海とロレックスの距離
ロレックスと海の関係は、ダイバーズウォッチのサブマリーナーより前にさかのぼる。1958年、同社は名門ニューヨーク・ヨット・クラブと関係を結び、帆走の世界に足場を築いたとされる。1966年から翌年にかけては、フランシス・チチェスターがヨット「ジプシー・モスIV世」で単独世界一周を成し遂げた際、その腕にロレックスのオイスターがあった。
一方で「Yacht-Master」という名そのものは、製品より四半世紀ほど早く現れていたと伝わる。1960年代後半、デイトナに似たクロノグラフの文字盤に同名を記した試作が存在したとされ、ケース径は当時のデイトナより大きい39.5mm前後だったという。ただしこの個体の真贋には議論があり、ロレックスは公式見解を示していない。確かなのは、海上計時の構想がブランドの中で長く温められていたという事実である。