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PIAGET · SERIES

Polo

ポロ

腕時計ではなくブレスレットとして構想された、ジェットセット時代のスポーツ・シックの原点

01 — 概要 / SUMMARY

ポロは、1979年にイヴ・G・ピアジェの構想から生まれた一体型ブレスレットの腕時計である。ケースから文字盤、ブレスレットまでをゴドロンと呼ばれる平行な隆起が貫き、装飾とスポーツ性を両立させた。18金無垢のクォーツ時計はジェットセットの象徴となり、1980年代を代表する一本となる。現行ではステンレススティールのPolo Date/Polo Chronograph/Polo Skeletonと、初代意匠を復刻したPolo 79が併存する。

02 — STORY · 物語

Polo(ポロ)、これまでの軌跡

The story of this series
01

1979年、ブレスレットとしての時計

1970年代、腕時計はひとつの転機を迎えていた。1972年のロイヤルオーク、1976年のノーチラスが示したのは、ケースとブレスレットを連続した造形として設計する「一体型スポーツウォッチ」という新しい語法である。多くのブランドが、ステンレススティールでこの流れに連なった。

ピアジェの答えは異なっていた。1979年、4代目イヴ・G・ピアジェの構想から生まれたポロは、鋼ではなく18金無垢で仕立てられた。ニューヨークの販売元との対話を契機に、米国市場が求めた高級スポーツウォッチへの回答として構想されたと伝わる。イヴ・G・ピアジェは後に、その思想を「これは単なる腕時計ではなく、ブレスレットである」と語ったとされる。

文字盤からケース、ブレスレットまでを、ゴドロンと呼ばれる平行な隆起が途切れなく貫く。リューズはケース裏に収められ、表情は意匠だけで構成された。駆動するのは、当時最薄級とされたクォーツ・キャリバー7Pである。アンディ・ウォーホルやブルック・シールズらが腕に巻き、ポロは時代の空気そのものとなった。

02

黄金時代と、その後の沈黙

1980年代、ポロはジェットセットの象徴として成功を収め、その意匠は広く模倣された。当初この時計に名はなく、リファレンス番号で呼ばれていた。「ポロ」の名は、馬上の競技が体現する贅沢とスポーツの融合という世界観に合わせ、後から与えられたものである。

しかし時代は移る。1988年、ピアジェはヴァンドーム・グループ(後のリシュモン)の傘下に入った。創業家による経営が幕を閉じると、ポロは1980年代末に生産を終え、十余年の沈黙に入る。

03

機械式への回帰

ポロが再び動き出すのは2001年である。ケース径は拡大し、文字盤には特徴的なアラビア数字が配された。一体型ブレスレットとゴドロンは初代との連続性を保つ一方、最大の変化は内部にあった。電子式の7Pに代わり、自動巻のキャリバー504Pが搭載される。ポロが初めて機械式となった瞬間である。

2009年、誕生30周年を機に登場したポロ・フォーティファイブは、さらに大胆だった。45mmのチタンケースにラバーを組み合わせ、ピアジェには珍しい素材実験へ踏み込む。心臓部には自社製の超薄型自動巻クロノグラフ、キャリバー880Pを据えた。フライバックと第二時間帯を備え、ジュネーブ時計グランプリ(GPHG)にも名を連ねた。

04

ステンレススティールという決断

2016年7月、ポロは姿を大きく変えて戻ってきた。ポロS。末尾のSは「Steel(スティール)」を意味し、ピアジェのポロが初めてステンレススティールで仕立てられたことを示す。

新しいケースは、丸いベゼルの内側にクッション型を描く「シェイプ・ウィズイン・シェイプ」。その造形は、むしろ自社のエンペラドールを思わせるものだった。文字盤には初代を想起させる横方向の筋目が刻まれたが、ゴドロンが全体を貫く初代の一体感とは異なる解釈である。搭載されたキャリバー1110P(3針)と1160P(クロノグラフ)は、薄型を身上とするピアジェにしては厚みのある実用機だった。

この刷新は賛否を呼んだ。初代の語法からの距離をめぐる議論である。やがてコレクション名から「S」は外れ、単に「ポロ」となる。2021年には超薄型スケルトンのキャリバー1200S1を収め、ケース厚6.5mmという薄型路線へ回帰したポロ・スケルトンが登場した。薄さという出自への接近が、ここから始まる。

