本文へ
CALIBER · ROLEX

3132

自動巻 Automatic Analog

2010年、Paraflex耐震とブルーパラクロムを備えた、ロレックス3130系の日付なし基幹自動巻

3132
movement · 3132
図: ムーブメント — WatchBase
OVERVIEW · 概要

Cal.3132は、2010年にエクスプローラー Ref.214270で初搭載された、ロレックスの自社製自動巻きキャリバーである。日付機構を持たない三針構成で、基幹キャリバーCal.3135の系譜に連なる日付なし版Cal.3130を土台とする。28,800vph (4Hz) で駆動し、パワーリザーブは48時間、石数は31石。ブルーパラクロム・ヒゲゼンマイとParaflex耐震機構を備え、磁気・温度変化・衝撃への耐性を高めた点が3130からの進化である。エクスプローラーのほか、オイスターパーペチュアル39 (Ref.114300)、ドレスラインのチェリーニ タイムにも搭載された。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerRolex
Reference3132
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels31 石
Power reserve48 h
Movement ⌀28.5 mm
HandsHours, Minutes, Seconds
AdditionalChronometer
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 3130系という土台

Cal.3132は、ロレックスの基幹自動巻きキャリバー群「3100系」の一員である。この系譜の起点は、1988年に登場した日付付きのCal.3135にさかのぼる。3135は四半世紀にわたりデイトジャストやサブマリーナの心臓部を担い、その日付機構を省いた三針版がCal.3130である。Cal.3132は、この3130を土台とする発展形に位置づけられる。

2010年代を前に、腕時計業界は大型化の潮流のただ中にあった。ロレックスも例外ではなく、長く36mmを守ってきたエクスプローラーを39mmへと拡大する。この器の更新に合わせ、ムーブメントもまた世代交代を遂げた。それがCal.3132である。

2. ブルーパラクロムとParaflexの世代

Cal.3132を特徴づける二つの技術は、いずれも2000年代に確立された。ひとつは、テンプの振動を司る渦巻き状のばね——ヒゲゼンマイ——に用いるブルーパラクロムである。ロレックスは2000年、ニオブとジルコニウムを主体とする常磁性合金のヒゲゼンマイ「パラクロム」を発表した。2005年にはその表面を酸化処理で安定させ、特有の青色をまとうブルーパラクロムへと改良している。

もうひとつがParaflex耐震機構である。2005年に投入されたこの自社設計のショックアブソーバーは、テンプの軸を衝撃から守る役割を担う。

これらの新技術は、3100系の各キャリバーへ段階的に展開された。ブルーパラクロムを最初に得たのは2005年のCal.3186であり、以後Cal.3131 (2007年)、Cal.3136 (2009年) と広がり、2010年のCal.3132へと至る。

3. エクスプローラー214270という器

Cal.3132が初めて世に出たのは、2010年のバーゼルワールドで発表されたエクスプローラー Ref.214270である。Edmund HillaryとTenzing Norgayのエベレスト初登頂を記念して1953年に生まれたこの実用時計は、39mmの新世代へと姿を変え、その内側にCal.3132を収めた。214270は2021年まで生産が続いた。

このキャリバーはエクスプローラー以外にも展開された。オイスターパーペチュアル39 (Ref.114300) や、ドレスラインのチェリーニ タイムがそれである。さらにロレックスは、Cal.3132を土台にスモールセコンドを備えたチェリーニ用のCal.3165・3180を派生させている。

4. 3131との対比と後継

同じ3130を出自とする兄弟キャリバーに、Cal.3131がある。3131は耐磁性に振った構成で、軟鉄製の磁気シールドと組み合わさり、ミルガウスやエアキング Ref.116900に用いられた。一方の3132はParaflex耐震を軸とする。両者は同じ土台から異なる目的へ枝分かれした、設計思想の対比として読める。

2021年、エクスプローラーがRef.124270へ更新されると、Cal.3132の役割はCal.3230へと引き継がれた。3230はクロナジー・エスケープメントと約70時間のパワーリザーブを備える新世代3200系の日付なし版であり、世代の節目を画している。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

Cal.3132は、日付機構を持たない三針自動巻きである。基本構造はCal.3130を踏襲し、石数は31石、駆動方式は両方向巻き上げの自動巻きとなる。主要な構成要素を順に見ていく。

調速機構——フリースプラングテンプ

時計の精度を決めるのは、一定の周期で振動するテンプ(調速機)と、それを律するヒゲゼンマイである。Cal.3132は、緩急針を持たないフリースプラング方式を採る。テンプの振り角はリムに配した4個の金製マイクロステラ・ナットで調整され、緩急針式に比べ衝撃による精度の狂いが生じにくいとされる。ヒゲゼンマイの外端はブレゲ巻き上げ(ブレゲひげ)とされ、伸縮の同心性を高めている。

振動数は28,800vph (4Hz) である。これはテンプが1秒間に8回振動することを意味し、精度と耐衝撃性のバランスに優れた現代の標準値といえる。

ヒゲゼンマイ——ブルーパラクロム

ヒゲゼンマイにはブルーパラクロムが用いられる。これはニオブを約85%、ジルコニウムを約15%とする常磁性合金で、磁場の影響をほとんど受けない。ロレックスは、温度変化に強く、衝撃に対しても通常のヒゲゼンマイの最大10倍の耐性を持つとする。表面の酸化層を厚くする処理が、長期的な安定性と特有の青色をもたらしている。

耐震機構——Paraflex

テンプの軸の両端は、Paraflex耐震機構で支持される。米粒ほどの大きさのこの部品は、衝撃を受けると一方向にたわんでエネルギーを分散し、もとの形状へ復元する。これにより脱進機(エネルギーを一定間隔で解き放つ機構)とテンプを保護し、落下等の衝撃下でも調速精度を保つことを狙う。ロレックスは、従来の耐震機構に比べ衝撃耐性を高めたとする。

脱進機と輪列

脱進機はスイスレバー式(アンクル式)を採る。ガンギ車とアンクル、テンプが連携し、香箱に蓄えた主ゼンマイの力を一定間隔で解き放つ。香箱の容量は約48時間のパワーリザーブを生む。巻き上げは、ロレックスがパーペチュアル・ローターと呼ぶ両方向回転式の半円ローターが担う。

仕上げと認定

仕上げは、装飾性よりも信頼性と保守性を重んじる実用本位の方向にある。Cal.3132はスイス公認クロノメーター検定協会 (COSC) の検定に合格したクロノメーターであり、加えてロレックス独自のスーペラティブ・クロノメーター認定を受ける。2015年以降、この認定はケーシング後の状態で日差-2/+2秒という基準で運用されている。

なお一部の資料は、Cal.3132が標準の28.50mmではなく、主板を2.5mm広げた30.97mm径の大型地板仕様であるとする。ただしこの点は資料間で記載が分かれており、確証は得られていない。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

This caliber appears in 1 references