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CALIBER · Omega

8922

自動巻 Automatic Analog アニュアルカレンダー デイト Chronometer Co-Axial Escapement

2016年、グローブマスターに指針式の年次カレンダーをもたらした、オメガのマスター クロノメーター自動巻

振動数
25,200 vph · 3.5 Hz
パワーリザーブ
55 時間
石数
39 石
ムーブメント径
29 mm
Cal. 8922
movement · 8922 図: ムーブメント — WatchBase
01 — OVERVIEW

概要

Cal. 8922は、オメガが2016年のバーゼルワールドで発表した自社製自動巻キャリバーである。Cal. 8900系を基盤に、30日月と31日月を判別する年次カレンダーを組み込み、月を中央の指針、日付を6時位置の窓で示す。振動数25,200vph (3.5Hz)、39石、直列に連結したツインバレルで55時間のパワーリザーブを備える。コーアクシャル脱進機とSi14シリコン製ヒゲゼンマイを採用し、15,000ガウスの耐磁性を持つMETAS認定のマスター クロノメーターである。初搭載はグローブマスター・アニュアルカレンダーRef. 130.33.41.22.06.001である。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerOmega
Reference8922
TypeAutomatic(自動巻)
DisplayAnalog
Frequency25,200 vph (3.5 Hz)
Jewels39 石
Power reserve55 h
Movement ⌀29 mm
HandsHours, Minutes, Seconds
DateDate, Annual Calendar, Month
AdditionalChronometer, Co-Axial Escapement
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

1. マスター クロノメーター化の第二歩

2015年、オメガはグローブマスターにCal. 8900/8901を搭載し、スイス連邦計量・認定局(METAS)の基準に基づく初のマスター クロノメーターとして送り出した。オメガは当時、機械式時計の大半を2020年までにマスター クロノメーター化する方針を表明しており、グローブマスターはその出発点に位置づけられていた。

翌2016年のバーゼルワールドで、この系譜に加わったのがCal. 8922である。基本となる自動巻の骨格はCal. 8900と共通で、そこに年次カレンダーを組み込んだ点が最大の差異となる。オメガには、2007年のCal. 8500系を土台とする年次カレンダー機Cal. 8601がすでに存在した。ただし同機はクロノメーター認定にとどまり、月表示も窓式であった。Cal. 8922は、年次カレンダーをマスター クロノメーターの水準へ引き上げる役割を担った世代といえる。

2. パイパン文字盤と指針式の月表示

Cal. 8922の設計を特徴づけるのは、月を中央の指針で示す表示方式である。1952年の初代コンステレーションに由来する12面のパイパン文字盤は、各面に月名を配することで、年次カレンダーの目盛りとしても機能する。意匠の文脈と機構の要請が、一つの文字盤で重ね合わされた格好である。

一部の専門メディアは、8500系の年次カレンダーに指針式の月表示が加わったのは本機が初めてだと指摘している。ケース径も従来のグローブマスターの39mmから41mmへ拡大され、月名を読み取る余白が確保された。なお、初披露の日付は閏年である2016年の3月1日だったと伝わる。年に一度、手動修正が必要となる日そのものであり、機構の性格を示す象徴的な巡り合わせとして語られている。

3. 派生と展開

Cal. 8922には、セドナゴールドやプラチナのケース向けにCal. 8923が用意された。機構は同一で、ローターとテンプ受けをセドナゴールド製とした点が異なる。プラチナの限定モデルにはこのCal. 8923が搭載された。2021年には、グリーン文字盤のステンレス、バーガンディ文字盤のバイカラー、フルセドナゴールドの3作が追加され、キャリバーは初出から5年を経て現行ラインの一角を担い続けた。

また、月を窓で示す同等仕様の年次カレンダー機としてCal. 8902が存在するとされ、デ・ヴィル系に搭載例が見られる。同じ機能を、表示方式の違いによって別々のコレクションに振り分ける構成である。

4. 年次カレンダーの系譜の中で

年次カレンダーは、1996年にパテック フィリップが実用化したのが広く知られた起点とされる。永久カレンダーよりも部品点数を抑えつつ、修正を年1回に減らせる点から、その後多くのブランドが独自の解釈を示してきた。

