1979年、ブレスレットとしての時計
1970年代、腕時計はひとつの転機を迎えていた。1972年のロイヤルオーク、1976年のノーチラスが示したのは、ケースとブレスレットを連続した造形として設計する「一体型スポーツウォッチ」という新しい語法である。多くのブランドが、ステンレススティールでこの流れに連なった。
ピアジェの答えは異なっていた。1979年、4代目イヴ・G・ピアジェの構想から生まれたポロは、鋼ではなく18金無垢で仕立てられた。ニューヨークの販売元との対話を契機に、米国市場が求めた高級スポーツウォッチへの回答として構想されたと伝わる。イヴ・G・ピアジェは後に、その思想を「これは単なる腕時計ではなく、ブレスレットである」と語ったとされる。
文字盤からケース、ブレスレットまでを、ゴドロンと呼ばれる平行な隆起が途切れなく貫く。リューズはケース裏に収められ、表情は意匠だけで構成された。駆動するのは、当時最薄級とされたクォーツ・キャリバー7Pである。アンディ・ウォーホルやブルック・シールズらが腕に巻き、ポロは時代の空気そのものとなった。