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用語 / TERM · Free Sprung Balance

フリースプラング

ヒゲゼンマイの長さではなく、テンワの慣性モーメントを変えて歩度を調整する緩急針なしの調速方式

フリースプラング(Free Sprung Balance、別名:フリースプラングテンプ)とは、緩急針を用いず、テンワの慣性モーメントを変えることで歩度を調整する調速方式である。ヒゲゼンマイは両端が固定されたまま自由に伸縮し、調整はテンワのリムに設けたチラネジ(timing screws)やマスロット(masselottes)を回転させて慣性を変えて行う。

18世紀以降のマリンクロノメーターや高精度懐中時計で用いられてきた方式で、腕時計への本格採用は1950年代のパテック フィリップ「ジャイロマックステンプ」が最初とされる。現在はロレックスのマイクロステラ・スクリュー、オメガのコーアクシャル搭載キャリバー、グランドセイコー Cal. 9SA5、A. ランゲ&ゾーネ、シャネル Cal. 12.1 など多くのブランドが採用する。

緩急針がヒゲに干渉しないため等時性が確保しやすく、衝撃で緩急針が動く要因もない一方、調整範囲は緩急針式より狭く、加工精度と熟練した調整技術を要する。シリコン製ヒゲゼンマイは緩急針との相性に制約があり、シリコンヒゲの普及とともにフリースプラングを組み合わせる例が広がっている。