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CALIBER · Omega

8804

自動巻 Automatic Analog Chronometer Co-Axial Escapement

2018年、シーマスター 1948のために生まれた、オメガのマスター クロノメーター認定スモールセコンド自動巻

振動数
25,200 vph · 3.5 Hz
パワーリザーブ
60 時間
石数
35 石
ムーブメント径
29 mm
Cal. 8804
movement · 8804 図: ムーブメント — WatchBase
01 — OVERVIEW

概要

Cal. 8804は、オメガが2018年に発表した自社製自動巻キャリバーである。コーアクシャル脱進機とシリコン製Si14ヒゲゼンマイ、フリースプラング式テンプを備え、25,200vph (3.5Hz)、35石の構成で、スイス連邦計量・認定局(METAS)のマスター クロノメーター認定を受ける。Cal. 8800系の設計を受け継ぎ、秒表示を6時位置に移した点が特徴で、耐磁性は15,000ガウスに及ぶ。初搭載は70周年記念のシーマスター 1948 スモールセコンド(Ref. 511.12.38.20.02.001)で、2025年にはレイルマスター 38mmにも採用された。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerOmega
Reference8804
TypeAutomatic(自動巻)
DisplayAnalog
Frequency25,200 vph (3.5 Hz)
Jewels35 石
Power reserve60 h
Movement ⌀29 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
AdditionalChronometer, Co-Axial Escapement
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 開発の背景

Cal. 8804は、2018年3月のバーゼルワールドで、シーマスター誕生70周年を記念する限定モデルとともに発表された。同年、オメガはダイバー300Mの刷新に合わせてCal. 8800を投入しており、Cal. 8804はこの8800系の一員として生まれたキャリバーである。

8800系は、2015年にグローブマスターのCal. 8900で始まったマスター クロノメーター体制を、より小径のケースへ広げるための系列と位置づけられる。38mmのシーマスター 1948は、その受け皿となるサイズであった。

課題は文字盤にあった。1948年の初代シーマスターに範を取るには、6時位置の小さな秒針が欠かせない。1940年代のオメガの腕時計には、この配置が広く見られたとされる。中央秒針のまま外観だけを寄せる選択もあり得たが、オメガは秒表示を6時へ移した専用キャリバーを用意した。その答えがCal. 8804である。

2. 継承された技術の系譜

Cal. 8804の中核技術は、いずれもオメガが20年近くかけて積み上げてきたものである。コーアクシャル脱進機は、英国の独立時計師ジョージ・ダニエルズが1970年代に考案した機構で、オメガは1999年のCal. 2500で量産化に踏み切った。

耐磁の系譜も長い。1957年の初代レイルマスターは軟鉄のインナーケースで1,000ガウスに耐えたと伝わる。2013年にはCal. 8508が部品素材の変更によって15,000ガウスへ到達し、この方式が2015年のMETAS認定の基礎となった。Cal. 8804は、こうした蓄積をスモールセコンドという古典的な表示に載せた存在といえる。

3. 派生と展開

8800系には、デイト付きのCal. 8800、ノンデイトで中央秒針のCal. 8806、貴金属の部品を用いた派生などが並ぶ。Cal. 8804はそのなかで、秒表示の位置だけを変えた派生にあたる。シーマスター 1948の限定2機種も、中央秒針版がCal. 8806、スモールセコンド版がCal. 8804という対の構成であった。

この対の関係は、2025年のレイルマスター刷新でも繰り返された。グレー文字盤の中央秒針モデルにCal. 8806、ベージュのグラデーション文字盤を持つスモールセコンドモデルにCal. 8804が載る。量産ラインの主役ではないが、ヘリテージ色の強いモデルで起用される役回りが定着しつつある。

4. 業界での位置

現行の量産自動巻では、中央秒針が標準的な構成である。スモールセコンドは主にドレスウォッチや復刻モデルの文脈で選ばれる表示といえる。Cal. 8804は、その古典的な表示を、高耐磁と第三者認定を前提とする現代の仕様と組み合わせた点に特色がある。

同時期には、ロレックスが自社基準の高精度クロノメーター認定を掲げるなど、各社がそれぞれの方式で精度保証を打ち出していた。オメガは国の計量機関による外部認定という方式を選び、その枠組みをスモールセコンドの系列にまで広げたのである。

04 — LINEAGE

キャリバーの系譜

Predecessors & derivatives
05 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

コーアクシャル脱進機

脱進機とは、ゼンマイの力を一定の間隔で小出しにし、テンプへ伝える機構である。一般的なスイスレバー脱進機では、ガンギ車の歯がアンクルの爪の上を滑りながら力を渡すため、摺動摩擦が生じ、潤滑油の劣化が精度に影響しやすい。

コーアクシャル/Co-Axial脱進機は、同軸に重ねた二層のガンギ車と、三つの爪を持つアンクルで構成される。力の多くを押し込むような接触で伝えることで、滑りを伴う摩擦を減らす設計である。オメガはこれにより、潤滑への依存を抑え、長期にわたる精度の安定が得られると説明している。

テンプとヒゲゼンマイ

テンプは時計の調速を担う振り子にあたる部品で、ヒゲゼンマイはその往復運動を生む渦巻状のバネである。Cal. 8804はフリースプラング式を採用する。緩急針を持たず、テンプ外周の調整用部品で慣性モーメントを直接合わせる方式で、衝撃による設定のずれが起こりにくい。

ヒゲゼンマイはシリコン製のSi14である。シリコンは磁化せず、温度変化による弾性の変動も小さい。テンプを支える受けは両端で支持する構造とされ、耐衝撃性の確保に寄与する。

振動数は25,200vph (3.5Hz)で、テンプは1秒間に7回振動する。28,800vph (4Hz)より低めの設定は、コーアクシャル脱進機を採用するオメガの現行キャリバーに共通する。

耐磁性能と認定

15,000ガウス(1.5テスラ)の耐磁性は、軟鉄ケースで磁場を遮る方式ではなく、ヒゲゼンマイをはじめとする調速系の部品を非磁性素材で構成することで実現される。シースルーバックを採用しても耐磁性を損なわない点が、この方式の利点である。

マスター クロノメーター認定は二段階で行われる。まずムーブメント単体がISO 3159準拠のクロノメーター検定を受け、次に完成品の状態でMETASが定める8項目の試験に臨む。試験には15,000ガウスの磁場にさらした後の精度確認や、パワーリザーブ、防水性の検証が含まれ、日差の許容幅はマイナス側を認めない厳格なものである。

表示輪列と巻上げ

Cal. 8804の独自性は、秒表示の取り出し方にある。中央秒針のCal. 8806と基本設計を共有しつつ、秒針を6時位置の小径ダイヤルで表示する。自動巻は両方向巻上げで、手巻きも可能である。リュウズを引き出すと秒針が停止するハック機能を備え、時刻を秒単位で合わせられる。

香箱はシングルバレル構成とされる。パワーリザーブの数値はオメガ自身の資料間でも表記に差があるため、本稿では明記を控える。

仕上げ

地板と受け、ローターはロジウムメッキ仕上げで、表面にはアラベスク状のコート・ド・ジュネーブ(ジュネーブ・ウェーブ)が施される。シースルーバック越しの鑑賞を前提とした仕上げであり、搭載モデルによってネジやテンプの色調を変えるなど、意匠上の変化も見られる。

06 — CARRIERS

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

This caliber appears in 1 references
07 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

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