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CALIBER · PANERAI

P.3001/10

手巻 Handwound Analog

2014年導入。P.3001の橋と両香箱を半スケルトン化した、パネライ自社製の装飾派生キャリバー

P.3001/10
movement · P.3001/10
図: ムーブメント — WatchBase
OVERVIEW · 概要

Cal. P.3001/10は、2014年にパネライがヌーシャテル工房で開発した、手巻きの装飾派生キャリバーである。基ムーブメントP.3001の橋(ブリッジ)と二つの香箱を半スケルトン化し、ゼンマイの巻き上げと解放の動きを背面から視認できる構造に再設計した。直径16½リーニュ(約37.2mm)、厚さ6.3mm、振動数21,600vph(3Hz)、石数21石、構成部品207点、パワーリザーブ72時間。Radiomir 3 Days GMT Oro Rosso 47mm(PAM00598)やPocket Watch 3 Days(PAM00447)など、貴金属ケースの限定モデルに専用される。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerPanerai
ReferenceP.3001/10
TypeHandwound
DisplayAnalog
Frequency21,600 bph (3 Hz)
Jewels21 石
Power reserve72 h
Movement ⌀36.6 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds, Additional 12 Hour Hand (adjustable), Additional 24 Hour Hand (fixed)
DateDate
AdditionalPower Reserve Indicator
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. P.3000ファミリーの拡張線上に

パネライは2002年にヌーシャテルに自社工房を構え、2005年に最初の自社製キャリバーP.2002を発表した。これに続き、47mmの大型ケースに最適化された3日巻手動機の基幹ムーブメントとして、2010年にP.3000ファミリーが登場する。P.3000は時分秒の基本機構のみを備える簡素な構成だが、直径16½リーニュという大柄な寸法と二香箱直列構造により、堅牢性と長時間駆動を両立させていた。

派生機構の追加は段階的に進む。スモールセコンドに加えて日付・GMT・パワーリザーブ表示を備えたP.3001が登場し、その後も用途別に派生形が分岐していった。Cal. P.3001/10は、この系譜の中で「装飾性を高めた特別仕様」として位置づけられる派生である。

2. 半スケルトン化という設計選択

通常の機械式ムーブメントは、地板と橋(ブリッジ)が機構の大半を覆い、外観は無垢の金属面で構成される。P.3001/10では、この橋と二つの香箱(主ゼンマイを収めるケース)を意図的に肉抜きし、ゼンマイの巻き上げ・解放の動きを背面から視認できる構造へと再設計した。露出した縁には手作業による面取り(アネグラージュ)が施され、地板にはパーラージュとゴールド色のエングレーヴィングが組み合わされる。

機構そのものはP.3001を踏襲しており、振動数21,600vph(3Hz)、石数21石、構成部品207点、パワーリザーブ72時間は変わらない。テンプはグルシダー(Glucydur)製、耐衝撃機構はインカブロック(Incabloc)を採用する。すなわちP.3001/10における進化は、機械精度ではなく「動作の可視化」と「仕上げの密度」にある。

3. 高級貴金属モデルへの専用展開

P.3001/10は、ステンレスケースのレギュラーモデルには搭載されない。2014年にPocket Watch 3 Days Oro Rosso(PAM00447)とPocket Watch 3 Days Oro Bianco(PAM00529)で初めて披露され、続いてWatches & Wonders 2014で発表されたRadiomir 3 Days GMT Oro Rosso 47mm(PAM00598、200本限定)に採用された。2015年にはRadiomir 1940 3 Days GMT Oro Rosso 47mm(PAM00570、300本限定)が登場している。

すなわち本キャリバーは、ローズゴールド・ホワイトゴールド等の貴金属ケースで構成される限定・準限定モデルに専用される、装飾性を主軸とした派生である。同じP.3001を搭載するステンレス・チタンモデル(PAM00421、PAM00422等)に対し、上位の演出を担う立ち位置に置かれている。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

構造の中核 — 二香箱直列駆動

P.3001/10の動力源は、直列に連結された二つの香箱である。一般的な機械式ムーブメントは香箱1個でゼンマイを供給するが、本機構では2個を直列に並べることで、長尺のゼンマイを二段に分割して収納する。これにより、72時間(3日間)の連続駆動を確保しつつ、香箱単体の径を抑えて全体厚6.3mmに収めている。香箱の蓋は半スケルトン化され、ゼンマイ本体が背面から視認できる構造となる。

直径16½リーニュ(約37.2mm)という寸法は、リストウォッチ用キャリバーとしては大柄な部類に入る。パネライが歴史的に47mm前後の大型ケース(Radiomir、Luminor 1950)を主軸としてきたためで、機構サイズもこれに合わせて設計されている。ケース内余白を満たすことで、文字盤裏側からの視覚的密度を確保する意図がある。

3/4プレート構造と橋の処理

基ムーブメントのP.3000・P.3001は「3/4プレート」に近い構造で、大型の主橋と小型の副橋が機構の大半を覆う。橋は太径のネジで地板に固定され、衝撃に対する剛性を高める設計である。

P.3001/10では、この橋の中央部を大きく肉抜きし、輪列(歯車列)と香箱の動きが透けて見えるよう加工される。露出した橋の縁(エッジ)には手作業によるアネグラージュ(面取り研磨)が施され、光が当たると面取り面が鏡面のように反射する。橋の表面は機械引きのコート・ド・ジュネーブではなく、ゴールド色のエングレーヴィング(刻印)で装飾される。

脱進機とテンプ

脱進機にはスイス式アンクル脱進機を採用する。テンプはグルシダー(Glucydur)製で、ベリリウム銅合金の一種により温度変化に対する寸法安定性を確保している。振動数は21,600vph(3Hz)で、1秒間に6回の振動に相当する。28,800vph(4Hz)が主流の現代ムーブメントに比べやや低速だが、長時間パワーリザーブと組み合わせる際の摩耗低減・等時性確保に有利とされる。

ヒゲゼンマイは合金製で、シリコン素材は使用されない(パネライがシリコンを採用するのはP.3001/CやP.4001/Sなど別系列の上位キャリバーである)。耐衝撃機構はインカブロック(Incabloc)を採用する。

機能表示と仕上げ

搭載モデルにより細部は異なる。リストウォッチ仕様(PAM00570、PAM00598)では、中心の時分針に加えて9時位置にスモールセコンド、3時位置に日付窓、文字盤上にGMT針を備える。一方、Pocket Watch仕様(PAM00447、PAM00529)では中央の時分2針のみという簡素な構成で、同一基盤上にモジュール選択の幅がある。

パワーリザーブ表示は文字盤側ではなくケース背面のサファイアクリスタル越しに視認する設計で、二つの香箱のうち一方に直結したインジケーター針が、残り巻き量を表示する。針には蓄光剤(Super-LumiNova)が塗布されており、暗所でも読み取れる。

調整位置は5ポジション(姿勢差調整)で、組立後にパネライ社内基準で調整される。本キャリバーはCOSC認定を受けず、調整精度はパネライ内製のラボ・ディ・イデーエ(Laboratorio di Idee)で確認される方式が採られている。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

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