本文へ
CALIBER · Nomos Glashütte

Alpha

手巻 Handwound Analog

2005年に自社製造へ移行した、Peseux 7001を母体とするNomosの古典的な手巻きキャリバー

振動数
21,600 vph · 3 Hz
パワーリザーブ
43 時間
石数
17 石
ムーブメント径
23.3 mm
Cal. Alpha
movement · Alpha 図: ムーブメント — WatchBase
01 — OVERVIEW

概要

Cal. Alphaは、Nomos Glashütteが2005年に自社製造へ移したグラスヒュッテの手巻きキャリバーである。スイスのPeseux 7001の設計を継ぎながら、地板から歯車までを自社で作り、伝統の3/4プレートへと刷新した。振動数は21,600vph (3Hz)、17石、パワーリザーブは43時間。香箱は1つで、テンプは6姿勢で調整される。直径23.3mmと薄く、Tangente、Orion、Ludwig、Tetra、ClubなどNomosの古典的な薄型モデルの中核を担う。調速系は長く外部供給に依存したが、その構造と仕上げはグラスヒュッテの様式を体現する。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerNomos Glashütte
ReferenceAlpha
TypeHandwound(手巻)
DisplayAnalog
Frequency21,600 vph (3 Hz)
Jewels17 石
Power reserve43 h
Movement ⌀23.3 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

エボーシュからの出発

Nomos Glashütteは1990年、ロラント・シュヴェルトナーによって再興された。1992年の最初の4モデルは、いずれもスイスETAの手巻きエボーシュ、Peseux 7001を搭載した。対象はTangente、Orion、Ludwig、Tetraである。Peseux 7001は薄型手巻きの定番で、多くのブランドが共有した汎用基盤であった。創業間もないNomosにとって、確立された汎用機の採用は開発費を抑える現実的な選択であった。

改修の積み重ね

Nomosは年を追って7001に手を加えていく。秒針停止のハック機構、グラスヒュッテ・ストップワーク、そして3/4プレートの採用がそれである。1997年頃、ETAは自社名の使用停止を求めたとされる。Nomosはこのムーブメントを「Nomos 1」系として独自に呼称し始める。トリオビス微調整、ハック秒、3/4プレートを備えた版は「TSP」とも呼ばれた。汎用機を出発点としながら、Nomosは少しずつ自社の色を加えた。

自社製造への移行

2005年、Nomosはこの系譜をCal. Alphaとして再構成する。地板、受け板、歯車をグラスヒュッテの自社工房で製造し、3/4プレートの構成へと刷新した。Peseux 7001の設計思想を継ぎつつ、部品の多くを自社で作る体制へ移った点が転機となった。ただし調速系、すなわち脱進機、テンプ、ヒゲゼンマイは引き続き外部から供給された。寸法、石数、振動数、パワーリザーブは7001と同等で、変わったのは構造の出自と仕上げである。なお、Nomos自身は2006年の自動巻Epsilonを最初の自社製ムーブメントとする資料もある。起点をどこに置くかは出典により揺れる。

完全な独立へ

Alphaの登場後も、Nomosの独立への歩みは続いた。2014年、同社は自社製の調速系「Nomosスイングシステム」を発表する。脱進機からヒゲゼンマイまでを自社で作るこの機構は、Swatchグループの供給網からの独立を意味した。スイングシステムは新世代のDUWキャリバーに搭載される。DUW 4101はその一例で、Alphaの後継として一部モデルへ展開する。一方でCal. Alphaは、Nomosの古典として今なお多くのモデルを動かし続けている。

04 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

3/4プレートという設計思想

Cal. Alphaの構造を最も特徴づけるのは、グラスヒュッテ伝統の3/4プレート(ドレイフィアテルプラッテ)である。これは地板の上に載る大型の受け板で、ムーブメントのおよそ4分の3を1枚で覆う。香箱(ぜんまいを収める箱)から輪列(歯車の列)、ガンギ車の手前までを単一の板で支える。複数のブリッジに分けるスイス式に対し、剛性と軸受位置の安定で勝るとされる。板の外に置かれるのはテンプ(振動を司る天輪)とアンクルのみである。

この設計は1860年代にフェルディナント・アドルフ・ランゲがグラスヒュッテで確立したとされる。利点は耐衝撃性と歩度の安定にある。一方、裏蓋から見える機構が板に覆われるため、視覚的な情報量はスイス式に譲る。Nomosはこの板にグラスヒュッテ・リブ(ストライプ仕上げ)を施し、伝統の意匠を踏襲する。

ストップワークと巻き上げ

巻き上げ機構には、グラスヒュッテ・ストップワークが採られる。コハゼ(角穴車の逆転を止める爪)を支えるジャンパーばねが、スイス式の短い形状と異なり、長く湾曲した一体型である。Nomosはこれを、特殊な形状の角穴車と細長いばねによる滑らかな巻き上げと説明する。手巻きの感触と機構の安定に寄与する要素である。香箱は1つで、巻き上げ後のパワーリザーブは43時間に達する。21,600vph (3Hz)という比較的ゆるやかな振動数は、ぜんまいのトルク消費を抑え、この持続時間を支える側面を持つ。

脱進機とテンプ、外部供給の調速系

振動数は21,600vph (3Hz)、すなわち1秒あたり6振動で時を刻む。テンプの調整は6姿勢で行われ、より厳密に規正したクロノメーター値調整の仕様も存在する。ヒゲゼンマイ(テンプに復元力を与えるぜんまい)はNivarox 1A製を採る。脱進機とテンプを含む調速系(アッソートマン)は、長くスイスのETA、Nivaroxから供給された。Nomosが自社製の調速系スイングシステムを発表したのは2014年で、これは新世代のDUWキャリバーに搭載される。Cal. Alpha自体は、外部供給の調速系を用いる構成のまま現行する。耐衝撃機構にはIncablocを備える。

仕上げと寸法

直径は23.3mm(10½リーニュ)、厚さは約2.6mmと薄い。この薄さが、Tangenteに代表される平たいケースを可能にする。3/4プレートにはグラスヒュッテ・リブ、地の部分にはNOMOSペルラージュが施される。角穴車と丸穴車にはグラスヒュッテ・サンレイ装飾、ネジには焼き戻しの青焼きが見られる。地板表面にはロジウムめっきが施される。NOMOS Atelierの上位仕様では、ルビーの軸受がネジ留めの金無垢シャトンに収められる。

05 — CARRIERS

このキャリバーを搭載する 2 本のリファレンス

This caliber appears in 2 references
06 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 専門メディア DUW 6101 - Grail Watch Wiki 専門メディア · Grail Watch Wiki · 2026.08.15 閲覧 Grail Watch Wiki · 2026.08.15
  2. 02 専門メディア Nomos DUW 6101 Calibre 専門メディア · WatchTime India · 2026.08.15 閲覧 WatchTime India · 2026.08.15