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CALIBER · BLANCPAIN

F388B

自動巻 Automatic Analog

母体F385から日付を省き、5Hz高振動で1/10秒を刻む、ブランカンのフライバッククロノ

OVERVIEW · 概要

Cal. F388Bは、ブランカンが手がける自動巻のフライバッククロノグラフキャリバーである。2015年に登場したCal. F385を母体とし、カレンダー機構を省いた構成を採る。毎時36,000振動 (5Hz) の高振動で計測を1/10秒まで刻み、パワーリザーブは約50時間である。35石・293部品で構成され、シリコン製ヒゲゼンマイとフリースプラングテンプ、コラムホイールと垂直クラッチを備える。2019年のエア・コマンド復刻モデルAC01-1130に初搭載され、以後同コレクションの中核を担う。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerBlancpain
ReferenceF388B
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency36,000 bph (5 Hz)
Jewels35 石
Power reserve50 h
Movement ⌀31.8 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
ChronographChronograph, Column wheel, Flyback
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

高振動クロノグラフの設計

Cal. F388Bの母体は、2015年に登場したCal. F385である。F385は、フィフティ ファゾムス バチスカフ クロノグラフ フライバックに初搭載された、ブランカンの自動巻クロノグラフキャリバーである。毎時36,000振動 (5Hz) という高振動を採り、計測精度を1/10秒まで高めた点に特徴がある。同時代の汎用クロノグラフの多くが毎時28,800振動 (4Hz) であったなかで、高振動化はブランカンが選んだ明確な方向性であった。

高振動は精度面で有利な一方、部品への負荷や注油の維持といった課題を伴う。F385では、シリコン製ヒゲゼンマイとフリースプラングテンプを組み合わせ、この課題に応えた。テンプの調整は6姿勢に及び、クロノメーター基準とされる5姿勢を上回るとされる。

フレデリック・ピゲからの系譜

ブランカンのクロノグラフには長い背景がある。現在のムーブメント製造部門は、かつてのフレデリック・ピゲに連なる。同社が1988年に発表したCal. 1185は、コラムホイールと垂直クラッチを備える薄型自動巻クロノグラフで、オーデマ ピゲやヴァシュロン・コンスタンタンにも供給された、高級クロノグラフの基準的存在であった。1996年にはフライバック機構を加えたCal. F185が続く。フレデリック・ピゲは2010年にマニュファクチュール・ブランカンへと改称された。

F385は、この1185以来の設計思想を受け継ぎつつ、高振動とシリコン部品で現代的に再構築したキャリバーと位置づけられる。

エア・コマンドへの展開

F385から派生したのがCal. F388Bである。2019年、1950年代のパイロットクロノグラフを再解釈した「エア・コマンド」の復刻モデルAC01-1130に初搭載された。F388Bは母体からカレンダー機構を省き、35石・293部品の構成を採る。自動巻錘はプロペラ形に造形され、航空時計としての主題を映す。

その後、エア・コマンドには小径モデル向けにCal. F188Bも用意された。こちらは毎時21,600振動 (3Hz) で動作し、パワーリザーブは約40時間とされる。振動数とパワーリザーブの設定が異なる二つのキャリバーが、同一コレクションの二つのケースサイズを支える構成となっている。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

機構の核心は、毎時36,000振動 (5Hz) で動作する高振動テンプである。1振動あたりの時間が短いため、計測の最小単位は1/10秒に達する。高い振動数は、テンプが外乱を受けても元の周期へ復帰しやすく、姿勢差や衝撃への安定性を高める。一方で輪列とテンプには大きな負荷がかかるため、軸受や注油、テンプ素材の設計に相応の配慮が求められる。

テンプにはフリースプラング(緩急針を持たない)方式を採る。歩度の調整は、テンプ環に設けた慣性ねじを回し、慣性モーメントを変えることで行う。緩急針による有効長の調整に比べ、外乱でずれにくく、長期的な安定性に優れるとされる。ヒゲゼンマイ(テンプの往復運動を司る渦巻きばね)にはシリコン製を採用する。シリコンは磁気の影響を受けず、温度変化による特性の変動も小さい。エッチングで成形するため、形状精度も高い。金属製のヒゲゼンマイは磁場で精度が乱れやすいが、シリコン製ではその懸念が小さい。軟鉄製の内ケースに頼らずとも、ムーブメント自体が一定の耐磁性を備える点に利点がある。

クロノグラフの制御は、コラムホイール(柱状歯車)とバーチカルクラッチ(垂直クラッチ)の組み合わせによる。コラムホイールは始動・停止・復帰の各操作を司る部品で、カム式に比べて操作感が滑らかで、機能の切り替えが正確とされる。バーチカルクラッチは、クロノグラフ秒針の連結を上下方向の摩擦で行う方式である。水平クラッチに見られる始動時の針飛びがなく、計測中の振幅低下も小さい。このため、クロノグラフを常時作動させても精度への影響が抑えられる。

フライバック機構を備える点も特徴である。作動中のクロノグラフを、4時位置のボタン一押しで瞬時に復帰・再始動できる。停止・復帰・始動の三動作を一動作にまとめる機構で、連続する事象の計測に適する。

F388Bは、母体であるCal. F385からカレンダー機構を省いた構成を採る。F385が37石・322部品で日付表示を備えるのに対し、F388Bは35石・293部品とされ、日付を持たない。直径31.80mm、厚さ6.65mmという基本寸法は両者で共通する。単一の香箱から約50時間のパワーリザーブを得る構成である。

仕上げにも自社製らしい配慮がある。自動巻錘は肉抜き加工を施したローターで、ブリッジと同じスネイル仕上げ(渦巻き状の筋目)を持つ。地板やブリッジには、ペルラージュ(円状の細かな研磨)や面取りが施される。搭載モデルのエア・コマンドでは、ローターをプロペラ形に造形し、ケース素材と色調を合わせる演出が加えられる。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 2 本のリファレンス

This caliber appears in 2 references