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CALIBER · Omega

8400

自動巻 Automatic Analog Chronometer Co-Axial Escapement

2014年、シーマスター300とともに登場した、15,000ガウス耐磁を備えるオメガの無日付コーアクシャル自動巻

振動数
25,200 vph · 3.5 Hz
パワーリザーブ
60 時間
石数
39 石
ムーブメント径
29 mm
NO IMAGE
movement · 8400
01 — OVERVIEW

概要

Cal. 8400は、オメガが2014年に発表した自社製自動巻きキャリバーである。2007年登場のCal. 8500を基礎に、日付機構を省いた時・分・秒表示の仕様である。コーアクシャル脱進機、Si14シリコン製ヒゲゼンマイ、直列2連の香箱を備え、振動数は25,200vph (3.5Hz)、パワーリザーブは60時間、石数は39石。非鉄素材の採用により、ムーブメント単体で15,000ガウスを超える磁場に耐える。初搭載はシーマスター300 マスター コーアクシャル(2014年)で、同コレクションの限定モデル「スペクター」にも用いられた。2021年、METAS認定のCal. 8912へ役割を引き継いでいる。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerOmega
Reference8400
TypeAutomatic(自動巻)
DisplayAnalog
Frequency25,200 vph (3.5 Hz)
Jewels39 石
Power reserve60 h
Movement ⌀29 mm
HandsHours, Minutes, Seconds
AdditionalChronometer, Co-Axial Escapement
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 開発の背景:Cal. 8500系と磁気の課題

Cal. 8400の出発点は、2007年に発表されたCal. 8500にある。それ以前のオメガは、1999年のCal. 2500で汎用ベースにコーアクシャル脱進機を組み込む手法をとっていた。Cal. 8500は、この脱進機を前提に一から設計された自社製ムーブメントであり、以後のオメガの基幹系統となる。

その後の課題は磁気であった。スマートフォンやバッグの留め具など、日常にはムーブメントの精度を乱す磁場があふれている。オメガは2008年にシリコン製ヒゲゼンマイSi14を導入し、2013年にはシーマスター アクアテラ >15,000ガウスでCal. 8508を発表した。Cal. 8508はオメガ、ETA、Asulab、Nivarox-FARの技術者による共同開発とされ、Nivagauss™と名付けられた非磁性合金を天真などの軸部品に用いている。

2. 無日付という選択

2014年、オメガは1957年のシーマスター300(Ref. CK2913)を再解釈したシーマスター300 マスター コーアクシャルを発表した。ここに搭載されたのがCal. 8400である。Cal. 8500系から日付機構を外した仕様で、原型の簡潔な文字盤構成を損なわないための選択と読み取れる。

当時の「マスター コーアクシャル」の名称は、15,000ガウス超の耐磁性能を持つムーブメントを示すものであった。2015年には映画『007 スペクター』に因む限定モデル(Ref. 233.32.41.21.01.001)にも採用され、Cal. 8400の知名度を広げた。

3. 派生と後継

同系統には、ローターとテンプ受けを金製とした装飾版Cal. 8401がある。貴金属ケースのシーマスター300などに搭載された。

2015年、オメガはスイス連邦計量・認定局(METAS)と共同で「マスター クロノメーター」認定を開始し、グローブマスターから適用した。Cal. 8400はCOSC認定のクロノメーターであるが、METASの認定試験は受けていない。2021年のシーマスター300刷新では、基本構造を共有するCal. 8912が後継となった。Cal. 8400は、耐磁ムーブメントがMETAS認定体制へ移行する直前の世代を担った存在といえる。

4. 業界での位置

耐磁への取り組みには、大きく二つの系譜がある。一つは軟鉄製インナーケースでムーブメントを囲い、磁場を遮る手法である。もう一つは、ムーブメント自体を磁気の影響を受けにくい素材で構成する手法である。Cal. 8400は後者に属し、シースルーバックでムーブメントを見せられる点が構造上の特徴となる。ヒゲゼンマイ素材の刷新は他社でも並行して進められており、各社がそれぞれの設計思想で同じ課題に取り組んできた。

04 — LINEAGE

キャリバーの系譜

Predecessors & derivatives
05 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

コーアクシャル脱進機

Cal. 8400の中核は、コーアクシャル(Co-Axial)脱進機である。脱進機とは、香箱から伝わる力を一定の間隔で解放し、テンプに振動を維持させる機構を指す。英国の時計師ジョージ・ダニエルズが考案し、オメガが量産化した。

同軸上に重ねた2段のガンギ車、3つの爪石を持つアンクル、テンプ側のインパルスローラーで構成される。一般的なスイスレバー脱進機では、アンクルの爪石とガンギ車の歯が滑り合いながら力を伝える。コーアクシャルは力の伝達を押し込む動作中心に置き換え、摺動摩擦を抑える設計である。これにより潤滑油への依存が小さくなり、長期的な精度安定に寄与するとされる。

フリースプラング・テンプとSi14ヒゲゼンマイ

テンプ(振り子の役割を担う輪)は、緩急針を持たないフリースプラング方式である。歩度はテンプ外周の調整用おもりで合わせるため、衝撃で調整が狂いにくい。テンプは両端を支えるブリッジで保持され、片持ちの受けより安定性が高い。

ヒゲゼンマイ(テンプを往復させるばね)には、シリコン製のSi14を用いる。軽量で磁気の影響を受けず、温度変化への感度も低い素材である。振動数は25,200vph (3.5Hz)で、テンプが1秒間に7振動することを意味する。一般的な28,800vph (4Hz)よりやや低い値で、コーアクシャル脱進機の特性に合わせた設定とされる。

15,000ガウスの耐磁構造

15,000ガウスは1.5テスラに相当し、日常環境で想定される磁場を大きく上回る。Cal. 8400は軟鉄製インナーケースを用いず、ムーブメント自体で耐磁性能を確保する。Cal. 8508で確立された非磁性合金の軸部品や非鉄素材の脱進機部品を、同様に採用しているとされる。シースルーバックが採用できるのは、この構造による。

香箱と自動巻機構

香箱(主ゼンマイを収める円筒)は2つを直列に連結する。一方が他方を巻き上げる構成で、トルクを平準化しつつ60時間のパワーリザーブを確保している。自動巻きローターは両方向回転で巻き上げ、腕の動きを効率よく動力に変える。

操作性

時針を単独で1時間刻みに送る機能を備える。分針と秒針を止めずに時差を合わせられるため、移動の多い使用者に実用的である。

仕上げと認定

受けとローターには、オメガ独自のアラベスク状ジュネーブ・ウェーブ(Côtes de Genève en arabesque)を施す。直径は29mm、石数は39石。精度はCOSC(スイス公式クロノメーター検定協会)の認定を受けたクロノメーターである。

保守面では、コーアクシャル脱進機に対応した専門の知見が求められるとされる。

06 — CARRIERS

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

This caliber appears in 1 references
07 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

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