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CALIBER · Louis Vuitton

LFT023 PS

自動巻 Automatic Analog

2023年の新生タンブールに初搭載。22Kゴールドのマイクロローターを備える、ルイ・ヴィトン初の専用3針自動巻

振動数
28,800 vph · 4 Hz
パワーリザーブ
50 時間
石数
31 石
ムーブメント径
30 mm
Cal. LFT023 PS
movement · LFT023 PS 図: ムーブメント — WatchBase
01 — OVERVIEW

概要

Cal. LFT023 PSは、ルイ・ヴィトンの時計工房ラ・ファブリク・デュ・タンが設計した自動巻キャリバーである。開発はムーブメント専業のル・セルクル・デ・ゾルロジェとの共同による。2023年、一体型ブレスレットへ刷新されたタンブールで初搭載された。22Kローズゴールドのマイクロローターにより厚さ4.2mmに収め、6時位置にスモールセコンドを備える。振動数は28,800vph (4Hz)、パワーリザーブは約50時間、石数は31石。ジュネーブ天文台のクロノメーター認定を受け、無色透明の石と梨地の受けが意匠上の特徴となる。代表的な搭載例はRef. W1ST10とRef. W1ST20である。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerLouis Vuitton
ReferenceLFT023 PS
TypeAutomatic(自動巻)
DisplayAnalog
Frequency28,800 vph (4 Hz)
Jewels31 石
Power reserve50 h
Movement ⌀30 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 開発の背景

ルイ・ヴィトンが本格的に機械式時計へ参入したのは、初代タンブールが登場した2002年である。当初のムーブメントは、ETAやデュボア・デプラ、ラ・ジュー・ペレ、ゼニスといった外部の専業メーカーから調達していたとされる。

転機は2011年に訪れた。ミシェル・ナヴァスとエンリコ・バルバシーニが2007年にジュネーブで創業した工房、ラ・ファブリク・デュ・タンを買収したのである。2014年にはジュネーブ近郊のメイランに製造拠点を開設する。以後、スピンタイムやトゥールビヨン、ミニッツリピーターなど複雑機構の自社開発を重ねた。

一方で、日常使いの3針自動巻に専用機はなかった。2023年、タンブールは厚さ8.3mmの一体型ブレスレットモデルへ全面刷新される。この薄型ケースのために開発されたのがLFT023である。ブランドは本機を、同工房が設計した初の専用3針自動巻と位置づけている。

2. 共同開発という選択

LFT023は、ラ・ファブリク・デュ・タンが単独で作り上げた機械ではない。パートナーは、ムーブメント専業のル・セルクル・デ・ゾルロジェ(Le Cercle des Horlogers)である。同社はラ・ショー・ド・フォンに拠点を置き、時計ブランドのスピーク・マリンと同じオーナーの傘下にある。

専門誌の報道によれば、ラ・ファブリク・デュ・タンは設計と外観・装飾の定義を担い、一部部品も製造したという。基本構造はル・セルクル・デ・ゾルロジェのマイクロローター機と共通するとされる。スピーク・マリンのCal. SMA03-Tとは、いわば同系統の兄弟機にあたる。

ただし両機の仕立ては異なる。SMA03-Tは直径30mm・厚さ3.9mmで、ローターにタングステンを用いる。対するLFT023は30.6mm・4.2mmで、22Kゴールド製のローターを採る。受けの仕上げや石の色も含め、共通の骨格にそれぞれの設計思想を載せた例といえる。完全自社製とも汎用エボーシュとも異なる、専用設計の共同開発機と位置づけられる。

3. 派生と展開

LFT023 PSは、6時位置にスモールセコンドを備える仕様を指す。PSはセンターセコンド仕様のCSと区別するための呼称で、公式資料ではいずれも単にLFT023と表記される。初搭載はステンレススチールのRef. W1ST10とRef. W1ST20で、2023年7月に発表された。同年秋には金無垢やバイカラーが加わった。2025年にはセラミックケースのモデルや、オニキス文字盤、プラチナケースの限定モデルにも展開している。

2024年には、エスカル初の3針モデルにセンターセコンド仕様のLFT023 CSが搭載された。公表石数は32石とされ、受けの意匠にも細かな差異があると伝えられる。

4. 業界での位置

近年、マイクロローター自動巻を積む薄型の一体型ブレスレットウォッチが相次いでいる。ブルガリのオクト フィニッシモや、ショパールのアルパイン イーグル XPSがその例である。LFT023も同じ系譜に属するが、モノグラムを多用しない抑制的な意匠で独自の輪郭を示した。

