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CALIBER · OMEGA

8520

自動巻 Automatic Analog

2008年、小径ケース向けに開発された、Si14シリコンひげぜんまいを備えるオメガ自社製コーアクシャル

8520
movement · 8520
図: ムーブメント — WatchBase
OVERVIEW · 概要

Cal. 8520は、オメガが小径ケース向けに展開した自社製自動巻きキャリバーである。2007年発表の基幹ムーブメントCal. 8500を小型化し、2008年にアクアテラ・レディースで導入された。コーアクシャル脱進機と直列2香箱を備え、25,200vph (3.5Hz)、パワーリザーブ50時間、28石を擁する。フリースプラング・テンプにSi14シリコンひげぜんまいを採用し、COSCクロノメーター認定を取得する。2010年のレディマティック復活の心臓部となり、アクアテラ34mmやプラネットオーシャン37.5mmにも搭載された。上位仕様のCal. 8521はローターを18Kレッドゴールドとする。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerOmega
Reference8520
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency25,200 bph (3.5 Hz)
Power reserve50 h
HandsHours, Minutes, Seconds
DateDate
AdditionalChronometer, Co-Axial Escapement
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

自社製コーアクシャルの小型化

コーアクシャル脱進機は、英国の時計師ジョージ・ダニエルズが考案した機構である。オメガはこれを1999年のCal. 2500で初めて量産化した。ただしCal. 2500はETA 2892-A2を母体とし、既存の輪列に脱進機を組み込んだ設計であった。世代によっては精度の安定に課題があり、振動数も当初の28,800vphから25,200vphへ下げられた経緯を持つ。

この反省を踏まえ、オメガは2007年、全部品を自社で設計したCal. 8500をデ・ヴィル アワービジョンで発表する。コーアクシャルを後付けするのではなく、脱進機を軸に一から組み上げた最初の世代である。このCal. 8500を小径ケース向けに縮小したのがCal. 8520にあたる。

レディマティックという象徴

Cal. 8520と上位仕様のCal. 8521は、2008年のアクアテラ・レディースで初めて搭載された。30mm級のケースでも自社製コーアクシャルが成立することを示す布石であった。そして2010年、オメガは1955年に生まれた名「レディマティック」を復活させ、その心臓部に同キャリバーを据えた。

Cal. 8521はローターとテンプ受けを18Kレッドゴールドとする。小径ローターでは金の高い比重が巻き上げ効率に寄与するため、装飾と機能を兼ねる選択といえる。両キャリバーはアクアテラ34mm、プラネットオーシャン37.5mm、コンステレーションなど、中型機へ広く展開した。

シリコンと世代交代

Cal. 8520が備えるSi14シリコンひげぜんまいは、非磁性で温度変化にも強い素材である。より大径のCal. 8500が2011年頃に同素材へ移行したのに対し、小径の本機は早い段階からこれを採用した。

8500ファミリーはその後、15,000ガウス耐磁の「マスターコーアクシャル」へと発展していく。小径機におけるCal. 8520の役割は、2018年に登場したMETAS認定のCal. 8800へ引き継がれた。第2世代プラネットオーシャン37.5mmなどでは、両者が世代交代の関係に立つ。小型でも自社製コーアクシャルを破綻なく成立させた点に、量産精度を追うオメガの姿勢が表れている。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

コーアクシャル脱進機

Cal. 8520の核心は、3段構成のコーアクシャル脱進機にある。脱進機とは、ぜんまいの力を一定間隔で解き放ち、針を進める調速の心臓部を指す。一般的なスイスレバー式が滑り摩擦で動力を伝えるのに対し、本機は3枚のガンギ車を介し、より接線に近い向きで衝撃を与える。これにより摩擦が減り、注油への依存が下がる。結果として潤滑の劣化が穏やかになり、整備の間隔を伸ばしやすい。初代Cal. 2500の2段式に対し、8500ファミリーでは3段式へ刷新された。本機は大径のCal. 8500と基本設計を共有し、頑健な横断式のテンプ受けや改良された輪列を受け継ぐ。なお脱進機のリフトアングルは標準的な52度と異なるため、精度測定には専用設定を要する。

動力と調速

動力は直列に並んだ2つの香箱が担う。大径のCal. 8500が60時間を確保するのに対し、香箱容量の小さい本機のパワーリザーブは50時間である。テンプは緩急針を持たないフリースプラング式で、テンプ上の4本の調整ネジで慣性モーメントを変えて調速する。緩急針式に比べ、温度や姿勢による精度のばらつきを抑えやすいのが利点である。ひげぜんまいにはSi14シリコンを用いる。フォトリソグラフィで成形されるため幾何学的に正確で、非磁性ゆえ磁気の影響も受けにくい。耐震機構にはスウォッチ・グループのNivachocを採用し、受け石を弾性支持して衝撃を吸収する。表示機能は時・分・センター秒と3時位置の日付で、日付はクイックセットに対応する。

振動数と仕上げ

振動数は25,200vph (3.5Hz)で、4Hz (28,800vph)が主流の現代では低めにあたる。これはコーアクシャルの効率を生かしつつ脱進機の負荷を抑える狙いで、オメガが最適と判断した値である。自動巻きは双方向式で、Cal. 8521では18Kレッドゴールドのローターが小型でも十分な巻き上げ慣性を確保する。仕上げはアラベスク模様のコート・ド・ジュネーブを基調とする。Cal. 8520はロジウムめっき、Cal. 8521は金部品で外観を分ける。認定はCOSCクロノメーター (ISO 3159)で、オメガは日差-5/+8秒の基準を公表する。径20mm前後の小径キャリバーにはISO 3159が緩やかな許容差を認めており、この日差はその基準に沿う。寸法は9リーニュ(径約20mm)、厚さ5.30mmと、中型から小型のケースに収まる設計である。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 2 本のリファレンス

This caliber appears in 2 references