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Patek Philippe · Nautilus · 2006–2014

Nautilus 5980 Blue

2006年、ノーチラスに初めてクロノグラフを与えた一本。ブランド初の自社製自動巻クロノCal.CH28-520Cを搭載する。

5980/1A-001は、2006年にノーチラス誕生30周年を機に発表された、シリーズ初のクロノグラフである。SS製クッションケースは40.5mm径・厚12.16mm、防水120m。ノーチラス両脇の「耳」部分にプッシャーを溶け込ませた独特の意匠を採り、6時位置の単一サブダイヤルに60分積算計と12時間積算計を統合するモノカウンター表示を備える。搭載されるCal.CH28-520Cは、長らく外部に依存していたパテック・フィリップが初めて完成させた自社製自動巻クロノグラフ機構であり、本作はそのデビューとほぼ同時に世に出た。

Ref. 5980/1A-001
発表年 2006
状態 生産終了
限定 通常生産
コレクション Nautilus
カテゴリ ラグジュアリースポーツ
キャリバー CH 28-520 C
ケース径 40.5 mm
防水 120 m
関連人物 アントニ・パテック
クロノグラフ デイト
01 — Specification

仕様

As of WatchBase sync · 2026.05.11
Case · ケース
素材 Stainless Steel
形状 Cushion
40.5 mm
ガラス Sapphire
裏蓋 Open
防水 120 m
Movement · ムーブメント
キャリバー CH 28-520 C
タイプ Automatic
振動数 28,800 bph
石数 35 石
パワーリザーブ 55 時間
Dial · 文字盤 / Hands · 針
文字盤色 Blue
インデックス Stick / Dot
Stick
i — Editorial

設計思想

Design philosophy

1. 30周年を迎えたノーチラスの再起動

1976年に発表されたノーチラスは、ジェラルド・ジェンタによる「ラグジュアリースポーツウォッチ」という新しい時計類型を、ロイヤルオークと並んで定義した存在となった。発表から30年を迎えた2006年、パテック・フィリップはコレクション全体を全面的に組み直す。同年のバーゼルワールドで発表されたのは、新ムーブメントを搭載した3針モデル5711/1A、パワーリザーブとムーンフェイズを備えた5712/1A、そしてシリーズ史上初のクロノグラフ、5980/1A-001だった。30周年は、単なる記念ではなく、ノーチラスというラインがどこまで広がりうるかを示す節目でもあった。

2. ノーチラスにクロノグラフを与えるという決断

クロノグラフは、ノーチラスの本来の設計言語からはやや異質な機構である。ジェンタが描いたオリジナルRef.3700は、ドレスでもスポーツでもない中間領域の時計であり、追加機構を持たない時分秒+日付という極めて簡潔な構成を貫いていた。プッシャーという外形上の異物を加えながら、ノーチラスのプロポーションを保てるか。「クロノグラフを与えても、ノーチラスのまま」であることが、本作最大の設計上の課題となった。両脇の張り出しに平型プッシャーを溶け込ませる構造は、その回答である。

3. パテック初の自社製自動巻クロノグラフが宿る

本作が時計史的に重要なもう一つの理由は、搭載される機械にある。長らくパテックは、レマニアをはじめとする外部供給に頼ってクロノグラフを組み上げてきた。2005年に発表された年次カレンダー・クロノグラフ5960P-001を起点として、その自社化が結実する。5980/1A-001は、5960P-001と共通の基盤を持つCal.CH28-520シリーズの簡略版、Cal.CH28-520Cを与えられた最初のノーチラスとなった。コラムホイール制御、垂直クラッチ、21Kゴールド製センターローター。当時の自動巻クロノとして最も先進的な構成要素が、ノーチラスの薄型ケースに収まる形で実現されている。