05

原点への帰還

2024年、創業150周年。ピアジェはポロ79を発表した。38mm・18金、初代の意匠を忠実に再現した一本である。クォーツに代わって収められたのは、超薄型自動巻のキャリバー1200P1。マイクロローターを備え、1960年の名機12Pの系譜を継ぐ。同年のGPHGでは「アイコニック・ウォッチ」賞を獲得した。

翌2025年にはホワイトゴールドとプラチナ、2026年には2色の金を組み合わせたツートーンが続く。並行して、スティールの「ポロ」コレクションも文字盤にゴドロンを取り戻し、初代の意匠コードへ歩み寄った。

今日のポロは、二つの系譜を併せ持つ。日常に寄り添うスティールのスポーツ・ライン、そして初代を継ぐ18金のポロ79。一体型の造形とゴドロンという核を保ったまま、ポロは半世紀近くを越えて続いている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

ポロの設計思想は、イヴ・G・ピアジェの一言に集約される。「これは腕時計ではなく、ブレスレットである」。ケース・文字盤・ブレスレットを別々の部品としてではなく、ひとつの連続した造形として捉える。この発想が、ポロのすべてを規定している。

それを成立させるのがゴドロンである。平行に並んだ丸みのある畝状の隆起で、反転したフルーティングのように、文字盤からケース、ブレスレットの一片までを同じ律動で覆う。光を受ける研磨面と、艶を抑えたサテン仕上げが交互に走り、視線は途切れることなく手首を一周する。初期モデルがリューズをケース裏に隠したのも、表情を意匠だけに委ねるためであった。

この造形の背後には、ピアジェが積み上げてきた二つの伝統がある。ひとつは超薄型ムーブメント、1957年の手巻9P、1960年のマイクロローター自動巻12Pに連なる薄さの追求。もうひとつは金細工と宝飾の技術である。ポロは、薄く仕立てた金無垢のオブジェという、この二つが交わる地点に立つ。

同時代の一体型スポーツウォッチがその多くをステンレススティールに求めたのとは対照的に、ポロは長く金にこだわった。ロイヤルオークの八角ベゼルやノーチラスの舷窓型が工業的な力強さを語ったのに対し、ポロは宝飾由来の連続性と柔らかな量感で輪郭を描く。スティールが採用されたのは2016年、誕生から37年後のことである。

何が変わり、何が変わらなかったか。ケース径も素材もムーブメントも、時代に応じて姿を変えてきた。一方でゴドロンと、研磨とサテンが織りなすコントラストは、半世紀近くを通じてポロの「顔」であり続けている。2016年の刷新が一度その核から離れ、近年の復刻で再び引き寄せられた事実は、この意匠コードがブランドにとって手放せないものであることを示している。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1979-1980年代後半
Cal. 7P
当時最薄級とされたクォーツ。ブレス型の薄さを支えた。
2001-2008
Cal. 504P
初の自動巻採用。機械式への回帰を象徴する世代。
2009-2015
Cal. 800P / 880P
自社製の超薄型自動巻と、フライバック・クロノ。
2016-現在
Cal. 1110P / 1160P
スティール世代の自動巻3針とクロノグラフ。
2021-現在
Cal. 1200S1
超薄型スケルトン。オフセンターのマイクロローター。
2024-現在
Cal. 1200P1
12Pの系譜を継ぐ超薄型マイクロローター自動巻。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1979-1980年代後半

初代ポロ ― 金無垢の原点

7761 7131 系
18金無垢のクォーツ。ゴドロンが全体を貫く一体型ブレスレットの原点。
2001-2008

機械式復活世代

Polo (自動巻)
ケース大型化とアラビア数字。初の自動巻でポロが機械式へ回帰した世代。
2009-2015

45mm・素材実験世代

Polo FortyFive
30周年記念。45mmのチタンとラバーで素材実験に踏み込んだ世代。
2016-現在

スティール世代

Polo S → Polo
初のステンレススティール。丸ベゼルにクッション型を組む新解釈。
2021-現在

スケルトン世代

Polo Skeleton (G0A45001 G0A45004)
厚さ6.5mmへ。超薄型スケルトンで薄型という出自に回帰した世代。
2024-現在

79年復刻世代

Polo 79
創業150周年の復刻。38mm・18金で初代の意匠を忠実に再現した世代。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 公式 Watches - Piaget 公式 · Piaget · 2026.08.15 閲覧 Piaget · 2026.08.15
  2. 02 専門メディア Piaget Polo S and Polo S Chronograph in steel 専門メディア · Monochrome Watches · 2026.08.15 閲覧 Monochrome Watches · 2026.08.15
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

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