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CALIBER · Louis Vuitton

LFT VO15.01

自動巻 Automatic Analog

2026年、同軸4本針で30分・45分の時差まで捉える、ルイ・ヴィトン自社製デュアルタイム自動巻

振動数
28,800 vph · 4 Hz
パワーリザーブ
68 時間
石数
26 石
ムーブメント径
30.6 mm
Cal. LFT VO15.01
movement · LFT VO15.01 図: ムーブメント — WatchBase
01 — OVERVIEW

概要

Cal. LFT VO15.01は、ルイ・ヴィトンの自社工房ラ・ファブリク・デュ・タンが開発・製造した自動巻である。2026年1月のLVMHウォッチウィークで、エスカル ツインゾーンとともに発表された。中心軸に現地時刻とホームタイムの時針・分針を計4本重ねる。30分・45分ずれのタイムゾーンにも対応する、デュアルタイム機構である。振動数28,800vph(4Hz)、パワーリザーブ68時間、26石。18Kローズゴールドのセンターローターを持つ。搭載はローズゴールドのRef. W3PG71と、プラチナにダイヤモンドを配したRef. W3PT61に始まる。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerLouis Vuitton
ReferenceLFT VO15.01
TypeAutomatic(自動巻)
DisplayAnalog
Frequency28,800 vph (4 Hz)
Jewels26 石
Power reserve68 h
Movement ⌀30.6 mm
HandsMinutes, Additional 12 Hour Hand (adjustable), Day / Night Indication, Hours
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 開発の背景

ルイ・ヴィトンの時計製造は、2002年のタンブール発表に始まる。転機は2011年、複雑機構の工房ラ・ファブリク・デュ・タンの買収である。同工房は2007年、ミシェル・ナヴァスとエンリコ・バルバシーニが創業した。ルイ・ヴィトンは2014年、ジュネーブ近郊メイランの新工房へ製造部門を集約し、以後の自社ムーブメント開発の拠点とした。

エスカルはフランス語で「寄港地」を意味し、その名のとおり旅を主題とするコレクションである。2014年には手描きの旗を配したワールドタイムで注目を集めた。2024年に時刻表示のみの構成で刷新され、2026年1月のLVMHウォッチウィークで複雑機構モデルが復帰した。このとき投入された新キャリバーの一つが、ツインゾーン用のCal. LFT VO15.01である。

開発の起点には、既存の旅行者向け機構が抱える制約があった。24時間針を持つGMTは1時間単位でしか時差を設定できず、ルイ・コティエ式のワールドタイムも24の基準都市を前提とする。インドやネパール、オーストラリア中部のように30分・45分ずれた標準時は、どちらの方式でも正確に示しにくい。

2. 設計の主題

ルイ・ヴィトンが選んだのは、第2時刻に時針だけでなく分針も与える構成である。現地時刻とホームタイムを、それぞれ完全な時・分の組として中心軸に重ねる。ブランドはこれを従来のGMTウォッチにない構成と説明する。開発上の課題には、4本目の針の協調と、15分・30分単位の調整を挙げている。

もう一つの主題は、第2時刻を必要なときだけ見せることにある。旅先では2つの時刻を並べ、自宅では時刻表示だけの静かな文字盤に戻す。旅の道具を日常の時計としても成立させる発想が、この機械の出発点となった。

3. 系譜と展開

ルイ・ヴィトンの自動巻は、ここ数年で外部との協業から自社一貫の開発へ比重を移してきた。2023年の新生タンブールには、ル・セルクル・デ・ゾルロジェと共同開発したマイクロローター式のLFT023が載る。2025年には、タンブール コンバージェンスのCal. LFT MA01.01が登場した。タイコ スピンタイム系のLFT ST13.01なども続き、自社開発の新しい自動巻ファミリーが姿を現した。

2025年の各機はいずれもパワーリザーブ45時間で、専門誌は将来の大径派生機がより長い持続時間を得ると予想していた。2026年のエスカル群は、その設計思想をより大きな自動巻ベースへ展開したものとされる。ワールドタイムのLFT VO12.01、そのトゥールビヨン版であるLFT VO05.01、そして本機がこの系列に並ぶ。VO15.01は同じベースにデュアルタイム表示を組み込み、VO12.01の62時間を上回る68時間を公称する。

