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Rolex · GMT-Master · 2020

GMT-Master II Stainless Steel / VTNR / Oyster

リューズと日付を9時側へ移した、現代ロレックス初の左リューズ量産機。緑黒ベゼルを持つGMT-Master II

126720VTNR-0001は、2022年に発表されたロレックスGMT-Master IIのステンレスモデルである。リューズと日付窓を9時側に置く左リューズ仕様で、現代のロレックスではこの構成を採る初の量産モデルとなった。40mmのOystersteel製ケースに、ブランド初の緑黒二色Cerachromベゼルと緑のGMT針を組み合わせ、Cal.3285を搭載する。本機は3連のOysterブレスレット仕様で、5連Jubilee仕様の126720VTNR-0002と同時に登場した。保守的なシリーズに配置の反転を持ち込んだ一本であり、愛好家には「Sprite」の名で知られる。

Ref. 126720VTNR-0001
発表年 2020
状態 現行品
限定 通常生産
コレクション GMT-Master
カテゴリ GMT
キャリバー 3285
ケース径 40 mm
防水 100 m
関連人物 ハンス・ウィルスドルフ
GMT デイト
01 — Specification

仕様

As of WatchBase sync · 2026.09.21
このモデルを比較する
Case · ケース
素材 Stainless Steel
形状 Round
径 40 mm
ガラス Sapphire
裏蓋 Closed
防水 100 m
Movement · ムーブメント
キャリバー 3285
タイプ Automatic
振動数 28,800 bph
石数 31 石
パワーリザーブ 70 時間
Dial · 文字盤 / Hands · 針
文字盤色 Black
インデックス Stick / Dot
針 Rolex Professional (Maxi)
i — Editorial

設計思想

Design philosophy

1. 2022年、予想を外した一本

2022年を前に、GMT-Master IIの新作として取り沙汰されていたのは、オールブラックベゼルの復活や赤黒の「Coke」配色だった。126710系の刷新は、2018年の126710BLRO、2019年の126710BLNRで一巡していた。次は色の追加だろうという見方が大勢だったとされる。

ロレックスが示したのは、そのどちらでもなかった。リューズと日付を9時側に移した126720VTNRである。現代のロレックスが左リューズを量産モデルに採用したのはこれが初めてで、緑黒のベゼルもブランド初の配色だった。細部の改良を積み重ねる作法で知られるブランドだけに、その意外性は際立ち、評価は大きく割れた。

2. 前任を持たないRef

126720VTNRには直接の前任Refが存在しない。技術的な土台は126710系にあり、40mmのケース、Cal.3285、24時間針と独立調整式の時針という中核は共有される。変わったのは配置であり、Ref番号も126710ではなく126720と改められ、独立したRefとして扱われている。

左リューズという発想自体は、グループ内で前例がないわけではない。姉妹ブランドのTudorは2016年、ダイバーズのPelagosに左リューズ仕様のPelagos LHD(Ref. 25610TNL)を加えている。ロレックス本体にも、過去にごく少数の左リューズ個体が作られたと伝わる。ただしカタログに常設される量産品として、看板シリーズに投入された例はなかった。

3. 緑が担う意味

緑はGMT-Master IIの歴史に、断続的に現れてきた色である。2005年のシリーズ50周年記念機116718LNは緑の文字盤を持ち、2007年の116710LNは緑のGMT針を備えた。126720VTNRは116710LN以来となる緑のGMT針を復活させ、さらにその色をベゼルにまで広げて配色の主役に据えた。ブランドを象徴する色が、シリーズの定型を崩したRefに与えられた点は示唆的である。

緑黒の組み合わせが炭酸飲料の缶を連想させることから、愛好家の間では「Sprite」の愛称が定着した。右腕用を意味するイタリア語から「Destro」とも呼ばれるが、いずれもロレックス自身が用いる名称ではない。

4. 変わり種から系譜へ

発表当初、本機を一度きりの実験と受け止める声は少なくなかった。しかし2025年、この構成が貴金属ケースにも展開されたことで、左リューズのGMTはひとつの系統として扱われ始める。2026年にはステンレスのPepsiがカタログを外れた。本機はいま、Batman系やBruce Wayneと並ぶステンレスGMTの主要な一角を占めている。


ii — Editorial

意匠分析

Visual analysis

本機の設計上の選択は、126710系の構成要素をほぼそのまま使いながら、配置だけを鏡像的に組み替えた点に集約される。リューズとリューズガードはケースの9時側へ移り、日付窓とCyclopsレンズ(日付を拡大するレンズ)も9時位置に置かれた。ケースやムーブメントを新造したのではない。両者の向きを反転させ、文字盤と日付ディスク、ブレスの取り付けを組み替える手法がとられたとされる。三重の防水構造を持つねじ込み式のTriplockリューズも、右リューズの兄弟機と共通である。

