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CALIBER · PATEK PHILIPPE

324 S Q

自動巻 Automatic Analog

Cal.324系の自動巻にペルペチュアル・カレンダーを統合した、Ref.5320G向けのパテック・フィリップ基幹複雑機構

324 S Q
movement · 324 S Q
図: ムーブメント — WatchBase
OVERVIEW · 概要

パテック・フィリップ Cal.324 S Qは、基幹自動巻Cal.324系にペルペチュアル・カレンダー機構を統合した自社製ムーブメントである。「S」は中央秒針、「Q」は永久カレンダー(quantième perpétuel)を示す。2017年にRef.5320Gと共に発表され、直径32mm、29石、28,800vph (4Hz)、最大45時間のパワーリザーブを備える。21Kゴールド中央ローターによる一方向巻上げ、Gyromaxテンプ、Silinvar製Spiromaxヒゲゼンマイを採用。曜日・月・閏年・昼夜はアパチャー、日付針と月相は6時位置のサブダイヤルに集約。パテック・フィリップ・シール認定。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerPatek Philippe
Reference324 S Q
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels29 石
Power reserve45 h
Movement ⌀28 mm
HandsHours, Minutes, Seconds, Day / Night Indication
DateDate, Day, Leap Year, Month, Perpetual Calendar
AstronomicalMoonphase
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 324系という基幹の登場

パテック・フィリップが基幹自動巻Cal.324を発表したのは2004年から2006年にかけてのことである。先代のCal.315を受け継ぐ位置にあり、振動数を21,600vph (3Hz)から28,800vph (4Hz)へ引き上げ、より堅牢で精度の安定した日常使い向けの基幹キャリバーとして設計された。直径27mmのフルローター式構成は、ノーチラスやアクアノート、カラトラバといった主力モデル群を貫く中核となり、長く同社の現行ラインを支えてきた。

Cal.324 S Cは、この基幹に中央秒針(seconde)と日付(centre/calendrier)を備えた標準仕様で、ノーチラス Ref.5711やカラトラバ Ref.5153等に搭載されてきた。一方Cal.324 S Qは、この同じ324系のローター駆動機構の上に、ペルペチュアル・カレンダー(quantième perpétuel)モジュールを載せた派生キャリバーである。

2. Ref.5320Gと共に登場した複雑機構

Cal.324 S Qが初めて世に出たのは、2017年バーゼルワールドで発表されたRef.5320Gにおいてである。Ref.5320Gは、1940〜50年代のRef.1591、Ref.2405、Ref.2497といった往年のパテック・フィリップ永久カレンダー機を意匠的に参照しつつ、技術的には現行のCal.324系を土台とする、ヴィンテージとモダンの結節点として設計された。

このとき搭載されたCal.324 S Qは、Cal.324 S Cの自動巻機構に、Ref.5270クロノグラフ・ペルペチュアル・カレンダーで採用された永久カレンダー・モジュールを再構成した構成と伝わる。すなわち、永久カレンダー機構そのものは新規開発ではなく、複数モデルに展開可能な共通モジュールとして洗練された結果である。

3. 324系という拡張可能なプラットフォーム

Cal.324系は、Cal.324 S Qに代表される永久カレンダー以外にも、324 S QR(レトログラード永久カレンダー、Ref.5159・Ref.5496等)、324 S QA LU(年次カレンダー、Ref.4936等)、324 S IRM QA LU(年次カレンダー+パワーリザーブ表示、Ref.5146等)、324 S C FUS(GMT)、324 S QA LU 24H/303(Ref.5396・ノーチラス Ref.5726等)など、膨大な派生系統を抱える。これは324系がパテック・フィリップにとってのプラットフォーム・キャリバーであり、複雑機構を載せる土台として汎用性が高いことを示している。

