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CALIBER · TUDOR

MT5601

MT5601
自動巻 Automatic

Black Bay Bronzeの43mmケースを満たすために口径を広げた、MT56系の大型自動巻

OVERVIEW · 概要

Cal. MT5601は、2016年のBlack Bay Bronzeに初搭載されたTudor自社製の自動巻きキャリバーである。41mm用のCal. MT5602を基礎に、43mmケースの内部空間へ見合う口径33.8mmへ拡大した派生であり、振動数28,800vph (4Hz)、25石、約70時間のパワーリザーブという基本性能は共通する。可変慣性テンプ、両端固定の横断ブリッジ、シリコン製ヒゲゼンマイを備えCOSC認定を受ける。Kenissi社が製造を担い、MT56プラットフォームのなかで最大径のケースを担当する。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerTudor
TypeAutomatic
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels25 石
Power reserve70 h
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

ETA依存からの転換

1926年の創業以来、TudorはRolexの弟分として、設計思想と部品供給を共有しつつ汎用ムーブメントを用いることで価格競争力を保ってきた。長くその心臓部を担ったのはスイスETA社のキャリバーである。しかし2000年代後半、SwatchグループがETA製ムーブメントのグループ外供給を段階的に絞る方針を示すと、独立系メーカーは自社製への移行を迫られた。Tudorは2010年に自社製キャリバーの開発へ着手し、2015年のバーゼルワールドでCal. MT5621とCal. MT5612を発表する。MTはManufacture Tudorを意味する。翌2016年には製造を担う関連会社Kenissiが設立された。

43mmという例外

自社製キャリバー群は、まず41mm前後のケースを前提として設計された。Cal. MT5612がPelagosに、翌2016年のCal. MT5602がBlack Bay Ref.79230に載り、いずれも直径31.8mmの機械を41mmのケースに収める構成である。

ところが同じ2016年、Tudorはブロンズケースの43mmモデルBlack Bay Bronzeを世に出す。青銅は経年で色を変える素材であり、その表情を見せるにはある程度の面積が要る。43mmという選択はそこから来たものだが、31.8mmの機械をそのまま入れると、ムーブメントとケース内壁の間に大きな余白が生じてしまう。

口径を広げるという解法

Tudorが採ったのは、既存のCal. MT5602を口径33.8mmへ拡大するという方法だった。設計思想も部品構成も引き継ぎ、地板と受けの寸法だけを大きくする。振動数、石数、パワーリザーブといった性能諸元は変わらない。

こうして生まれたのがCal. MT5601である。MT56という共通の型番が示すとおり、MT5602 (41mm用)、MT5612 (Pelagos用)、MT5652 (GMT用) と同じプラットフォームに属し、ケース径に応じて口径を選べる体系の一翼を担う。

43mmケースの担い手

以後Cal. MT5601は、Black Bay Bronzeを中心とする43mmモデルの標準機となった。2025年にはMETAS認定に対応した派生Cal. MT5601-Uが登場し、Black Bay 68に搭載されている。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

構成と主要諸元

Cal. MT5601は直径33.8mmの自動巻きキャリバーである。振動数は28,800vph (4Hz)、石数は25、パワーリザーブは約70時間。日付を持たない時・分・秒の3針構成で、ハック機能と手巻きに対応する。単一の香箱を両方向巻き上げの中央ローターで巻き上げる。

MT5602との関係

基本設計はCal. MT5602と共通である。両者を分けるのは地板と受けの口径のみで、31.8mmが41mmケース用、33.8mmが43mmケース用という役割分担になる。輪列の配置、脱進機の構成、巻き上げ機構はいずれも同一の設計に基づく。

口径を広げる利点は収まりの良さだけではない。テンプの直径にも余裕が生まれ、慣性モーメントを確保しやすくなる。大径のテンプは外乱に対して安定しやすく、精度の面でも有利に働く。

可変慣性テンプと横断ブリッジ

調速機構はMT56系に共通する構成を採る。テンプ内側の調整ネジで慣性モーメントを変える可変慣性テンプであり、緩急針を用いないフリースプラング方式である。テンプ受けは片持ちではなく両端を固定する横断ブリッジとし、衝撃を受けた際のテンプ軸のたわみを抑える。

ヒゲゼンマイには非磁性のシリコンを用いる。磁界の影響を受けないため、生活磁場のなかでも巻き乱れによる精度低下が起きにくい。

認定

Cal. MT5601はCOSC認定を受ける。日差はマイナス4からプラス6秒の範囲に収まることが求められ、Tudorはこれに加えて自社基準での検査を行っている。METAS認定に対応する派生はCal. MT5601-Uとして別に用意された。

整備と互換

MT56系はKenissi社が量産を前提に設計した機械であり、部品の共通性が高い。Cal. MT5601とCal. MT5602の差は地板と受けの口径に限られるため、調速機構や巻き上げ機構の整備手順は共通する。長期の部品供給という観点でも、プラットフォームを共有する設計は有利に働く。

Tudorは自社製キャリバー搭載機に5年間の保証を付し、定期的な分解整備を前提としない運用を掲げている。約70時間というパワーリザーブは、週末に外して月曜に着けても止まらない長さとして設定されたものである。

巻き上げと動力

香箱は単一で、両方向巻き上げの中央ローターが動力を供給する。片方向巻き上げに比べて日常の腕の動きを効率よく拾えるため、単一香箱でも約70時間を確保できる。ぜんまいの巻き解けに伴うトルクの変動は、大径のテンプが持つ慣性によって吸収される。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

搭載モデル

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