4. 業界での位置

第2時刻を隠すという発想には先例がある。パルミジャーニ・フルリエは2022年、トンダ PF GMT ラトラパンテでその一例を示した。第2時針を主時針の下に重ね、プッシャー操作で呼び出す仕組みである。Cal. LFT VO15.01は時針に加えて分針も重ね、操作をリュウズに集約した点で異なるアプローチをとる。

サブダイヤルや2つの文字盤で、分単位まで独立した2時刻を示す時計も以前から存在する。本機はその課題を、中心軸上の4本の針という一つの表示面で解いた。分単位の2時刻表示と、その表示を消せる設計を一つの中心軸にまとめた点に、この機械の位置がある。

04 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

基本構成

Cal. LFT VO15.01は、直径30.6mm、厚さ5.4mmの自動巻ムーブメントである。石数は26石で、部品点数は201点とされる。振動数28,800vph(4Hz)は、テンプ(時計の速さを決める振り子状の輪)が1秒間に8回振動することを意味する。振動数が高いほど、腕の動きや衝撃による乱れの影響を受けにくい。秒針を持たない構成でも、日々の精度を支える基盤となる数値である。

パワーリザーブは68時間で、同じ系譜にある2025年型キャリバーの45時間から大きく伸びた。直径の拡大による香箱(主ゼンマイを収める円筒)の容量増が、この延長に寄与しているとみられる。

4本の同軸針

最大の特徴は、中心軸に4本の針を重ねる表示輪列(針を駆動する歯車群)にある。現地時刻の時針・分針は実体のある針、ホームタイムの時針・分針はスケルトンの針で示す。4本の針をそれぞれ独立に駆動するには、同心の管を4重に積み、高さ方向の隙間と回転の同心度を厳密に管理しなければならない。これらを厚さ5.4mmに収めた点に、設計の密度が表れている。

時差の設定は2段階で考えられている。1時間単位の時差であれば、現地の時針だけを前後に1時間ずつ送る。その間、2本の分針は重なったままで、スケルトンの分針は隠れている。30分・45分ずれの地域では、分針の一方を独立して動かす。複数の専門誌によれば、この調整は15分刻みで行われ、半端な時差に正確に合わせられる。

自宅で現地時刻をホームタイムに揃えれば、2組の針は重なり、外観は2針の時計と変わらない。専用の帰零機構を介さず、時刻合わせそのものが表示の切り替えを兼ねる構成とみられる。

リュウズと昼夜表示

操作はすべてリュウズで行い、プッシャーを持たない。公式資料は、リュウズの2つのポジションで調整が完結すると説明する。スイスの専門誌Worldtempusの実機検証では、中間位置が時差機構の操作を担うと報告されている。ケースに操作部品を増やさない構成は、エスカルの端正なケースラインを保つための選択でもある。

12時位置の昼夜表示は、ホームタイムに連動する。2組の針はいずれも12時間表示のため、ホームタイムの午前・午後を補う役割を果たす。

自動巻機構と調速

自動巻は、18Kローズゴールド製のセンターローター(回転錘)が担う。比重の大きい金は、同じ寸法でも大きな慣性モーメントを得やすく、巻き上げ効率に寄与する。ローターには「V」をモチーフとする装飾が施される。同誌の検証では両方向巻き上げとされ、その効率の高さが評価された。

調速機の詳細は、公式にはあまり語られていない。同系統のLFT MA01.01やST系では、緩急針を持たずテンプの慣性で歩度を調整するフリースプラング式が採用されている。本機も同じ設計思想に立つとみられるが、公式仕様での明記は確認できていない。

仕上げと検証

ブリッジはフロスト調のサンドブラスト仕上げで、周囲を磨き上げた縁取りと面取りが囲む。2023年の新生タンブール以降、ルイ・ヴィトン自社機に共通する意匠である。受け石には無色の石を用いるとされる。

確認した公式資料には、クロノメーター認定への言及は見当たらない。一方、Worldtempusは実機試験の結果も報告している。6姿勢で振り角に大きな変動はなく、実測のパワーリザーブも公称の68時間を上回ったという。単一個体の結果ではあるが、設計の安定性を示す資料の一つといえる。

05 — CARRIERS

このキャリバーを搭載する 2 本のリファレンス

This caliber appears in 2 references
06 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

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