本文へ
Louis Vuitton · Escale · 2026

Escale Worldtime Flying Tourbillon Platinum / Grand Feu Enamel

ワールドタイムの中心を星形のモノグラム・フラワーのトゥールビヨンに譲り、24都市の旗をグランフー・エナメルで焼いた2026年のエスカル

W3PT41は、ルイ・ヴィトンが2026年1月に発表したエスカル ワールドタイム フライング・トゥールビヨンである。同時発表のW3PTA1とは、40mmのプラチナケースと24都市の旗を並べた都市リングを共有する。本機はその文字盤の中心に、フライング・トゥールビヨンを据えた上位機にあたる。旗は手描きではなく、25色のグランフー・エナメルで焼成される。ケージは星形のモノグラム・フラワーを象り、60秒で1回転する。ムーブメントは自社製自動巻のCal. LFT VO05.01。ワールドタイムが本来中心に置く駆動系を外周へ移し、空いた中心を調速機構に明け渡した一本である。

Ref. W3PT41
発表年 2026
状態 現行品
限定 通常生産
コレクション Escale
カテゴリ ワールドタイマー
キャリバー LFT VO05.01
ケース径 40 mm
防水 50 m
ワールドタイム ジャンピングアワー トゥールビヨン
01 — Specification

仕様

As of WatchBase sync · 2026.09.19
このモデルを比較する
Case · ケース
素材 Rose Gold, Platinum
形状 Round
径 40 mm
厚さ 12.8 mm
ガラス Sapphire
裏蓋 Open
防水 50 m
Movement · ムーブメント
キャリバー LFT VO05.01
タイプ Automatic
振動数 28,800 bph
石数 40 石
パワーリザーブ 62 時間
Dial · 文字盤 / Hands · 針
文字盤色 Multi-Color
インデックス Arabic Numerals
針 Proprietary
i — Editorial

設計思想

Design philosophy

1. ワールドタイム、二つのかたちで戻る

2026年1月、ルイ・ヴィトンはミラノのLVMHウォッチウィークで、エスカルに複雑機構を呼び戻した。2024年に時刻表示のみのドレスウォッチとして再出発したコレクションにとって、複雑機構を伴う初めての拡張である。その軸に据えられたのが、2014年の誕生以来エスカルの原点とされてきたワールドタイムだった。

ワールドタイムはプラチナの2本で戻った。基準形のW3PTA1と、本機W3PT41である。両機は40mmのケースと24都市の旗の構図を共有する。そのうえで本機は、文字盤の中心にフライング・トゥールビヨンを加え、旗の表現をエナメルへ引き上げた。公式の製品情報は、本機をメゾンの時計の筆頭に位置づけている。

2. なぜ中心にトゥールビヨンなのか

ワールドタイムの多くは、1930年代にルイ・コティエが確立した配置を踏襲する。そこでは24時間の輪を、中心にある時の歯車から回すのが定石である。中心にトゥールビヨンを置けば、この経路は使えない。発表資料は、都市ディスクとトゥールビヨンを同じ空間に統合する必要があったと説明する。

その困難を引き受けた理由を、ラ・ファブリク・デュ・タンの共同創業者ミシェル・ナヴァスは「動き」に求める。ワールドタイムは時差のあいだを移る時計であり、同時に時計そのものが生きて感じられることが重要だったという。中心のトゥールビヨンは、この複雑機構に目に見える鼓動を与えたと彼は語る。専門家の一部は、中央トゥールビヨンとワールドタイムの組み合わせを前例のない試みと評している。

3. 2017年のV、2025年の花

エスカルが文字盤の中心にトゥールビヨンを置くのは、本機が初めてではない。2017年のエスカル スピンタイム トゥールビヨン セントラル ブルーが、その先例である。同機は12個の回転キューブで時を示すスピンタイムに、中央のフライング・トゥールビヨンを組み合わせていた。41mmのケースはチタンとプラチナの複合で、ケージはVの字を象っていた。ガストン・ヴィトンが1901年に考案した装飾記号に由来するとされる。

モノグラム・フラワー形のケージは、2025年1月の新作で初めて用いられたとされる。タンブール タイコ スピンタイム エアー フライング トゥールビヨン(Ref. W9WG11)である。同機のCal. LFT ST05.01は、パワーリザーブが45時間だった。本機はこの手法を、40mm級のケースに見合う中径のVO系列へ移し、ワールドタイムと組み合わせたものと読める。パワーリザーブは62時間に延びている。

