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CALIBER · PATEK PHILIPPE

CH 28-520 C

自動巻 Automatic Analog

2006年、ノーチラス30周年と共に登場した、パテック フィリップ初の自社製自動巻きクロノグラフ

CH 28-520 C
movement · CH 28-520 C
図: ムーブメント — WatchBase
OVERVIEW · 概要

CH 28-520 Cは、パテック フィリップが2006年に発表した自社製自動巻きクロノグラフキャリバーである。直径30mm、厚さ6.63mm、振動数28,800vph (4Hz)、パワーリザーブ45〜55時間。コラムホイール、垂直ディスククラッチ、フライバック機能、21K金製センターローター、スパイロマックス・ヒゲゼンマイ、ジャイロマックス・テンプを備え、パテック フィリップ・シールを取得する。日付付き仕様としてノーチラス・クロノグラフRef. 5980シリーズ、アクアノート・クロノグラフRef. 5968シリーズに搭載される基幹ムーブメントである。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerPatek Philippe
ReferenceCH 28-520 C
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels35 石
Power reserve55 h
Movement ⌀30 mm
HandsHours, Minutes
DateDate
ChronographChronograph, Column wheel
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. レマニアからの脱却

パテック フィリップは長年、クロノグラフムーブメントの基幹部分を外注に依存してきた。1985年に発表されたパーペチュアルカレンダー・クロノグラフRef. 3970以降、レマニア2310をベースに大幅な改修と装飾を施したCH 27-70 Qを、同社のクロノグラフ製品群の心臓として用いてきた。手仕上げと改良の積み重ねによってジュネーブ・シールを取得する高完成度のムーブメントに仕上げられていたが、エボーシュ(機械部分の素地)を外部に依存する構造そのものは変わらなかった。

2000年代に入り、レマニアやヴァルジューがスウォッチ・グループに統合されると、独立系メーカーである同社にとって、自社製クロノグラフの構築は将来の独立性を担保する経営課題となる。2003年から2004年にかけて、構造設計者マーク・ルモニエ(Marc Lemonnier)と開発ディレクターのフィリップ・バラ(Philip Barat)を中心とする開発陣が動き出した。

2. 二段構えの自社化

最初の成果は手巻きの分野で結実する。2005年、初の自社製クロノグラフキャリバーであるCHR 27-525 PSが、限定モデルRef. 5959Pに搭載されて発表された。スプリットセコンドを備えながら厚さ5.25mmという、当時の同種ムーブメントとしては極めて薄型の手巻き機械であった。

翌2006年、自動巻き分野でCH 28-520ファミリーが姿を現す。最初のバリアントはCH 28-520 IRM QA 24Hで、パワーリザーブ表示・アニュアルカレンダー・デイ/ナイト表示を備え、パテック フィリップ初の自社製アニュアルカレンダー・クロノグラフRef. 5960Pに搭載された。同年、日付付きの基本仕様であるCH 28-520 Cが、ノーチラス誕生30周年を記念するRef. 5980/1Aに採用される。コラムホイールと垂直ディスククラッチ、フライバック機能を備えるという構成は、現代の高性能クロノグラフの王道を行く設計であった。

3. プラットフォームとしての展開

CH 28-520は単一の製品ではなく、上位機構を積層して拡張できるプラットフォームとして設計された。日付付きの基本仕様であるCH 28-520 Cの上に、トラベルタイム機構を加えたC FUS(Ref. 5990, 5924)、ワールドタイムのHU(Ref. 5930)、アニュアルカレンダーのQA 24H(Ref. 5905)など、複数の派生が積み重ねられている。一方、手巻き分野では次世代のCH 29-535 PSが2009年に登場し、Calatrava ChronographやPerpetual Calendar Chronographの基幹を担う。両系統は手巻きと自動巻き、水平クラッチと垂直クラッチという設計思想の違いで使い分けられ、パテック フィリップの近代クロノグラフ史の二つの柱となった。

