用語 / TERM · Zaratsu Polishing
ザラツ研磨
日本独自の鏡面研磨技法。平面をひずみなく整え、光を一方向に反射する仕上げ
ザラツ研磨(Zaratsu Polishing、別名:ブラックポリッシュ)とは、回転する円盤の正面に対象を押し当て、平面をひずみなく整える研磨技法である。日本の高級時計、とくにグランドセイコーが象徴的に用いる仕上げとして知られる。
仕上がった平面は光を一方向に反射し、見る角度によっては面が真っ黒に沈んで見える。これが「ブラックポリッシュ」と呼ばれる所以である。
名称は、かつてスイス・グレンヘンで精密機器を製造していた「Gebrüder Sallaz(ザラツ兄弟社)」に由来するとされる。1950年代に林精器がこの研磨機を導入し、機体に刻まれた「SALLAZ」がザラツと音写されて定着したと言われるが、経緯には諸説ある。
現在はセイコー・グランドセイコーが広く採用し、鏡面のザラツ研磨と筋目を残したヘアライン仕上げを面ごとに対比させて、稜線の鋭さを際立たせる手法をとる。MINASEも本技法を自社の象徴に据えるブランドとして知られる。厳密にはバフによる最終仕上げの前段にあたる下地処理だが、その平面精度が完成後の鏡面の質を決めるとされ、職人の指先の感覚に依存する工程として位置付けられる。