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CALIBER · ZENITH

El Primero 3600

自動巻 Automatic Analog

脱進機から直接駆動して10分の1秒を刻む、毎時36,000振動を継ぐエル・プリメロの最新世代

OVERVIEW · 概要

ゼニスが2019年、エル・プリメロ誕生50周年を機に世へ送り出した自社製の自動巻クロノグラフキャリバーである。1969年の初代が掲げた高振動の設計思想を受け継ぐ。毎時36,000振動 (5Hz) を保ちながら、パワーリザーブを60時間へ延ばした。最大の特徴は、10分の1秒の直接表示にある。クロノグラフ機構を脱進機から直接駆動し、中央の計時針が10秒で文字盤を一周する。シリコン製の脱進機やストップセコンド機構を備える。搭載モデルはクロノマスター・スポート、クロノマスター・オリジナル、デファイ・スカイライン・クロノグラフなどに及ぶ。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerZenith
ReferenceEl Primero 3600
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency36,000 bph (5 Hz)
Jewels35 石
Power reserve60 h
Movement ⌀30 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
DateDate
ChronographChronograph, Column wheel
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. 50周年が呼び込んだ新世代

エル・プリメロは、1969年に発表された最初期の自動巻クロノグラフのひとつである。毎時36,000振動 (5Hz) という当時例のない高振動を武器とした。以後はCal.400系として数十年にわたり生産が続き、多くのブランドへ供給される基幹ムーブメントとなる。その50周年にあたる2019年、ゼニスは記念モデル群を発表する。その一つ「クロノマスター2」に、新世代のエル・プリメロ3600を初めて搭載した。

開発の主眼は、性能の刷新だけでなくモジュール性の向上にあった。設計を見直すことで、将来の機能追加や生産・調整の効率化を図ったとされる。専門メディアはこの3600を、Cal.400と、10分の1秒表示を備えたCal.4052Bの特性を統合した世代と評している。

2. 「10分の1秒」という宿題

毎時36,000振動は、理論上10分の1秒の計測を可能にする。しかし、その極小の時間を文字盤上で読み取らせることは長く課題であった。ゼニスは2002年に表示機構の特許を取得したとされる。2010年代には、飛び秒で10分の1秒を示すCal.4052「ストライキング・テンス」を世に問うた。

3600は、これとは異なる解法を選ぶ。中央のクロノグラフ針を脱進機から直接駆動し、10秒で文字盤を一周させることで、10分の1秒を連続的に表示する。針が指す目盛りは0から100へ区切られ、計測値が直感的に読める。記念モデルでの限定的な搭載を経て、2021年のクロノマスター・スポートで量産レギュラーモデルへ展開された。

3. 派生と広がり

3600は単一の機構にとどまらず、用途に応じた派生を生んだ。日付を持たないCal.3604はクロノマスター・オープンに搭載される。スケルトン化したCal.3600 SKは、クロノマスター・スポート・スケルトンなどに採用される。クロノグラフ機構を取り除いた三針版のCal.3620は、デファイ・スカイラインで常時動く10分の1秒の小秒針として高振動を可視化した。半世紀を超えるエル・プリメロの系譜は、この世代で新たな基盤を得たといえる。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

エル・プリメロ3600は、毎時36,000振動 (5Hz) で駆動する自動巻のコラムホイール式クロノグラフである。直径は30mm (13.25リーニュ)、石数は35、部品点数はおよそ311点とされる。テンプ(往復回転する調速輪)が毎秒10回刻むこの高振動は、計時針の滑らかな運針を生む。

高振動には精度上の利点がある。テンプの往復が速いほど、姿勢差や外乱に対する復元力が増し、歩度が安定しやすい。同時に、刻みが細かいほど短い時間を分解でき、これが10分の1秒という単位の理論的な裏付けとなる。

本機の核心は、クロノグラフの駆動方式にある。先代のCal.400は、4番車から計時系へ動力を取り出していた。3600は脱進機(エネルギーを一定間隔で解き放つ機構)から、直接クロノグラフを駆動する。輪列の末端に位置する脱進機は、取り出せる動力が最も小さい。加えて中央計時針は通常の6倍の速さで回るため、必要な運動エネルギーは速度の二乗、すなわち約36倍に達する。

この難題に対し、ゼニスは複数の工夫を重ねた。まず脱進機のガンギ車とアンクルにシリコンを採用し、慣性と摩擦を抑えた。ガンギ車は星形に肉抜きされ、回転体としての軽さを追求している。シリコンは耐磁性にも優れ、長期的な精度の安定に寄与する。動力を伝える各歯車の歯形は機能ごとに最適化され、二枚の中間車を備えた水平クラッチへと改められた。コラムホイール(操作を司る柱歯車)は拡大・中央化され、始動や復針の確実性を高めている。

駆動方式の刷新は、文字盤側の構成にも及んだ。中央の計時針は0から100に区切られた目盛りを10秒で一周し、10分の1秒を直接指し示す。積算計の配置も先代から改められ、3時位置に60秒計、6時位置に60分計、9時位置に常時運針の秒を備える。

調速・操作系にも更新が及ぶ。初代エル・プリメロが持たなかったストップセコンド(秒停止)機構を加え、時刻の正確な合わせを可能とした。日付はクイックセットに対応する。リューズの操作手順も見直され、巻き上げは玉軸受で支持された中央ローターが担う。これらの効率化により、パワーリザーブは先代の約50時間から60時間へ延びた。巻き上げローターは肉抜きされ、中央に五光星のゼニス・ロゴをあしらう。再設計にあたっては組み立てと調整の効率、すなわちモジュール性が重視されており、将来の機能追加を見据えた基盤としても構想された。仕上げと精度の両面で、本機はクロノメーターとして認定されている。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 4 本のリファレンス

This caliber appears in 4 references