4. シリコン素材との融合

CH 28-520 Cの長期的価値を支えるのは、パテック フィリップのAdvanced Researchプロジェクトとの結合である。2006年に発表されたシリコン系合金Silinvar®製のスパイロマックス・ヒゲゼンマイは、当初ブレゲ二重曲線を採用していた現行ムーブメントに順次展開され、CH 28-520ファミリーも標準仕様となった。2024年にはパテック フィリップ・シールの精度基準が更新され、スパイロマックス搭載機は日差-1/+2秒という業界最高水準に達することが認定される。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

CH 28-520 Cは、ベースキャリバーCH 28-520に日付機構を追加した派生で、自動巻きフライバック・クロノグラフとして構成される。直径30mm、厚さ6.63mmという比較的薄型の枠内に、コラムホイール、垂直ディスククラッチ、瞬時送り日付という現代的なアーキテクチャを収めている。

調速機構

振動数は28,800vph(4Hz)。テンプはパテック フィリップ独自のジャイロマックス(Gyromax®)で、4腕構造のリムに4つの慣性ブロックを備える。慣性ブロックを回転させて慢進調整を行うフリースプラング構造で、緩急針を介さずに自由テンプの状態を保ったまま精度調整が可能となる。ヒゲゼンマイは、2006年に発表されたシリコン系合金Silinvar®製のスパイロマックス(Spiromax®)である。外端にパテック フィリップ・ターミナルカーブと呼ばれる特殊形状の肉厚部を備え、平面状でありながら同心円的な伸縮を実現する。シリコン系合金は非磁性で、温度変化や経年劣化による形状変化が極めて小さく、初期調整値が長期にわたり保たれる。

自動巻機構

ローターは21K金製のセンターローター方式で、単方向巻き上げ。軸受は無潤滑のセラミックボールベアリングを採用し、ジルコニウム製ボールを組み合わせる。潤滑油の劣化や経年摩耗を要因とした巻き上げ効率の低下を、構造側で排除する設計思想である。香箱が蓄える動力により、パワーリザーブは45時間から55時間の範囲を確保する。

クロノグラフ機構

クロノグラフ制御はコラムホイールが担う。スタート/ストップ/リセット指令を、コラムホイールの星状の凸部が各レバーへ正確に伝達する設計で、操作感の安定したクリック感はこの機構特有のものである。動力の伝達は垂直ディスククラッチによる。従来の水平クラッチがガンギ車を介してクロノグラフ秒車を歯合させる方式であったのに対し、垂直ディスククラッチは2枚のディスクを圧着・分離させる構造で、起動時の指針飛び(バックラッシュ)が原理的に発生しない。摩擦損失も極めて小さく、クロノグラフ秒針を恒常的に運針させてもテンプの振り角に与える影響が小さいため、中央のクロノグラフ秒針を通常の連続秒針として用いることも可能である。フライバック機構を備え、計測中にリセットボタンを押すと、停止・ゼロ復帰・再始動の動作が一連で行われる。

カウンターと日付

クロノグラフのカウンターは、6時位置に集約されたモノカウンター(monocounter)構成をとる。Ref. 5980など現行のノーチラス・クロノグラフ仕様では、60分計と12時間計を同一サブダイヤル上に重ねて表示し、計測時間が一目で把握できる。Ref. 5968のアクアノート・クロノグラフでは60分計のみのシンプルな構成とされ、構成部品数も327個から308個へと減じられている。3時位置のアパチャーで表示される日付は、1991年にパテック フィリップが取得した特許に基づく瞬時送り機構によって、十分の一秒以内に日付板が切り替わる。

仕上げと認定

地板にはペルラージュ、ブリッジにはコートドジュネーブの装飾が施され、面取りはミラーポリッシュで処理される。出荷時はパテック フィリップ・シール(Patek Philippe Seal、2009年制定の自社認定)を取得し、20mm以上のキャリバーは精度-3/+2秒/日以内が保証される。2024年の認定基準改訂により、スパイロマックスを搭載する現行ムーブメントは-1/+2秒/日というさらに厳しい基準が適用されるようになった。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

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