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CALIBER · Mühle Glashütte

Mühle SW 200-1

自動巻 Automatic Analog デイト

ETA 2824-2に連なる Sellita SW200-1を基盤に、特許のキツツキ首微調整を組み込んだミューレの実用自動巻

振動数
28,800 vph · 4 Hz
パワーリザーブ
38 時間
石数
26 石
ムーブメント径
25.6 mm
Cal. Mühle SW 200-1
movement · Mühle SW 200-1 図: ムーブメント — WatchBase
01 — OVERVIEW

概要

Mühle SW 200-1は、Sellita SW200-1を基盤にミューレ・グラスヒュッテが独自改修した自動巻キャリバーである。SW200-1はETA 2824-2と同じ設計思想を持つ汎用機で、毎時28,800振動 (4Hz)、26石、38〜41時間のパワーリザーブを備える。ミューレは特許のキツツキ首微調整、自社ローター、ブルースクリューやグラスヒュッテ装飾を施し、文字盤にGlashütteを名乗る水準まで仕立て直す。S.A.R. Rescue-Timerや29er、Teutonia IIなど、同社の実用時計を広く支える基幹ムーブメントである。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerMühle Glashütte
ReferenceMühle SW 200-1
TypeAutomatic(自動巻)
DisplayAnalog
Frequency28,800 vph (4 Hz)
Jewels26 石
Power reserve38 h
Movement ⌀25.6 mm
HandsHours, Minutes, Seconds
DateDate
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 汎用機の系譜 — ETA 2824-2からSellita SW200-1へ

Mühle SW 200-1の素性を知るには、基盤となるSellita SW200-1の出自を辿る必要がある。その源流は、ETAが1970年代に確立した自動巻Cal.2824にある。改良版の2824-2は毎時28,800振動 (4Hz) の堅牢な実用機として、数十年にわたり多くのスイスブランドに供給されてきた。

2000年代初頭、ETAを擁するスウォッチグループは、グループ外ブランドへのムーブメント供給を段階的に絞る方針を打ち出す。この供給不安に対し、長年ETAの組立を担ってきたSellitaがSW200を投入した。2824系の基本特許が満了し、寸法互換を保つ設計が可能になったためである。改良版のSW200-1は、初期型で指摘された巻上系の課題を解消し、石数を26石 (2824-2は25石) とするなど細部を見直した世代にあたる。

2. ミューレの改修哲学とキツツキ首微調整

ミューレ・グラスヒュッテは、こうした汎用エボーシュをそのまま搭載するのではない。基盤を一度分解し、自社仕様へ組み直す。その象徴が、特許のキツツキ首微調整 (Spechthalsregulierung) である。

この機構は、グラスヒュッテ伝統の白鳥首微調整 (Schwanenhals) を発展させたものだ。発端は、ドイツ海難救助協会 (DGzRS) と共同開発したS.A.R. Rescue-Timerにある。荒天の救助現場で精度を保つには、衝撃に強い緩急調整が欠かせない。そこでミューレは従来の微調整機構を補強し、2003年6月7日に本機構の特許を出願した。名称は、緩急バネの形がキツツキの頭部に似ることに由来する。衝撃下でも調整位置を保ちつつ、微細な歩度調整を可能にする点に、その実用的価値がある。

3. SW系ミューレ版ファミリーの展開

ミューレはSW 200-1を起点に、Sellitaの各機能版へ同じ改修思想を広げている。曜日・日付のSW 220-1、指針式日付のSW 221-1、スモールセコンドのSW 260-1、ムーンフェイズのSW 280-1、第二時間帯のSW 330-2、大型日付のSW 400-1などが、いずれもキツツキ首微調整と自社ローターを備える。

なお、グラスヒュッテ伝統の3/4プレートは、ミューレが2008年に自社開発したMU 94系の特徴であり、Sellitaの構造を残すSW 200-1とは系統が異なる。汎用基盤を磨き上げる本系列と、独自設計を志向するMU系の二層構造が、現在のミューレを支えている。

04 — LINEAGE

キャリバーの系譜

Predecessors & derivatives
05 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

基盤アーキテクチャ

Mühle SW 200-1の土台は、11.5リーニュ (径25.6mm、厚さ4.6mm) のSellita SW200-1である。毎時28,800振動 (4Hz) で駆動し、テンプ — 往復運動で時間を刻む調速車 — は1秒間に8回振れる。高めの振動数は姿勢差や外乱への復元力を高め、実用域での安定に寄与する。

石数は26石。ETA 2824-2より1石多く、追加分は角穴車下の軸受に置かれ、巻上時の摩擦を抑える。動力はゼンマイを収める香箱から輪列へ伝わり、38〜41時間のパワーリザーブを生む。公称値は版や年代で異なるため、搭載モデルごとの確認が要る。

自動巻は両方向巻上のボールベアリング式ローターによる。回転を切替車で一方向の巻上力に変換し、効率よくゼンマイを巻き上げる。ヒゲゼンマイ — テンプの振動周期を司る渦巻状のバネ — にはNivaflex系の合金が用いられ、温度変化や帯磁の影響を抑える。

キツツキ首微調整の構造

ミューレはこの基盤の緩急装置を、特許のキツツキ首微調整へ置き換える。緩急針 — ヒゲゼンマイの有効長を変えて歩度を調整する針 — の動きを、キツツキの頭部に似た形状のバネで拘束する仕組みである。

バネの先端は、緩急針に設けた半円状の切り欠きに噛み合う。これにより針は、横方向に微調整ネジへ押し当てられると同時に、下方向にテンプ受へも押さえ込まれる。通常の緩急装置では強い衝撃で針が跳ね上がり調整がずれる恐れがあるが、本機構は二方向から針を固定してこれを防ぐ。

調整は微調整ネジを回し、緩急針を動かして行う。確定後はクランプネジで微調整ネジ自体を固定し、不用意な回転を抑える。救助現場の衝撃環境で精度を保つために生まれた設計であり、現在はすべてのミューレ機に展開されている。

仕上げと調整精度

ミューレは基盤を分解したうえで、自社製のブルースクリューに換装する。青焼きの被膜は装飾であると同時に、防錆の実利も兼ねる。ローターはロジウム加工を施した自社ローターに置き換わり、地板やブリッジにはグラスヒュッテ・ソラリゼーション (太陽光状の筋目) とペルラージュ (真珠状の円紋) が施される。これらの仕立てが、文字盤にGlashütteを名乗る根拠となる。

調整精度について、ミューレは日差0〜+8秒程度と、やや進む側で仕上げると公表している。Kampfschwimmerなどの運用機では6姿勢での調整も行われる。クロノメーター認定を前提とした設計ではないが、堅牢性と再調整の容易さを重んじる実務的な味付けが、汎用基盤に独自の性格を与えている。

06 — CARRIERS

このキャリバーを搭載する 3 本のリファレンス

This caliber appears in 3 references
07 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 公式 Mühle-Glashütte 公式 · 2026.08.15 閲覧 2026.08.15
  2. 02 専門メディア Sellita Caliber SW200-1 専門メディア · Caliber Corner · 2026.08.15 閲覧 Caliber Corner · 2026.08.15