2025年、ラ・ファブリク・デュ・タンは中央ローター式のCal. LFT MA01.01を発表する。脱進機など一部を除く部品の製造と組み立てを自社工房で行う自動巻とされる。受けの仕上げには、LFT023で示された意匠の語法が引き継がれた。発表当時、ブランド側はLFT023を今後のムーブメント設計の方向性を示すものと語ったと伝えられる。その言葉どおり、本機は同工房の新世代ムーブメントの起点に位置づけられる。

04 — LINEAGE

キャリバーの系譜

Predecessors & derivatives
05 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

基本仕様と表示

Cal. LFT023 PSは、時・分と6時位置のスモールセコンドを備える自動巻ムーブメントである。直径30.6mm、厚さ4.2mm。振動数は28,800vph (4Hz)、パワーリザーブは約50時間、石数は31石と公表されている。

4Hzとは、テンプ(往復回転運動で時間の刻みを決める調速用の輪)が毎秒4往復し、8回の振動を刻むことを指す。振動数を高めると衝撃や姿勢の変化による乱れが相対的に小さくなる一方、消費エネルギーは増える。現代の自動巻で広く採られる振動数である。

スモールセコンドは、一般に1分で1回転する4番車の軸に秒針を直接載せる表示方式である。秒針をセンターへ導く中間輪列を必要としない、古典的な構成といえる。

マイクロローター

最大の特徴は、22K(916/1000)ローズゴールド製のマイクロローターである。通常の自動巻はムーブメント全体を覆う大径の回転錘を重ねるが、マイクロローターは小径の回転錘を地板と同じ平面に組み込む。このため厚みを抑えられ、裏側から受けや輪列を遮られずに観察できる。

反面、回転半径が小さいぶん慣性モーメント(回転体の動かしにくさ・止まりにくさを表す量)は小さくなりやすい。慣性モーメントは質量と、回転軸からの距離の2乗に応じて大きくなる。そのため小径ローターでは、金やタングステン、プラチナなど比重の高い素材で質量を稼ぐのが定石となる。ルイ・ヴィトンは本機のローターを「高慣性」と説明しており、金の比重の高さを巻き上げに生かす設計と読み取れる。表面にはLVのモチーフを様式化したタペストリー状の彫刻が施される。

調速機構と精度認定

緩急機構には、エタクロン方式が用いられているとされる。ヒゲゼンマイ(テンプの往復に復元力を与える極細のばね)の有効長を変えて、歩度を微調整する仕組みである。汎用機でも広く使われ、調整作業のしやすさに配慮した方式として知られる。また、リューズを引いても秒針が止まらない、ハック機能を持たない仕様と伝えられる。

精度はジュネーブ天文台(Observatoire Chronométrique de Genève)の認定を受ける。運営するのは、ジュネーブ州の委託でジュネーブ・シールの管理も担う財団TIMELABである。判定はCOSCと同じISO 3159規格に準拠する。複数の姿勢と温度条件で歩度を測り、日差平均-4/+6秒を含む7項目の基準をすべて満たす必要がある。ジュネーブ・シールとは別個のクロノメーター認定である。

仕上げの特徴

受け(輪列の軸を上から支える部品)は、マイクロサンドブラストによる梨地を一段高い縁取りで囲み、エッジに面取りと鏡面仕上げを施す。受けの刻印はローズゴールドめっきのレリーフ文字である。地板には円形の粒状模様を重ねるペルラージュが入る。

香箱(主ぜんまいを収める円筒)の蓋はモノグラム・フラワーの形に透かし彫りされ、内部のぜんまいを覗かせる。軸受石には一般的な赤い合成ルビーではなく、無色透明の石を用いる。色数をローズゴールドの差し色に絞った、ほぼモノトーンの構成が本機の意匠を決定づけている。

06 — CARRIERS

このキャリバーを搭載する 4 本のリファレンス

This caliber appears in 4 references
07 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 専門メディア Welcome to the New Era: The Louis Vuitton Tambour 2023 専門メディア · Swisswatches Magazine · 2026.08.15 閲覧 Swisswatches Magazine · 2026.08.15
  2. 02 専門メディア Louis Vuitton caliber LFT023 PS 専門メディア · WatchBase · 2026.08.15 閲覧 WatchBase · 2026.08.15