起源 — 懐中時計時代から1941年へ
パテック フィリップが複雑機構の主導者となった歴史は、1839年の創業に遡る。アントニ・パテックとアドリアン・フィリップの共同体は、当初から「時を刻む」だけにとどまらない懐中時計を志した。20世紀に入ると、ブランドはアメリカの大富豪たちから個別注文を受け、超複雑機構の頂点を競う立場へ進む。象徴的存在が、1933年に完成したヘンリー・グレーヴス スーパーコンプリケーションである。24の複雑機構を備えたこの懐中時計は、1989年まで「世界で最も複雑な時計」の座を維持した。
腕時計におけるグランドコンプリケーションの起点は、第二次世界大戦のさなかに置かれる。1941年、バーゼル時計フェアで発表されたRef. 1518は、世界初の量産型永久カレンダー クロノグラフであった。1954年までに約281本のみが製造され、その後の永久カレンダー クロノグラフ——Ref. 2499、3970、5970、現行5270——のダイヤル レイアウトとケース構成の原型となった。12時下にダブルアパーチャーで曜日と月、6時に日付とムーンフェイズを配する構造は、80年を経て現在まで継承されている。