設計思想
METAS化の先陣となった第3世代
2016年3月のBaselworldで、OmegaはPlanet Ocean 600Mの第3世代を発表した。主題は外装ではなく認証である。全モデルがスイス連邦計量・認定局METASの審査を受けるマスター クロノメーターとなった。15,000ガウス超の磁場への耐性と高精度を、ムーブメント単体ではなく完成品の状態で保証する体制である。Omegaがこの規格を最初に名乗ったのは2015年のGlobemasterである。ダイバーズウォッチへの適用はこの世代が最初で、コレクション一括での移行もPlanet Oceanが先陣となった。公開は同年1月下旬からプレ発表の形で段階的に進み、本Refを含むスチール仕様は3月の会場で出揃っている。
37.75mmと42mmを束ねた39.5mm
第2世代(2011年)の3針は37.75mm、42mm、45.5mmの3径で構成されていた。第3世代はこれを39.5mmと43.5mmの2径へ整理し、2005年の初代以来の基準径だった42mmを一旦カタログから退かせている。39.5mmはその下を受け持つ新設サイズで、レディース向けとされた37.75mmと中間径42mmの両方の受け皿となった。Omegaは世代の特徴として薄型化を掲げており、39.5mm版は専門メディアの実測で厚さ14.2mm、ラグ間全長45.6mmと報じられる。600m防水とヘリウムエスケープバルブを保持したダイバーとしては抑制された数字である。
ムーブメントの選択もサイズに従う。第2世代の3針が積んでいた8500系(二連香箱・60時間)に対し、39.5mmには小径の新キャリバー8800が充てられた。単一香箱で55時間のパワーリザーブ、毎時25,200振動 (3.5Hz)、Si14シリコン製ヒゲゼンマイを持つフリースプラング天輪という構成である。持続時間こそ一歩譲るが、METAS認証と15,000ガウス耐磁という世代の本丸は等しく備える。
ブルーの定着と、39.5mmの終点
Planet Oceanの象徴色は2005年以来オレンジだが、第2世代からはブルーが定番色として根を下ろしつつあった。第3世代の39.5mmでは、ブラックの215.30.40.20.01.001と並ぶ基幹色としてブルーが最初から用意され、文字盤までZrO2セラミックとする構成が与えられた。セラミック文字盤はこの2年後、2018年のSeamaster Diver 300M刷新で広く知られるが、Planet Oceanが先行していたことになる。
同世代にはラバーストラップ仕様の215.33.40.20.03.001や、Sednaゴールドを用いる上位仕様が並んだ。2023年半ばにはSeamaster誕生75周年のSummer Blueコレクションが組まれた。同じ39.5mmケースにグラデーション文字盤を載せた215.30.40.20.03.002は、その一員として並売で加わっている。
2025年11月、Planet Oceanは42mm単一径の第4世代へ移行した。新世代に39.5mmの設定はなく、600m防水を40mm未満のケースに収めたPlanet Oceanは、2026年6月時点でこの39.5mm系をもって途切れている。
意匠分析
ケースは39.5mmのステンレススチール。シーマスター系に共通するライアーラグを持ち、ヘアライン主体の面に磨きの面取りを走らせる文法は上位径と変わらない。リューズガード、ねじ込みリューズ、10時位置の円錐形ヘリウムエスケープバルブまで、縮小に際して道具としての要素を何ひとつ省いていない点に、このRefの設計姿勢が表れる。風防はドーム型サファイア。専門メディアの実測では厚さ14.2mm・ラグ間全長45.6mmと報じられ、手首の小さい使い手へ600m防水をそのまま渡すという狙いが寸法に読み取れる。
ベゼルはブルーのZrO2セラミック。彫り込んだ目盛に非晶質合金Liquidmetalを充填し、研磨で面一に仕上げることで、退色しない金属目盛とセラミックの硬度を両立させる。逆回転防止のクリックは確実で、グローブ越しでも操作しやすいと評される。
文字盤も高光沢のブルーZrO2セラミックで、針軸の下に素材を示すZrO2の刻印が入る。6・9・12のアラビア数字とバーインデックスはアプライドの磨き仕上げ、針はファセットを切ったブロードアロー。夜光は使い分けられ、時針とインデックスが青、分針とベゼルの逆三角ドットが緑に発光する。潜水中に経過時間を司る要素だけを色で切り分ける、Planet Ocean共通の視認性設計である。3時位置にはデイト窓が開く。セラミックの青は光で表情を変え、強い日差しでは深い青、弱い光では灰味がかった色に振れると評される。
裏蓋はねじ込み式で、この世代から導入された波状のパターンが縁を飾る。サファイア越しに見えるCal.8800は、アラベスク状のジュネーブ・ウェーブを刻んだロジウム仕上げである。ブレスレットは3連で、ヘアラインとポリッシュを併用するため光をよく拾う。クラスプは特許取得のエクステンション機構を備えたフォールドオーバー式で、ウェットスーツの上からの装着に対応する。
系譜と歴史
2016年1月下旬、OmegaはBaselworldに先行して第3世代Planet Ocean 600Mの公開を始めた。最初に披露されたのは、Sednaゴールドやチョコレート文字盤の39.5mm版である。同年3月のBaselworld 2016で世代全体が正式発表され、本Refはスチールケースとブレスレットにブルーセラミックを組み合わせた基幹仕様としてラインアップに含まれた。販売は同年中に始まり、秋には市場での流通が確認できる。
発売時には、ブラック文字盤の215.30.40.20.01.001、ラバーストラップの215.33.40.20.03.001など、同じ39.5mm径の兄弟仕様が同時に展開された。生産期間を通じて、本Refについて公式に告知された仕様変更は確認できない。文字盤・ベゼル・ブレスレットの構成は2016年の発表時のまま維持されたとみられる。
2023年半ば、Seamaster誕生75周年を記念するSummer Blueコレクションが発表された。その1本として、同じケースにグラデーション仕上げの文字盤を載せた215.30.40.20.03.002が登場している。これは本Refの置き換えではなく並売で、通常のブルー仕様はその後もカタログに残った。
2025年11月、Omegaは42mm単一径・Cal.8912搭載の第4世代Planet Oceanを発表し、第3世代は世代交代を迎えた。本Refは遅くとも2026年前半までに公式サイトで販売終了の表示となり、39.5mm径には直接の後継Refが設定されていない(2026年6月時点)。