4. 同時代の業界文脈の中で

2010年代後半、業界各社は自動巻基幹キャリバーの世代交代と複雑機構の自社化を進めていた。そのなかでCal.324 S Qの位置づけは、革新よりも継承の側に寄る。ペルペチュアル・カレンダー機構そのものはパテック・フィリップが1925年から取り組んできた最も古い複雑機構の一つであり、その現代的な解を、自社の基幹自動巻に統合した形が324 S Qと言える。設計思想として、新世代の永久カレンダー専用キャリバーとは異なる、確立された基幹を発展的に活用する選択である。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

基幹自動巻Cal.324からの継承

Cal.324 S Qの土台は、パテック・フィリップ自社製のCal.324である。基幹Cal.324は直径27mm、厚さ3.30mm、部品数182、石数29石、フルローター式の自動巻で、振動数は28,800vph (4Hz)、パワーリザーブは45時間以上とされる。21K(21金)製の中央ローターを採用し、慣性質量を稼ぐことで自動巻きの効率を高めている。ローターは一方向巻上げ式で、リバーサー(切替輪)を経て香箱の主ゼンマイを巻き上げる構成である。Cal.324 S Qは、この基幹に永久カレンダー・モジュールを載せた構成のため、外径と部品数は増し、直径32mm、厚さ4.97mm、総部品数367に達する。

Gyromaxテンプ

このキャリバーの心臓部にあたるテンプは、パテック・フィリップ独自のGyromaxバランスである。1949年に同社が特許を取得したこの機構は、テンプ環の外周に通常用いる微調整用ネジを廃し、代わりに環に切り込んだスロットへ非対称な慣性錘(マスロット)を組み込む方式を採る。マスロットを回転させることで慣性モーメントを微調整でき、空気抵抗の影響を抑え、衝撃時に微調整がずれにくいフリースプラング型として設計されている。

SpiromaxヒゲゼンマイとSilinvar

ヒゲゼンマイには、同社が2006年に発表したSpiromaxヒゲゼンマイ(Silinvar®製)が組み合わされる。Silinvarは単結晶シリコンを熱酸化処理した素材で、温度変化に強く、磁気の影響を受けず、潤滑も不要という特性を持つ。Spiromaxの外側末端には「パテック・フィリップ・ターミナルカーブ」と呼ばれる肉厚部が設計されており(特許出願 CH 20030749/03・EP 03009603.6)、ヒゲゼンマイが同心円的に伸縮することで等時性を高める設計である。

ペルペチュアル・カレンダー機構

Cal.324 S Qの最大の特徴は、ベースキャリバー上に永久カレンダー・モジュールを搭載することにある。これはRef.5270クロノグラフ・ペルペチュアル・カレンダーと同等の永久カレンダー機構を再構成したものと伝わり、4つのディスクで時刻以外の暦情報を表示する設計である。すなわち、曜日(週1回転)、月(年1回転)、閏年(4年で1回転)、昼夜(1日1回転)の4ディスクが互いに連動して動く。6時位置には日付針と月相が組み合わさったサブダイヤルが配置され、月相ディスクは122年に1日の補正で済む高精度の歯車比を持つとされる。

仕上げと認定基準

ブリッジにはコート・ド・ジュネーブ(ジュネーブ・ストライプ)、メインプレートにはペルラージュ装飾が施され、エッジは面取りと研磨が手作業で仕上げられる。ネジ穴部分は研磨されたカウンターシンク(座ぐり)処理を施し、ネジ頭のスロットも研磨される。

このキャリバーはパテック・フィリップ・シール認定を受けている。同社が2009年にジュネーブ・シールに代わり導入した独自の認定で、直径20mm以上のキャリバーは日差-3/+2秒(2024年の更新後は-1/+2秒)以内の精度を要求される。さらに、ムーブメントだけでなくケース・文字盤・全体組立を含む完成時計全体を対象とし、生涯にわたるアフターサービスをも含意する点が、もっぱらムーブメントの仕上げと産地を対象としていたかつてのジュネーブ・シールとの大きな違いである。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

This caliber appears in 1 references