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CALIBER · Sellita

SW510 BH b

自動巻 Automatic Analog クロノグラフ

Valjoux 7750の系譜を受け継ぐ、日付を持たないバイコンパックス構成のセリタ製自動巻クロノグラフ

振動数
28,800 vph · 4 Hz
パワーリザーブ
62 時間
石数
27 石
ムーブメント径
30 mm
Cal. SW510 BH b
movement · SW510 BH b 図: ムーブメント — WatchBase
01 — OVERVIEW

概要

SW510 BH bは、スイスのムーブメント専業メーカー、セリタが手がける自動巻クロノグラフである。Valjoux 7750を源流とするSW500系の派生で、3時位置に30分積算計、9時位置にスモールセコンドを置くバイコンパックス構成を採る。日付表示を持たない「b」仕様であり、振動数は28,800vph (4Hz)、石数は27石、パワーリザーブは最大約62時間に及ぶ。クロノグラフの制御にはカム機構を用い、2時・4時のプッシャーで操作する。ニヴァダ・グレンヘンのクロノマスターや、エクセルシオール・パークのクロノグラフなど、ヴィンテージ復刻系のモデルに採用例が見られる。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerSellita
ReferenceSW510 BH b
TypeAutomatic(自動巻)
DisplayAnalog
Frequency28,800 vph (4 Hz)
Jewels27 石
Power reserve62 h
Movement ⌀30 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
ChronographChronograph
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 7750から7753へ

現代の機械式クロノグラフの基盤を語るうえで、Valjoux 7750は避けて通れない。1973年、ヴァルジュー社の技術者エドモンド・カプト(Edmond Capt)を中心に開発されたこの自動巻クロノグラフは、手巻のValjoux 7733を出発点とし、その源流は1948年のヴィーナス188まで遡る。最大の特徴は、クロノグラフの制御に柱状歯車(コラムホイール)ではなく、カムとレバーによる方式を採った点にある。これにより構造が簡素化され、量産性と信頼性が両立された。

カプトはコンピューターを用いた設計を取り入れたとされ、当時の時計産業では異例であった。1973年に最初の量産品が顧客へ供給されたが、クォーツの台頭による需要減退で生産は一時中断する。機械式時計の復権とともに1985年に生産が再開され、以後は数多くの派生を生んだ。なかでも2002年に登場した7753は、3時・6時・9時にカウンターを配する3-6-9レイアウトを採り、左右対称的な文字盤を求める層に支持された。SW510は、この7753に対応するセリタ側の選択肢にあたる。

2. セリタによる継承

セリタ(Sellita)は、1950年にスイスのラ・ショー=ド=フォンでピエール・グランジャンにより設立された。長らくETAのエボーシュ(半製品ムーブメント)を組み立てる下請けとして、その設計と量産技術を深く理解していた。

転機は2000年代初頭に訪れる。2002年、スウォッチグループのニコラス・G・ハイエックは、ETAがグループ外ブランドへのムーブメント供給を段階的に縮小する方針を表明した。同時期に2824-2や7750といった主要設計の特許が期限切れを迎えており、セリタはこれらに対応する自社製ムーブメントの製造へ踏み出す。2003年頃のSW200(2824-2系)に始まり、2009年頃にはSW500(7750系)を投入した。SW510は2017年頃、SW500の3-6-9派生として加わったとされる。

セリタのムーブメントは、当初こそ既存設計の置き換えを主眼としたが、世代を重ねるなかで独自の改良も加えられている。パワーリザーブの延長は、その一例である。

3. 日付なしバイコンパックスという選択

SW510には、用途に応じた複数の仕様が存在する。型番末尾の「BH」はバイコンパックス(2カウンター)構成を、「M」は手巻を示し、「a」「b」は日付の有無を表す。本機SW510 BH bは、12時間積算計を持たないバイコンパックスで、かつ日付表示を備えない自動巻仕様にあたる。

この構成が選ばれる背景には、2010年代以降に強まったヴィンテージ復刻の潮流がある。日付窓を排し、左右対称に整理された文字盤は、1960年代から1970年代の手巻クロノグラフを思わせる意匠と相性がよい。ニヴァダ・グレンヘンのクロノマスターや、エクセルシオール・パークのクロノグラフは、その代表的な採用例である。汎用ムーブメントが持つ供給の安定性と、確立された機構の信頼性が、こうした少量生産のブランドにとって現実的な選択肢となっている。

04 — LINEAGE

キャリバーの系譜

Predecessors & derivatives
派生元Cal. SW500-1SW500系から日付を省き、バイコンパックス構成とした派生
本キャリバー Cal. SW510 BH b Chronomaster Aviator Sea Diver
05 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

SW510 BH bは、13¼リーニュ(直径30.0mm)の自動巻クロノグラフムーブメントである。クロノグラフ機構をムーブメント内に組み込んだ一体型(インテグレーテッド)構造を採り、別体のモジュールを後付けする方式とは異なる。プッシャーがリューズと一直線に並ぶのは、この一体設計に由来する。基礎となる構成は、地板にカレンダー側とクロノグラフ側の機構を積層する設計に立つが、本機は日付・曜表示の機構を持たないため、文字盤側の部品構成は比較的簡素にまとまる。

クロノグラフ制御

始動・停止・復帰の制御には、カムとレバーによる方式を用いる。複数のレバーがカムを押し動かすことで各操作を機械的に切り替える構造で、柱状歯車を使う方式に比べて部品形状が単純で、量産と調整に適する。操作は2時位置のプッシャーで始動・停止、4時位置のプッシャーで復帰を行う。中央のクロノグラフ秒針が60秒を計測し、3時位置の積算計が30分までを記録する。本機は12時間積算計を持たないため、長時間の計測表示は備えない。

調速機構

テンプ(往復回転して時を刻む調速車)の振動数は28,800vph (4Hz)である。これは1秒間にテンプが4往復、すなわち8振動することを意味し、秒針はおおむね滑らかに運針する。振動数が高いほど外乱に対して姿勢が安定しやすく、実用域での精度確保に寄与する。脱進機(テンプの動きを規則正しく解放する機構)にはスイスレバー式を採用し、リューズを引くと秒針が止まるハック機能を備える。耐衝撃機構にはインカブロックを用いる。テンプの振り角測定の基準となるリフトアングルは50度とされ、良好な状態では十分な振幅が得られる。

自動巻と香箱

ローターはボールベアリングで支持され、その片方向の回転が香箱(ぜんまいを収める部品)の巻き上げに寄与する、片方向巻き上げ機構を採る。香箱は単一で、満巻時のパワーリザーブは最大約62時間に達する。これは初期世代の7750系より延長された数値であり、現行世代における改良の一端を示す。石数は27石である。

グレードと仕上げ

SW510系は、精度調整の水準によりエラボレ、トップ、クロノメーターの各グレードに分かれる。エラボレは3姿勢、トップとクロノメーターは5姿勢で検査され、クロノメーターはCOSC基準に準じる。仕上げはこれとは別系統で、サンドブラストからコートドジュネーブ、面取り研磨まで複数段階が用意される。同一機構でありながら、搭載ブランドの要求に応じて精度と装飾を組み合わせられる点が、汎用ムーブメントとしての柔軟性を支えている。

06 — CARRIERS

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

This caliber appears in 1 references
07 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

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  2. 02 専門メディア Sellita Caliber SW510 専門メディア · Caliber Corner · 2026.08.15 閲覧 Caliber Corner · 2026.08.15