その中でCal. 8922の立ち位置は、カレンダー機構そのものの新しさより、耐磁性と精度の認定を一体で担保した点にある。複雑機構を付加しても、ケースに収めた完成状態でMETAS基準の試験を通過させる。この考え方は、オメガが2010年代後半に進めた量産ムーブメント全体の刷新と同じ方向を向いている。

04 — LINEAGE

キャリバーの系譜

Predecessors & derivatives
05 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

基本仕様と数値の意味

Cal. 8922は、振動数25,200vph (3.5Hz)、39石の自動巻ムーブメントである。25,200vphとはテンプが1時間に25,200回振動することを指し、秒針は1秒間に7ステップ進む。オメガのコーアクシャル機は、この3.5Hzを採る例が多い。表示は時・分・秒、6時位置の日付窓、中央の指針による月表示で構成される。

コーアクシャル脱進機

脱進機とは、香箱から伝わる力を一定の間隔で区切り、テンプへ受け渡す機構である。Cal. 8922が採用するコーアクシャル脱進機は、英国の時計師ジョージ・ダニエルズが考案し、オメガが1999年に量産化した方式とされる。

一般的なスイスレバー脱進機では、ガンギ車の歯がアンクルの爪石の上を滑りながら力を伝える。これに対しコーアクシャル脱進機は、同軸に重ねた二層のガンギ車と、3つの石を持つアンクルを用い、力の伝達を主に押す動作で行う。摺動摩擦が小さいため潤滑油への依存が減り、長期の精度安定性とメンテナンス間隔の延長につながるとされる。

テンプとSi14ヒゲゼンマイ

テンプは緩急針を持たないフリースプラング方式である。歩度の調整は、テンワ外周の調整ネジで慣性モーメントを変えて行う。ヒゲゼンマイ(テンプの往復運動を生む渦巻き状のばね)には、オメガがSi14と呼ぶシリコン製のものを用いる。シリコンは非磁性で、衝撃や温度変化の影響も受けにくい。

耐磁性の構造

Cal. 8922は15,000ガウス(1.5テスラ)の磁場下でも機能する。軟鉄製のインナーケースで磁場を遮る方式ではなく、ヒゲゼンマイをはじめ、磁気の影響を受けやすい部品を非磁性素材に置き換えることで耐磁性を得ている。そのため裏蓋をシースルーにしたまま、この耐磁水準を保つことができる。

香箱と自動巻機構

動力源となる主ゼンマイは2つの香箱に分けて収められ、直列に連結されている。一方の香箱がもう一方を巻き上げる構成で、トルクを平準化しながら55時間のパワーリザーブを確保する。自動巻は両方向巻き上げ式で、ローターがどちらへ回転しても主ゼンマイが巻かれる。

年次カレンダー機構

年次カレンダーは、30日の月と31日の月を機械的に判別し、月末の日付送りを自動で調整する機構である。2月の日数だけは判別の対象外となるため、3月1日に年1回の手動修正を要する。Cal. 8922では、日付と月の表示が深夜に瞬時に切り替わる瞬時送り(インスタントジャンプ)を採用している。日付送りに時間をかけないため、切り替え前後の表示が曖昧になる時間帯が生じにくい。

仕上げ

ステンレスおよびバイカラーのモデルでは、ロジウムメッキのローターとブリッジに、アラベスク模様のジュネーブウェーブ(コート・ド・ジュネーブ)が施される。Cal. 8923ではローターとテンプ受けがセドナゴールドとなり、素材の色で差別化が図られている。

マスター クロノメーター認定

Cal. 8922は二段階の認定を経る。まずムーブメント単体が、ISO 3159に基づくクロノメーター認定(日差-4〜+6秒)を受ける。続いてケースに収めた完成品が、METASの定める8項目の試験に臨む。精度は日差0〜+5秒が求められ、15,000ガウスの磁場への耐性、パワーリザーブ、防水性も確認される。ムーブメントではなく完成品で精度と耐磁性を検証する点に、この認定の特徴がある。

06 — CARRIERS

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

This caliber appears in 1 references
07 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 公式 Watches - Omega 公式 · Omega · 2026.08.15 閲覧 Omega · 2026.08.15