系譜と歴史
セリタSW220-1という基盤
Cal. 752の出自を語るには、まず基盤であるセリタSW220-1に触れる必要がある。セリタは1950年にラ・ショー・ド・フォンで創業した、ムーブメントの組み立て業者(エボーシュ組立)である。長らくETAの下請けとして同社の半製品を組み上げ、その設計を熟知していた。2000年代初頭、ETAが外部ブランドへの供給を段階的に絞る方針を示すと、セリタは期限切れとなったETA設計を基に独自系列を立ち上げる。その中核がSW200系で、ETA 2824-2に相当する三針日付機が原点である。SW220-1はその曜日・日付版にあたり、ETA 2836-2と機構を同じくする。歯車の形状を見直した改良世代として、2008年頃から供給されている。
オリスによる「ビッグ・デイデイト」化
オリスはこの基盤に独自の手を加え、自社番号Cal. 752として展開した。最大の特徴は、曜日と日付それぞれの窓を拡大した点である。標準のSW220-1より文字盤の外周寄りに表示を移し、専用設計のディスクには太く大きな書体を採用した。視認性を重んじるパイロットウォッチの文脈に沿う改変である。初出は2016年のビッグクラウン・プロパイロット ビッグ・デイデイトで、同時に日付のみを拡大したCal. 751も発表された。両者はSW220-1を共有しつつ、表示の構成で性格を分ける。
オリスのムーブメント戦略における位置
オリスは自社開発のCal. 110系やCal. 400系といった独立した機械も擁する。一方でCal. 752のような供給ベースの機械を併用し、価格帯に応じて両者を使い分けている。セリタ製基盤はIWCやモンブランなど多くのブランドも採用しており、業界の共通基盤として定着している。オリスは「オリス開発」と表記するが、その実体は基盤の選定と表示機構の独自設計にある。Cal. 752は、その実用本位の姿勢を体現するキャリバーといえる。