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CALIBER · A. LANGE & SöHNE

L901.2

手巻 Handwound Analog

2003年、初代グランド・ランゲ1の派生機として登場した、ツインバレル72時間駆動を備える手巻キャリバー

L901.2
movement · L901.2
図: ムーブメント — WatchBase
OVERVIEW · 概要

L901.2は、2003年に初代グランド・ランゲ1のために派生した、A.ランゲ&ゾーネの手巻キャリバーである。基幹機L901.0を出発点としつつ、41.9mmのグランド・ランゲ1ケースに搭載するための派生機として位置づけられた。直径30.60mm、振動数21,600vph (3Hz)、ツインバレルにより72時間以上のパワーリザーブを備える。未処理ジャーマンシルバーの3/4プレート、手彫りのテンプ受け、9個のスクリュー留めゴールドシャトンといったランゲ伝統の意匠を継承し、特許取得の大型日付(グロースダーチュム)、扇形のパワーリザーブ表示「アウフ・アープ」、ハッキング機能を装備する。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerA. Lange & Söhne
ReferenceL901.2
TypeHandwound
DisplayAnalog
Frequency21,600 bph (3 Hz)
Jewels53 石
Power reserve72 h
Movement ⌀30.6 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
DateBig Date
AdditionalPower Reserve Indicator
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. グランド・ランゲ1という拡張要請

A.ランゲ&ゾーネは1994年10月24日、ドレスデンの王宮で新コレクションを発表し、その中核に据えたのがランゲ1である。原典のケース径は38.5mmで、当時としては標準的な大きさであった。しかし2000年代初頭にかけて市場全体で大型ケースへの志向が強まり、これに応える形で2003年に登場したのが、ケース径41.9mm・厚さ11mmのグランド・ランゲ1である。

この拡大版を駆動するために用意されたのが、Cal. L901.2である。マニュファクチュール責任者ティノ・ボベは「2003年のグランド・ランゲ1は、標準サイズのランゲ1と同じムーブメントを基にしていた」と振り返っており、L901.2は基幹機L901.0を出発点とした派生機であって、機構の根幹は共有されている。

2. ランゲのキャリバー命名と派生としての位置

ランゲのキャリバー番号は、最初の二桁が開発開始年、末尾の枝番号が派生世代を示す体系で運用されている。L901.0は1990年に開発が始まったランゲ初の自社キャリバーで、1994年のランゲ1発表とともに世に出た。以降、未処理ジャーマンシルバーの3/4プレート、手彫りのテンプ受け、スクリュー留めゴールドシャトンといった意匠は、現代ランゲのアイデンティティとなっていく。

L901.2はこのL901.0直系の派生機であり、ムーブメント径は30.60mmのまま据え置かれている。41.9mmケースに対してムーブメントを大型化しなかったことで、文字盤側ではサブダイヤルと大型日付窓が分トラックの一部に重なる独特なレイアウトとなった。この視覚的なアンバランスは初代グランド・ランゲ1の個性として認識される一方、後に再設計の対象となる論点でもあった。

3. L901系列の派生群

L901系列はランゲ1ファミリーの中核を支え、複数の派生に枝分かれしている。L901.1はリミテッドエディションの「ランゲ1A」(ゴールド部品仕様)向け、L901.4はマザーオブパール等の厚みのある文字盤に対応するためピニオンを延長したもの、L901.5はムーンフェイズを搭載した「ランゲ1ムーンフェイズ」用、L901.7とL901.8は2003〜2004年の限定セット「ルナ・ムンディ」用(それぞれ北半球と南半球の月相に調整)、L901.9は「リトル・ランゲ1ムーンフェイズ」用と整理されている。トゥールビヨンのCal. L961もL901を基礎としている。

