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Grand Seiko · Spring Drive · 2017

Spring Drive 8 Days Pink Gold / Black Stardust / Strap

独立元年の2017年、星空を宿す漆黒の文字盤とともに登場した8日巻スプリングドライブの18Kピンクゴールド版

SBGD202は、グランドセイコーが独立ブランド化した2017年に加わったマスターピースコレクションの一本である。複雑時計を手がけてきたマイクロアーティスト工房が、3つの香箱で8日(192時間)の駆動を実現した手巻Cal.9R01を製造し、43mmの18Kピンクゴールドケースに収める。前年のプラチナ版SBGD001(現SBGD201)と機構・寸法を共有しつつ、文字盤には信州の星空を表現した漆黒の「スターダストダイヤル」を採用。冬の朝の光を映す白いプラチナ版に対し、夜空を担う対照的な性格を持つレギュラーモデルである。

Ref. SBGD202
発表年 2017
状態 現行品
限定 通常生産
コレクション Spring Drive
カテゴリ ドレス
キャリバー 9R01
ケース径 43 mm
防水 100 m
関連人物 赤羽 好和
パワーリザーブ
01 — Specification

仕様

As of WatchBase sync · 2026.06.10
Case · ケース
素材 Pink Gold
形状 Round
43 mm
厚さ 13.2 mm
ガラス Sapphire
裏蓋 Open
防水 100 m
Movement · ムーブメント
キャリバー 9R01
タイプ Spring Drive
石数 56 石
パワーリザーブ 192 時間
Dial · 文字盤 / Hands · 針
文字盤色 Black
インデックス Stick / Dot
Dauphine
i — Editorial

設計思想

Design philosophy

専門工房がグランドセイコーに参入するまで

スプリングドライブの製造拠点である長野県塩尻市には、2000年に設立されたマイクロアーティスト工房がある。クレドールのソヌリ、ミニッツリピーター、エイチを生んだ少数精鋭の部門である。その工房が初めてグランドセイコーのために開発したムーブメントが、手巻Cal.9R01だった。香箱を3つ直列に連結し、従来の3日巻を大きく超える8日(192時間)の駆動時間を確保する。2016年3月のバーゼルワールドで、9R01はプラチナケースのSBGD001に搭載されて発表された。グランドセイコーの最上位を担うマスターピース路線の起点である。

ブランド独立の年に生まれた金無垢版

2017年3月、グランドセイコーはセイコーから独立したブランドとなり、文字盤から「SEIKO」表記が外れた。SBGD001が「Grand Seiko」単独表記のSBGD201へ移行したのと同じ年の6月、第2のレギュラーモデルとしてSBGD202が発表された。ケース素材を18Kピンクゴールドへ替え、文字盤は当初から新表記で仕立てられている。独立後の体制で世に出た、最初の8日巻マスターピースという位置づけである。発表時の価格はプラチナ版より抑えられており、この機構への入口をわずかに広げる役割も担った。

「冬の朝」から「星空」へ

SBGD201の白い文字盤は、諏訪地方の冬の朝に舞うダイヤモンドダストを主題とする。対するSBGD202は、同じ信州の澄んだ夜空を主題に選んだ。プラチナ版で培われた「ダイヤモンドダストダイヤル」の技法を発展させたものが、漆黒の「スターダストダイヤル」である。めっきと塗装を重ねる特殊な工程により、黒地の奥で無数の粒子が瞬く。機構と寸法を保ったまま、文字盤の工芸で別の時間帯を描き分ける手法は、9R01プラットフォームの展開軸が複雑化ではなく意匠表現にあることを示した。

宝飾派生への布石

SBGD202以降、9R01搭載機は限定の宝飾モデルとして広がっていく。2020年のSBGD205、2021年のSBGD207、2023年のSBGD213は、いずれもプラチナケースに宝石を配した少数限定である。通常生産はSBGD201とSBGD202の2本に保たれ、本作は金無垢という選択肢を担い続けている。また工房は2019年に薄型の第2ムーブメントCal.9R02を完成させ、SBGZ001などへ展開した。8日巻の9R01系と薄型の9R02系という2系統の出発点に、SBGD201と本作が並んで立っている。


ii — Editorial

意匠分析

Visual analysis

設計の出発点は、SBGD201と共有する直径43mm・厚さ13.2mmのケースにある。グランドセイコーとしては大ぶりだが、ラグが短く、ストラップの取り付け位置も低いため、数値の印象ほど嵩張らずに手首へ収まる。ベゼルを薄く立ち上げ、裏蓋の外周を凹面に絞った断面も見どころで、週に一度の巻き上げを前提とする手巻時計として、リューズに指を掛けやすくするための処理と説明される。

素材は18Kピンクゴールド。プラチナで鋭いエッジを出すために開発された特殊なザラツ研磨が、この金合金にも適用される。歪みのない鏡面と稜線の鋭さを柔らかい貴金属の上で再現するもので、量産モデルのステンレスケースとは異なる手数を要する仕上げである。

このRefを定義するのは文字盤だ。黒のめっきの上に塗装を幾層も重ね、微細な粒子を閉じ込める「スターダストダイヤル」は、塩尻から見上げる満天の星空を主題とし、光の角度で煌めきの密度が変わる。針とインデックスは多面カットの鏡面仕上げで、漆黒の地との反射差によって視認性を確保する。色調はケースと揃えたピンクゴールドで、全体をひとつの色温度でまとめている。

裏返せば、サファイアガラス越しに9R01の景観が広がる。富士山の稜線を象る一体型ブリッジ、太陽に見立てたグライドホイール、諏訪湖の形を写したパワーリザーブ表示。ルビーの受け石と青焼きのネジは、諏訪の街の灯を表すという。表が星空、裏が湖畔の夜景という呼応は、黒文字盤の本作でひときわ筋が通る。クロコダイルストラップは、ワンプッシュ三つ折れ式の18Kピンクゴールド製クラスプで留まる。


iii — Editorial

系譜と歴史

Lineage

SBGD202の系譜は2016年3月のバーゼルワールドに遡る。セイコーはこの年、マイクロアーティスト工房が開発した8日巻ムーブメントCal.9R01を搭載するプラチナモデルSBGD001を発表した。翌2017年3月のバーゼルワールドでグランドセイコーの独立ブランド化が発表されると、SBGD001は文字盤表記を改めたSBGD201へ移行する。SBGD202は、その直後に加わった18Kピンクゴールド版である。セイコーウオッチは2017年6月21日に本作を発表し、同年8月11日からセイコープレミアムブティックおよびセイコープレミアムウオッチサロンで国内販売を開始した。発表時の希望小売価格は4,400,000円(税抜)。海外市場へは同年9月から順次展開された。限定生産ではなく、工房の生産能力に応じて少量が作り続けられるレギュラーモデルである。その後、同じCal.9R01を共有する派生が断続的に追加された。2020年6月には宝飾仕様のSBGD205が10本限定で、2021年5月にはセイコー創業140周年を記念するSBGD207が15本限定で、2023年6月にはブルーダイヤモンドを配したSBGD213が8本限定で登場している。いずれも宝飾限定であり、通常生産はSBGD201と本作の2本のままである。SBGD202は現在も公式カタログに掲載される現行モデルで、発売以降、大きな仕様変更は公表されていない。

02 — Derivatives

同型・派生 Ref

Color · material · bracelet variants