この配置は、二通りの着け方に応える。右腕に着ければ、一般的な時計を左腕に着けたときと同じ位置関係でリューズを扱える。左腕に着ければ、リューズが手の甲に当たらない。左利きのための時計と一括りにされがちだが、実際の効用はもう少し広い。

文字盤は光沢のある黒ラッカー仕上げで、Chromalight夜光を充填したホワイトゴールド製アプライドインデックスを配する。暗所では青く長く発光する。9時のインデックスが日付窓に置き換わったことで、盤面の左右の重心は通常のGMT-Master IIと逆になる。

ベゼルは緑と黒の二色Cerachrom(ロレックス独自の高硬度セラミック)で、24時間目盛の数字は型押しで成形される。緑のセラミックインサートを作った後、半周分を黒へ変色させる二段階の工程で仕上げるとされる。ロレックスはこの緑を、本機のために用意した専用色と説明している。24時間で文字盤を一周する矢印型の針も同じ緑に塗られ、ベゼルと呼応する。

ブレスレットは3連のOysterで、外側のリンクをサテン、中央のリンクをポリッシュで仕上げる。中央に光を通すことで、道具としての硬さをやわらげ、旅の時計らしい表情をつくっている。クラスプはOysterlock折りたたみ式で、約5mm延長できるEasylinkを備える。

ムーブメントは自社製のCal.3285。脱進機にはエネルギー効率を高めた特許機構、Chronergyエスケープメントを用いる。ヒゲゼンマイは磁気の影響を受けにくい青いParachrom製で、約70時間の持続時間を確保する。時針を1時間刻みで単独に進退させる機構は、リューズが左へ移っても手順は変わらない。


iii — Editorial

系譜と歴史

Lineage

126720VTNRは2022年3月、ジュネーブで開催されたWatches and Wonders Geneva 2022で発表された。ブレスレットは当初から2種が用意された。3連のOysterを備える本機126720VTNR-0001と、5連のJubileeを備える126720VTNR-0002である。新色を1種のブレスで出すことの多いロレックスとしては、珍しい出し方とされた。もっとも前年の2021年には、126710BLROと126710BLNRにもOysterブレス仕様が加わっている。ステンレスのGMT-Master IIでは、両ブレスを揃える体制がすでに整っていた。

生産開始後、文字盤の刷りやブレスの仕様について、公式に告知された変更は確認されていない。発表から4年余り、本機は初出時の仕様を保っている。

2025年のWatches and Wonders Geneva 2025では、同じ左リューズ構成を18Kホワイトゴールドに移した126729VTNRが加わった。緑黒のベゼルを受け継ぎつつ、文字盤にはロレックス初のセラミック製ダイヤルとなる緑のCerachromを採用し、ブレスはOysterのみの設定とされた。

2026年4月のWatches and Wonders Geneva 2026では、ステンレスのPepsi(126710BLRO)がカタログから外れた。これによりステンレスのバイカラーベゼルは、126710BLNR、2024年に加わった126710GRNR、そして本機の三系統となった。126720VTNR自体に変更は加えられず、2026年9月時点でも現行モデルとして公式カタログに掲載されている。


Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 公式 Watches - Rolex 公式 · Rolex · 2026.08.15 閲覧 Rolex · 2026.08.15
  2. 02 専門メディア Rolex Movements Explained 専門メディア · Bob's Watches · 2026.08.15 閲覧 Bob's Watches · 2026.08.15
02 — Price history

価格推移

2022–2026 · WatchLedger market index
2022-03-31 · EUR 10,5002023-01-10 · EUR 11,2002024-01-01 · EUR 11,6002025-01-04 · EUR 11,7502026-02-03 · EUR 12,050€10,500€10,888€11,275€11,663€12,0502022-032026-02

出典: WatchBase 観測価格 · 通貨タブ(JPY / USD / EUR)で系列を切替できます。

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03 — Derivatives

同型・派生 Ref

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