5463
2015年、トリプルセンサーを針表示へ統合した、Gショック マッドマスター GWG-1000の基幹モジュール
| Maker | Casio |
|---|---|
| Reference | 5463 |
| Type | Quartz |
| Display | Analog/ Digital |
| Hands | World Time, Hours, Minutes, Seconds |
| Date | Perpetual Calendar, Date, Day, Month |
| Chronograph | Chronograph, Countdown |
| Acoustic | Alarm |
| Additional | Atomic Sync, Solar Charging, Altitude Indicator, Thermometer, Compass |
系譜と歴史
アナログへ移すという課題
2010年代前半、カシオは高価格帯のGショックでアナログ表示への注力を強めていた。針表示は視認性と質感に優れる一方、内部にモーターと輪列を要する。そこへ方位・気圧・高度・温度を測るセンサー群を収めることは、容積と消費電力の両面で難題であった。デジタル表示のプロトレックやレンジマンが先行して三機能のセンサーを実用化していたが、針を持つケースへ同等の能力を移すには、センサー自体の小型化が前提となった。
小型センサーが開いた道
その前提を満たしたのが、2013年末に登場したトリプルセンサー Ver.3である。プロトレックのPRW-3000やPRG-270に初搭載され、方位センサーの体積を約95%縮小し、消費電力を約90%抑えたとされる。高度計は1m単位、コンパスは60秒連続計測へと計測能力も高めた。この小型かつ低消費電力のセンサーが、ソーラー駆動のアナデジモジュールへ三機能を統合する余地を生んだ。針とモーターで容積が圧迫されるアナログ機において、この余地は決定的であった。モジュール5463は、その成果をマッドマスターという過酷用途のモデルへ落とし込んだ一例である。
マッドマスターの中核として
マッドマスターは、泥濘や粉塵の中での作業を想定したGショックの系譜である。源流には、防泥構造を備えたデジタルの「マッドマン」があるとされる。GWG-1000は、その思想をアナログ・アナデジ表示へ拡張したモデルとして2015年に登場した。カシオの説明では、アナログ表示のGショックとして初めて防泥構造を備えたモデルとされる。想定された使い手は、瓦礫の除去や救助の現場で重機を扱う者である。そのため本モジュールは、計測機能だけでなく、振動と泥への耐性を前提に組み上げられている。電波とソーラーにより、電池交換や時刻合わせの手間を抑える設計も、過酷な現場での運用を念頭に置く。GPSやスマートフォン連携に頼らず、単体で測位以外の環境情報を得る方針は、同時代の電子アウトドア時計の中でも一つの立場である。モジュール5463は、トリプルセンサー Ver.3、タフソーラー、マルチバンド6、スマートアクセスを一つにまとめる。後年にはBluetooth対応のGWG-B1000やカーボン素材のGWG-2000など、より新しいモジュールを積む派生が加わり、マッドマスターは複数の系列へ広がっていく。本モジュールは、その出発点に位置する基幹的存在である。
技術解説
センサーと電源の統合
モジュール5463は、機械式キャリバーのような脱進機やテンプを持たない。Gショック「マッドマスター」GWG-1000のために設計された、アナログ・デジタル複合のクォーツモジュールである。針による時刻表示と、液晶による計測値表示を一つの機構で統合する。動力はタフソーラーが担う。文字板上のソーラーセルが光を電力へ変換し、二次電池へ蓄える方式で、電池交換を必要としない。フル充電後は、光のない通常使用で約6か月、パワーセーブ作動下の暗所で約25か月の駆動が公称される。
トリプルセンサー Ver.3
本モジュールの中核は、方位・気圧/高度・温度を計測するトリプルセンサー Ver.3である。前世代に対し大幅な小型化と省電力化を果たした世代で、針を備えるアナログケースへの三機能統合を可能にした。高度計は1m単位での表示に対応し、デジタルコンパスは最大60秒の連続計測を行う。気圧の急変を知らせる気圧傾向アラームも備える。計測値は液晶に表示され、針表示と併存する。
電波受信:マルチバンド6
時刻精度は、標準電波の受信によって担保される。マルチバンド6は、世界6局の長波標準電波を自動で受信する方式である。日本のJJY(40kHz/60kHz)、米国のWWVB(60kHz)、英国のMSF(60kHz)、ドイツのDCF77(77.5kHz)、中国のBPC(68.5kHz)に対応する。受信は1日最大6回の自動受信と手動受信に対応し、受信圏内では針とカレンダーが標準時へ補正される。
スマートアクセスによる針制御
アナログ針の操作には、スマートアクセスが用いられる。電子式りゅうずと複数のモーターによる針制御、専用LSIを組み合わせたカシオ独自の方式である。りゅうずを回す・引くといった直感的な操作で、ワールドタイムの都市選択や各種設定を行える。多機能なアナデジ表示を、機械的な複雑さに頼らず操作性へ落とし込む設計思想がここにある。
防泥・耐振動の構造
モジュール5463を搭載するGWG-1000は、アナログ表示のGショックとして初めて防泥構造を備えたとされる。ボタンとシャフトには多数のガスケットを内装し、泥や塵の侵入を防ぐ。りゅうずとベゼルはねじこみ式とし、接合面にもガスケットを実装する。耐振動構造も特徴で、モジュールの底面と側面にはαGELを内装する。ドリルや重機が生む振動から内部を保護する狙いがある。バンド取り付け部にはワッシャーを採用し、振動によるビスのゆるみを抑える。