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CALIBER · SEIKO

7C46

クォーツ Quartz Analog

1986年、1000mダイバー用に登場した、ツナの心臓を40年担うセイコーのプロ仕様高トルククォーツ

OVERVIEW · 概要

Cal. 7C46は、1986年にセイコーが発表したプロフェッショナルダイバー専用のアナログクォーツムーブメントである。32,768Hzの水晶振動子に7石、月差±15秒、約5年の電池寿命を備え、ツナの大型針を駆動する高トルク・ステップモーターと負荷補償駆動パルスを採用する。電池消耗を秒針の2秒運針で告げるEOL指示、ハック機構も標準装備。1000mダイバーSBDS018から始まり、SBBN047/049に至る現行プロスペックスまで、40年近くにわたりツナ系の中核を担い続ける、実用主義に徹したクォーツ設計の象徴である。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerSeiko
Reference7C46
TypeQuartz
DisplayAnalog
Jewels7 石
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. ツナのために設計されたクォーツ

Cal. 7C46は、もとよりプロフェッショナルダイバー用に開発された専用キャリバーである。汎用ムーブメントの転用ではなく、特定のケース寸法と機能要件に合わせて設計された点で、後年のセイコー量産クォーツ群と性格を異にする。

セイコーのプロダイバー史は、1968年に呉市の飽和潜水士から届いた一通の手紙にさかのぼると伝わる。ヘリウム潜水で時計のクリスタルが破裂する不具合への抗議であった。これを受けて技師の徳永郁夫が率いたチームは、20件以上の特許とともに1975年、チタン製モノコック・ダイバー「グランドファーザー・ツナ」(Ref. 6159-7010)を発表する。

1978年にはこの系譜から、世界初の飽和潜水対応クォーツダイバーCal. 7549A搭載「ゴールデン・ツナ」(Ref. 7549-7009)が登場した。5石、電池寿命3年。機械式の絶対信頼性に対し、ヘリウム環境下での精度と耐衝撃性が選好された結果である。Cal. 7C46は、この7549Aを引き継ぐ世代として1986年に投入された。石数は7石へ、電池寿命は約5年へと拡張され、新設計の高トルク・ステップモーターと負荷補償駆動パルスが組み込まれる。同年、水深1000mに対応した7C46-7009(SBDS018)が世に出て、セイコー初の1000m対応クォーツ・プロダイバーとなった。

2. クォーツ革命後の独自路線

1970年代後半から1980年代にかけて、業界はクォーツショックの余波の中にあった。スイス勢の一部が機械式への回帰路線を模索する一方、セイコーはクォーツを単に低価格時計の動力源としてのみ捉えず、プロツールとしての可能性を追求する道を選ぶ。Cal. 7C46はその思想の結晶であり、汎用機の延長ではなく、過酷な現場要件から逆算して仕様が定められた数少ない設計の一つである。1986年から1993年頃まで生産された600mダイバー「アシュトレイ」(Ref. 7C46-6009/6010)、300mダイバー系(7C46-7010/7011)など、深度別の派生にも展開された。

3. 40年にわたる継続生産

1986年の初搭載以降、Cal. 7C46は1000m機(SBDS018からSBBN011/013系「ダース・ツナ」、現行SBBN047まで)、300m機(SBBN007/015/017、SBBN031/033/035、SBBN045/049)と、ツナ系のあらゆる派生を支えてきた。2018年の40周年記念SBBN040、2021年のSBDS018生誕35周年SBBN051も同じ7C46を心臓に据える。

セイコー社内でのCal. 7C46の位置は、グランドセイコー系の高精度クォーツCal. 9Fとは性格を異にする。9Fが年差精度と仕上げを追求するのに対し、7C46は耐衝撃・耐磁・高トルク・分解整備性といったプロツール要件を優先する。設計思想の差であり、優劣ではない。ツナ系最上位の「エンペラー・ツナ」には自社製自動巻きCal. 8L35が搭載され、機械式とクォーツの棲み分けが図られている。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

寸法と基本仕様

Cal. 7C46の機械的構成は、ツナ・ケースの内径に合わせて最適化されている。外径は28.6mm、3時-9時方向は27.0mm、厚さは3.7mm。3時位置に曜日/日付ディスクを備え、曜日表示はモデルにより英語/日本語、英語/漢字の二か国語表記となる。電池はSR43SW(IEC 301)。許容温度範囲は-10℃から+60℃と、JIS規格上のダイバー用クォーツに求められる範囲を確保する。

水晶振動子は32,768Hzで動作する。これは2の15乗Hzに相当し、分周回路で1Hzに分割することで秒針の1秒運針を生み出す、標準的なクォーツ仕様である。月差精度は±15秒以内に規定される。

高トルク・ステップモーター

Cal. 7C46最大の設計特徴は、高トルクのステップモーターの採用である。ツナの大型針(ルミブライト塗布により重量増)を確実に駆動するため、一般的なクォーツ機より大きなトルクが必要となる。これを支えるのが「負荷補償駆動パルス(load-compensated driving pulse)」と呼ばれる制御方式で、通常運針時は省電力パルスを送り、針の負荷増大を検知した場合により強いパルスを補給する。常時高出力で駆動する方式に比べて電池消費を抑え、約5年の電池寿命と高トルクを両立させる仕組みである。

EOL指示とハック機構

電池残量が低下すると、通常の1秒運針から、2秒間隔で2秒ずつ進む運針(2秒運針)へ切り替わる。EOL(End of Life)指示と呼ばれる機構で、ダイバーに電池切れの予兆を視覚的に伝える。針の動きを止めずに警告を発するため、潜水中でも見落としにくい。竜頭を引くと秒針が停止するハック機構を備え、時報との秒単位の同期が可能である。

耐磁・整流・保守性

磁気耐性は4,800 A/m(約60ガウス)に達するとされ、JIS B 7024に基づく耐磁時計1種に相当する水準である。ICはC-MOSタイプを採用して低消費電力化を図る。レギュレーターには「パターン・カッティング・システム」と呼ばれる調整方式が用いられ、製造時に基板パターンの一部を物理的にトリミングすることで精度を追い込む。回路基板上にトリマー素子を持つ汎用機との違いはこの点にある。

機構のもう一つの美徳は、その分解整備性にある。プラスチックと金属のハイブリッド構造を採るが、汎用クォーツのような使い捨て設計ではなく、コイル、回路、輪列、ステップモーターの各要素を個別に交換可能である。1000mモノコック機ではモノコック構造のため風防越しのフロントローディング方式となり、専用工具での扱いが前提となる。一方、300m系のSBBNシリーズはねじ留め裏蓋からアクセスでき、整備性が格段に高い。

設計思想の位置

セイコー社内における7C46の立ち位置は、年差クォーツCal. 9Fとは明確に異なる。9Fが仕上げと年差精度を追求する純粋系であるのに対し、7C46は過酷な現場での「動き続けること」を最優先とした実用系である。両者は同じセイコーの自社製クォーツでありながら、設計の出発点が違う、と理解するのが適切である。プロダイバーの装備として、月差±15秒という数字は十分過ぎる精度であり、そこから先のリソースは耐久性・耐磁性・トルク・整備性へ振り向けられている。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

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