4. シリーズ史におけるこのRefの座

発売当時、本作の市場の受け止めは穏やかなものであったと伝わる。3針の5711/1Aや、ムーンフェイズを抱える5712/1Aと比べると、本作の「ノーチラスらしくなさ」が際立って映ったためだ。だが時間を経て、5980/1A-001が残したものは大きい。クロノグラフという機構がノーチラスのデザイン言語と折り合えることを証明したからこそ、後年のRef.5990/1A-001(ノーチラス・トラベルタイム・クロノグラフ)や、アクアノートに展開された5968系の派生が成立した。3針のノーチラスを超えて広がっていく分岐点に、このRefは位置している。


ii — Editorial

意匠分析

Visual analysis

ケースは40.5mm径・厚12.16mmのクッションシェイプである。同年に登場した3針の5711/1Aより、約1.2mm厚いこの寸法は、自社製自動巻クロノグラフ機構を内包した結果として導き出された。ノーチラスを定義してきた両脇の「耳」、すなわちラグ近傍の張り出し部に、クロノグラフ用プッシャーが組み込まれる。一般的な丸型プッシャーを採用せず、ケース造形と一体化した平型プッシャーが2時・4時に配される。視覚的にはケース輪郭の延長として読まれ、クロノグラフ機能の存在感は意図的に抑え込まれている。

文字盤は、深いブルーから外周にかけて黒へと沈むグラデーション仕上げを纏う。ノーチラス伝統の横方向エンボス模様が刻まれ、ホワイトゴールド製のアプライドインデックスとバトンハンドにはルミナス塗布が施される。最も特徴的なのは6時位置のサブダイヤルであり、クロノグラフの60分積算計と12時間積算計を、同心円状の単一カウンターに統合する「モノカウンター」設計が採用されている。3時位置の日付窓と、この6時位置のサブダイヤルだけで構成されることで、ダイヤルの左右対称性が保たれている。日付送りはケース脇のプッシャーから行う構造で、リューズには日付調整機能を持たせていない。

ブレスレットはノーチラス伝統のH型リンク。サテン仕上げの外側リンクと、ポリッシュ仕上げの中央リンクが切り分けられ、ダブルフォールディングクラスプが装着される。サファイアクリスタル製のバックを通して、搭載されるCal.CH28-520Cを観察できる。35石、毎時28,800振動 (4Hz)、最大55時間のパワーリザーブ。21Kゴールド製センターローターはセラミックベアリングで支持され、ジャイロマックス・テンプにスピロマックスひげゼンマイ(後期生産)が組み合わされる。当初はジュネーブ・シールを刻印して出荷され、後年にはパテック・フィリップ・シール認定へと刻印仕様が改められた。


iii — Editorial

系譜と歴史

Lineage

5980/1A-001は、2006年4月のバーゼルワールドで発表された。同年はノーチラス誕生30周年にあたり、コレクション全体の刷新が行われた中、シリーズ初のクロノグラフとして世に問われた一本である。生産開始は同2006年内。発売直後の市場の反応は穏やかであり、ステンレススチール製クロノグラフとしてはやや挑戦的な位置付けで受け止められたと伝わる。搭載されるCal.CH28-520Cは、当初はジュネーブ・シールを刻印して出荷されたが、パテックが自社認定基準「パテック・フィリップ・シール」を制定した2009年を境に、刻印仕様が順次切り替わっていった。2010年には、同一ケース寸法のままダイヤルカラーをブラックへと変更した派生Ref.5980/1A-014が追加され、SSノーチラス・クロノグラフは2系列体制となる。生産期間中、ハンドの夜光塗料や仕上げの細部に小規模な調整が入ったと伝わるが、ケース径、ベゼル形状、ブレスレット構造に大きな変更はない。2014年をもって、本作と5980/1A-014は共に生産を終了した。SS製ノーチラス・クロノグラフの後継枠は、同年のバーゼルワールドで発表された5990/1A-001(ノーチラス・トラベルタイム・クロノグラフ)に引き継がれる構図となった。生産終了後、5980系列は18Kローズゴールドの5980/1R-001、ツートーンの5980/1AR-001、ホワイト系ダイヤルの5980/1A-019などへと展開されたが、SS製ブルーダイヤルというオリジナル仕様はこの5980/1A-001だけが担った形で歴史に残った。

02 — Price history

価格推移

2007–2012 · WatchLedger market index
2007-05-02 · EUR 27,6702010-04-01 · EUR 29,2502012-03-01 · EUR 39,720€27,670€30,683€33,695€36,708€39,7202007-052012-03

出典: WatchBase 観測価格 · 通貨タブ(JPY / USD / EUR)で系列を切替できます。

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03 — Derivatives

同型・派生 Ref

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