4. エナメルの系譜のなかで

旗をエナメルで焼くという選択にも前段がある。2024年12月、エスカルは50本限定のW3PT21で、ギョーシェ彫りの上にグランフー・エナメルを重ねた青文字盤を示した。単色の地に用いた技法を、本機は25色の旗へ広げたことになる。W3PTA1がエスカル ワールドタイムの基準形だとすれば、本機は同じ構図の上で、機構と工芸の両面から到達点を示す役割を負う。


ii — Editorial

意匠分析

Visual analysis

ケースはW3PTA1と同じ40mmの950プラチナで、トランクの角金具を写したラグや八角形のリューズも共通する。差が現れるのは高さである。ドーム型風防を含む厚さは12.8mmで、W3PTA1の10.3mmより2.5mm厚い。専門誌aBlogtoWatchは、この増分をトゥールビヨン付きのLFT VO05.01を収めるためと説明する。

文字盤は外側から、都市ディスク、24時間ディスク、分の表示、トゥールビヨンの順に同心円を描く。現地時刻は12時位置の三角形の指標で読む。時と昼夜を示す24時間ディスクは、正時ごとに1時間分を跳躍する。W3PTA1が中央の分針で分を示すのに対し、本機の中心はケージが占める。分は18Kホワイトゴールド製のミニッツインジケーターが担い、ケージの外側を巡るとされる。操作はリューズに集約され、1段目で都市、2段目で時刻を合わせる。

ケージは星形のモノグラム・フラワーを象り、60秒で1回転する。フライング式は上側の受けを持たないため、正面からケージを遮る部品がない。開いた造形が光を通し、視線を中心へ集める。

都市リングの旗はグランフー・エナメルで作られる。色数は25で、手描きのW3PTA1の35色より少ない。発表資料によれば、5層に分けて730〜840℃で40回以上焼成する。鮮やかな緑と淡いピンクは1〜2回の焼成にしか耐えないため、最後に施される。焼き上がったディスクは研磨され、1枚に約80時間を要する。専門誌SJXは、技法をシャンルヴェ(金属の窪みにエナメルを埋めて焼く技法)と伝える。同誌は、手描きの旗が丸みと光沢を帯びるのに対し、本機の旗は平滑で輪郭が鋭く、艶を抑えた仕上がりになると観察する。

ムーブメントは自社製自動巻のCal. LFT VO05.01で、毎時28,800振動 (4Hz)で動く。部品数は337点、石数は40石で、W3PTA1のLFT VO12.01より49点・5石多い。ローターは18Kローズゴールド製で、裏蓋にはプラチナケースの目印となるサフラン色のサファイアが1石セットされる。

ストラップはW3PTA1と同じブルーのカーフだが、留め具はピンバックルではない。「LOUIS VUITTON」の刻印を入れたプラチナ製のフォールディングバックルである。着脱時の落下を防ぐ、機構に見合った実用上の選択とも読める。


iii — Editorial

系譜と歴史

Lineage

W3PT41は、2026年1月にミラノで開かれたLVMHウォッチウィーク2026で発表された。主要な専門誌は1月19日にそろって報じている。ルイ・ヴィトンは同じ場で、エスカルに5本の新作と4つの新キャリバーを加えた。本機のほか、ワールドタイムのW3PTA1、ツインゾーンのW3PG71とW3PT61、ミニッツリピーターのW3PGA0である。

発表時点で、SJXは本機がルイ・ヴィトンのブティックで扱われていると伝えた。日本では2月5日に、ルイ・ヴィトン ジャパンが新作5本を告知している。

本機の生産形態については、資料間に表記の揺れがある。発表資料の本文は、新作5本をパーマネント・コレクションへの追加と位置づけた。一方、日本と米国の公式製品ページは本機を限定モデルと表記する。製作数は公表されていない。

2026年9月1日、ジュネーブ時計グランプリ(GPHG)は、第26回のノミネート84本を公表した。本機はトゥールビヨン部門の6本に名を連ねる。受賞作は11月7日、ジュネーブの授賞式で発表される予定である。

2026年9月時点で、素材違いや文字盤違いの派生Refは確認できない。公式サイトへの掲載が続く現行モデルである。


Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 専門メディア Louis Vuitton's LVMH Watch Week 2026 Novelties 専門メディア · Haute Time · 2026.08.15 閲覧 Haute Time · 2026.08.15
  2. 02 専門メディア LVMH Watch Week 2026: Louis Vuitton Escale 専門メディア · Revolution Watch · 2026.08.15 閲覧 Revolution Watch · 2026.08.15
02 — Price history

価格推移

2026 · WatchLedger market index
2026-02-18 · EUR 242,000€220,000€230,000€240,000€250,000€260,0002026-022026-02

出典: WatchBase 観測価格 · 通貨タブ(JPY / USD / EUR)で系列を切替できます。

※ 上記はアフィリエイト広告です。価格・在庫は各販売サイトでご確認ください。

03 — Derivatives

同型・派生 Ref

Color · material · bracelet variants