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CALIBER · BLANCPAIN

69F8

自動巻 Automatic Analog

薄型自動巻クロノの源流である1185系を礎に、コラムホイール式フライバックとグランドデイトを備えたブランパンのキャリバー

69F8
movement · 69F8
図: ムーブメント — WatchBase
OVERVIEW · 概要

69F8は、フレデリック・ピゲのキャリバー1185を基盤とする、ブランパンの自動巻クロノグラフである。コラムホイールと垂直クラッチを備えた薄型クロノに、フライバック機構と6時位置のグランドデイトを組み合わせる。振動数は21,600vph (3Hz)、42石、部品数は382点を数える。パワーリザーブは約40時間とされる。1185系は薄型自動巻クロノの源流として知られ、複数の高級ブランドが採用してきた共通基盤でもある。69F8はその系譜上で、フライバックと大型日付表示を一つにまとめた発展形にあたる。代表的な搭載機は、レマン・クロノグラフ・フライバック・グランドデイト (Ref. 2885F系) である。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerBlancpain
Reference69F8
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Jewels42 石
Power reserve70 h
Movement ⌀32 mm
HandsHours, Additional 24 Hour Hand (adjustable)
DateBig Date
ChronographChronograph, Column wheel, Flyback
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 1185という源流

69F8の系譜は、1980年代後半のフレデリック・ピゲにさかのぼる。同社は1987年に手巻のキャリバー1180を発表した。これは当時、最も薄いコラムホイール制御のクロノグラフであった。コラムホイールとは、クロノグラフの始動・停止・復帰を司る歯車状の制御部品である。翌1988年には、自動巻機構を加えたキャリバー1185が登場する。厚さはわずか5.5mmにとどまり、薄型自動巻クロノグラフの先駆となった。
1185の開発期、フレデリック・ピゲの技術責任者を務めていたのがエドモン・カプトである。カプトは、汎用クロノとして広く普及したバルジュー7750の生みの親として知られる。同一の技術者が量産機と薄型高級機の双方に関わった点は、時計史の妙といえる。当時の機械式時計は石英危機からの再興期にあり、ブランパンはその復興を担う一社であった。

2. 高級クロノの共通基盤

1185の意義は、単独のキャリバーにとどまらない。薄型で仕上げの自由度が高いこの設計は、複数の高級ブランドへ供給される共通基盤となった。オーデマ・ピゲはこれをCal.2385としてロイヤルオーク・クロノグラフに採用した。ヴァシュロン・コンスタンタンはCal.1137としてオーヴァーシーズ・クロノグラフに用いた。ブレゲのマリーン・クロノグラフやカルティエの一部機種も、同系を基礎とする。
同じ土台が、異なる意匠と仕上げで各社の個性を表現した。オメガはこの設計を大きく改修し、振動数を高めたCal.1285系として展開している。各社の差は優劣ではなく、設計思想と仕上げ思想の違いとして理解されるべきものである。

3. フライバックとグランドデイトへの展開

ブランパンは1185を自社向けに改良し、フライバック機構を備えたCal.F185を生んだ。フライバックとは、作動中のクロノグラフを一押しで即座にゼロ復帰・再始動させる機能である。レマン・コレクションは1990年代半ばに登場し、このフライバック・クロノを主力の一つとした。
2000年代半ばには、F185系に大型日付表示を加えた69F8が現れる。6時位置に2枚の日板を用いたグランドデイトを配し、視認性を高めた。この大型日付を備えたフライバック・クロノは、レマンの40mmケースに収められた。42石、382点という構成は、薄型クロノにモジュールを重ねた結果である。

4. 自社製化とその後

フレデリック・ピゲは、ブランパンとともに1992年にスウォッチ・グループ傘下へ入った。そして2010年頃、フレデリック・ピゲはブランパンへ統合され、その製造部門となった。これにより1185系は、供給品から実質的な自社製ムーブメントへと位置づけを変えた。
レマン・コレクションの整理後、ブランパンのクロノグラフは新世代の自社製キャリバーへ移行していく。現行のF385は、1185が築いた薄型コラムホイール・クロノの思想を引き継ぐ存在とされる。69F8は、その長い系譜の中で、フライバックとグランドデイトを一つにまとめた到達点の一つである。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

構造の核 — コラムホイールと垂直クラッチ

69F8のクロノグラフ制御は、コラムホイールと垂直クラッチの組み合わせによる。コラムホイールは円柱状の歯を持つ制御車で、プッシュボタンの操作を各レバーへ正確に振り分ける。カム式に比べて操作感が滑らかで、高級クロノに好まれる方式である。
垂直クラッチは、クロノ秒針の駆動を上下方向の摩擦で断続する機構である。水平クラッチで生じやすい始動時の針飛びを抑え、計測のたびに安定した起動を得る。基盤となる1185系は、この二つを薄型のうちに収めた点で評価されてきた。

フライバックとグランドデイト

フライバックは、作動中に復帰ボタンを押すだけで、針が瞬時にゼロへ戻り再び計測を始める機構である。停止・復帰・再始動を個別に行う手間を省き、連続した計測に向く。復帰の瞬間には、一体型のリセットハンマーが各積算計を同時にゼロへ戻す。30分積算計と12時間積算計を文字盤の左右に配し、6時位置にグランドデイトを置く構成をとる。
グランドデイトは、6時位置に2枚の日板を並べ、十の位と一の位を別々に表示する。一般的な単一窓よりも数字が大きく、視認性に優れる。2枚を同期させて送る機構を要するため、通常のカレンダーより部品が増える。69F8の42石、382点という規模は、薄型クロノにこのモジュールを重ねた構成を反映している。

調速と巻上げ

振動数は21,600vph (3Hz) である。1時間あたり21,600回の振動を意味し、近年主流の28,800vph (4Hz) より低い。低い振動数は薄型化とエネルギー効率の面で利点があり、1185系の設計思想を映す。テンプの調整にはトリオビス式のマイクロメーター緩急針を用い、耐震装置にはキフ・ウルトラフレックスを備える。
自動巻はボールベアリング軸のローターによる片方向巻上げで、時計回りに巻き上げる。香箱は一つで、パワーリザーブは約40時間とされる。なお一部のデータベースは70時間と記載しており、表記に差がある。

仕上げと外装

ムーブメントにはコート・ド・ジュネーブ装飾が施され、ブルースチールのネジが用いられる。サファイアクリスタルのシースルーバックから、これらの仕上げと巻上げローターを鑑賞できる。基盤の1185は厚さ5.5mmと薄く、ケースに納めた際の端正な佇まいに寄与する。1185系は4番車を中央に配し、その上に垂直クラッチを重ねてクロノ秒針を取り出す。この合理的な輪列が、薄型と多機能の両立を支えている。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

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