用語 / TERM · Sapphire Crystal
サファイアクリスタル
腕時計の風防に用いられる合成コランダム。モース硬度9の傷つきにくさを持つ
サファイアクリスタル(Sapphire Crystal、別名:サファイアガラス)とは、人工的に合成したコランダム(酸化アルミニウムの単結晶)を加工して作られる、腕時計の風防に用いられる素材である。「サファイアガラス」の呼称も広く使われるが、結晶構造を持つ単結晶であり、非晶質のガラスとは厳密には異なる。
天然サファイアと同じ結晶構造を持ち、モース硬度は9。ダイヤモンドに次ぐ硬さで、日常使用における擦り傷をほぼ受け付けない。一方で素材としては脆く、強い衝撃で割れやすい性質を持つ。アクリル風防のように研磨で傷を消すことができず、損傷時は交換が前提となる。
合成サファイアの工業生産は、1902年にフランスの化学者オーギュスト・ヴェルヌイユ(Auguste Verneuil)が公表した火炎溶融法(ベルヌーイ法)を起点とする。現在はキロプーロス法やチョクラルスキー法など、より大型で高品質な単結晶を育成する手法も併用される。
腕時計への採用は、1930年代のジャガー・ルクルト「レベルソ」が最初期の例とされる。散発的な使用が続いた後、1970年代以降にロレックスをはじめとする高級ブランドが順次採用を進め、現代の機械式時計では風防の標準素材となった。
光の反射を抑える無反射(AR)コーティングを施す仕様も広く見られる。内側のみに施す構成や、両面に施すダブルARなど、ブランドや用途により仕様は異なる。