一覧も、216570の2仕様のみを記録している。約10年の生産期間を通じ、3187は216570専用のキャリバーであり続けた。

4. クロナジー世代への橋渡し

3187が登場した2000年代末から2010年代初頭、業界ではシリコン製ヒゲゼンマイの採用が広がりつつあった。ロレックスもシリコンの共同研究に加わっていたとされる。だが男性用の主力キャリバーでは、自社開発の金属合金パラクロムを軸に据えた。シリコン製のシロキシが登場したのは2014年、女性用のCal. 2236においてである。

2015年、ロレックスはクロナジー脱進機を備えた32xx世代の展開を始め、大径キャリバー群は順に置き換えられていく。2021年、エクスプローラーIIはRef. 226570へ移行した。搭載されたのは、GMT-Master IIが2018年から用いていたCal. 3285である。10年にわたり2系統に分かれていたGMTムーブメントは、ここで再び一本化されたことになる。3187は、大型化の時代に一つのリファレンスのために仕立てられた、この世代固有のキャリバーである。

04 — LINEAGE

キャリバーの系譜

Predecessors & derivatives
05 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

1. 基本仕様と拡大された地板

Cal. 3187は、時・分・秒と日付に24時間針を加えた自動巻キャリバーである。振動数は28,800vph (4Hz)、石数は31石、パワーリザーブは約48時間。4Hzとは、テンプ(時計の速さを決める振動体)が1秒間に8回振動することを意味する。秒針は1秒を8歩で刻む。

構造上の特徴は、地板(ムーブメントの土台となる板)の大きさにある。母体のCal. 3186は直径28.5mmとされるのに対し、WatchBaseなどは3187を30.97mmと記録する。拡がった外周に大径の日車を収め、日付窓を42mmケースの文字盤に見合う外寄りの位置へ移した。この寸法はロレックスの公式資料では示されず、標準径の28.5mmを記す資料もある。

2. 調速機構 ― パラクロムとマイクロステラ

調速機構の中心は、青いパラクロム(Parachrom)・ヒゲゼンマイである。ヒゲゼンマイはテンプの往復運動を司る極細のばねで、その安定性が精度を左右する。パラクロムはニオブ、ジルコニウム、酸素からなるロレックス独自の合金で、2000年に導入された。常磁性のため磁場の影響を受けにくく、温度変化にも安定する。ロレックスは、衝撃を受けた際の精度が従来品の最大10倍に達するとしている。青い色は2005年に導入された表面処理に由来し、長期安定性を高める目的を持つ。

ヒゲゼンマイは外端を持ち上げたオーバーコイル形状とし、同心的な伸縮によって等時性を高める。緩急針は持たず、テンプ輪に配した金製のマイクロステラ(Microstella)・ナットで慣性モーメントを調整する。ナットを内側へ寄せれば歩度は進み、外へ送れば遅れる。テンプは両端を支えるブリッジで固定され、片持ち式に比べて衝撃に対する剛性が高い。

3. パラフレックス耐衝撃装置

3187で新たに加わったのが、パラフレックス(Paraflex)耐衝撃装置である。2005年にロレックスが開発し、特許を取得した。テンプの軸先(ほぞ)は直径0.07mmほどと極めて細く、強い衝撃で折れやすい。耐衝撃装置は受け石をばねで支え、衝撃をわずかに逃がしてほぞを守る。パラフレックスは、ばねの形状を3Dの動的解析によって設計し、変形せず定位置を保つようにした。ロレックスは耐衝撃性が最大50%向上したと公表している。

ばねは左右対称の形状で、組み付けの向きを誤りにくい。装置一式を受け座から取り外せる構造ともされ、整備時の分解と再組立てを容易にしている。

4. GMT機構と日付

GMT機構は、中央の24時間針と独立調整式の時針で構成される。リューズを中間位置まで引き出すと、時針だけを1時間刻みで前後に動かせる。この間も分針、秒針、24時間針は止まらず、基準時刻の精度を保ったまま現地時刻へ合わせられる。日付は時針の動きに連動して切り替わり、時差の調整と日付の修正が一つの操作で済む。リューズをいっぱいまで引くと秒針が止まり、秒単位の時刻合わせができる。

エクスプローラーIIのベゼルは24時間目盛りを刻んだ固定式である。24時間針に時針と同じ時刻を指させれば昼夜の判別に、別の時刻を指させれば第2時間帯の表示に使える。回転ベゼルを持たないため、同時に読み取れるのは2つの時間帯となる。

5. 巻上げ、動力、認定

巻上げは、両方向に回転するパーペチュアル・ローターが担う。ローターの動きは切替車を介し、回転の向きにかかわらず主ゼンマイを巻き上げる。ロレックスはこの切替車の機構を1952年に特許化している。

約48時間のパワーリザーブは、従来型の香箱とスイス・レバー脱進機の組み合わせによるものである。後継のCal. 3285は、クロナジー脱進機と壁を薄くした大容量の香箱によって約70時間を得た。両者の差は、脱進機と香箱の設計世代の違いを映している。

精度は、まずムーブメント単体でスイス公式クロノメーター検査協会(COSC)の認定を受ける。その基準は日差−4〜+6秒である。ロレックスは2015年、高精度クロノメーター(Superlative Chronometer)の基準を再定義した。2016年までに、これを全製品へ適用している。以後の3187は、ケーシング後の完成品で日差−2〜+2秒の社内検査を経て出荷された。

06 — CARRIERS

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

This caliber appears in 1 references
07 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 専門メディア BaselWorld 2011 – Rolex Releases New Explorer II 専門メディア · A Timely Perspective · 2026.10.11 閲覧 A Timely Perspective · 2026.10.11
  2. 02 専門メディア Rolex Explorer II 216570 専門メディア · Grail Watch Wiki · 2026.10.11 閲覧 Grail Watch Wiki · 2026.10.11
  3. 03 専門メディア Dispatch: 2011 Rolex Explorer II 専門メディア · Professional Watches · 2026.10.11 閲覧 Professional Watches · 2026.10.11