4. 後継機への引き継ぎ

L901.2が支えた初代グランド・ランゲ1は、2012年にCal. L095.1を搭載した第2世代へと刷新された。L095.1はグランド・ランゲ1のケースサイズに合わせて新規開発された薄型ムーブメントで、直径34.10mm・厚さ4.7mmとなり、文字盤レイアウトの要素重なりは解消された。L901.2の現役期間は2003年から2012年までのおよそ9年間である。基幹機L901.0自体は標準サイズのランゲ1で運用が続き、2015年にCal. L121.1へ世代交代するに至る。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

1. 構造と仕上げ

L901.2の主板と橋(ブリッジ)は、未処理のジャーマンシルバー(ニッケルシルバー、Neusilber)で作られている。これはランゲ復興時にグラスヒュッテの伝統から受け継がれた素材で、表面に時間とともに自然な変色(パティナ)が生じる特徴を持つ。地板の大半を覆う3/4プレート(三四プレート)はグラスヒュッテ伝統の構造で、複数の橋を一体化することで剛性と整然とした視覚的構成を両立させる。

仕上げではグラスヒュッテリブ(コート・ド・ジュネーブよりやや幅広のリブ模様)、9個のスクリュー留めゴールドシャトン、ブルースチール製のスクリュー、そして手彫りで仕上げられたテンプ受けが特徴である。テンプ受けの彫金は熟練の職人によって一本一本筆致が異なり、量産機にはない個体差が現れるとされる。総部品点数は365、石数は53である。

2. 駆動系とパワーリザーブ

最大の構造的特徴はツインバレル(ドッペルフェーダーハウス、二段香箱)である。2本の主ゼンマイを直列に接続することで蓄積エネルギーを大幅に増やし、フル巻上げ時に72時間以上のパワーリザーブを確保する。3日強の駆動は当時の手巻機として長めの部類で、週末を挟んでも止まらない実用性を持つ。

振動数は21,600vph (3Hz、毎時2万1,600振動)である。後年のハイビート機(28,800vphや36,000vph)に比べると控えめだが、3Hzはテンプの慣性モーメントを大きく取れるため、トルク変動への耐性と耐衝撃性で有利とされる設計である。

3. 調整機構

テンプはグルシデュール(ベリリウム銅合金)製の耐衝撃スクリュー付きで、ヒゲゼンマイにはニヴァロックスを採用する。調整方式はインデックス式(フリースプラング式ではなく緩急針による)で、ランゲの懐中時計伝統に由来するウィップラッシュ精密緩急針が組み込まれている。これは細い針状の緩急針をスワンネック(白鳥の首形)の保持バネで微細に動かす機構で、特許取得のビート調整機構を併用する。精度は5姿勢で調整され、出荷時にランゲ社内のテストプロトコルに沿って追い込まれる。

4. 大型日付(グロースダーチュム)機構

L901系を象徴する機構が、ランゲのマニュファクチュール初の特許である大型日付表示である。1841年にドレスデンのゼンパー・オーパー(ザクセン王立歌劇場)に設置された「5分時計」のデジタル表示にインスピレーションを得たもので、これはランゲ創業者フェルディナンド・A.ランゲが師ヨハン・C.F.グートケスとともに開発に関わった時計でもある。

機構は、一の位を表示する10桁のディスクと、十の位の0〜3を表示する十字輪を組み合わせ、二重窓の中に並べて読ませる二重表示式である。同サイズの時計に比べて約3倍の大きさで日付を表示でき、文字盤の視認性とランゲ独自のアイデンティティを両立させる。

5. その他の機能

リューズを引くと秒針が停止するストップセコンド(ハッキング)を搭載し、秒単位での時刻合わせができる。文字盤側にはパワーリザーブ表示「アウフ・アープ(Auf/Ab、巻上げ・巻下げ)」が扇形で配置され、残量を視覚的に把握できる。組立と装飾の大半は手作業で行われ、ランゲ社内では完成した機械をいったん組み上げて精度調整した後、全分解・洗浄して再度組み立て直す「2回組立(Zweite Montage)」が実施される。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

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