設計思想
2017年世代の拡張として
オリスは2017年、主力ダイバーのアクイス・デイトを全面的に刷新した。ラグは短く整えられ、ベゼルには黒セラミックのインレイが採られた。標準モデルは43.5mm、300m防水、セリタSW200-1ベースのCal.733を積む構成である。この刷新の翌年、2018年にラインの上方へ加えられたのが、45.5mmのビッグデイデイトであった。標準デイトが日常での扱いやすさを軸に据えたのに対し、本作はより大きなケースと深い防水、そして実用的な表示を求める層に向けて企画されている。
標準デイトから何を変えたか
最大の違いは、ケースの大型化と防水性能である。径は43.5mmから45.5mmへ広がり、防水は300mから500mへ引き上げられた。ねじ込み式リューズとガード、多層構造のケースは、この深度を支えるための選択である。もう一つの核心が、ムーブメントの違いだ。標準デイトのCal.733が日付のみを示すのに対し、本作のCal.752はセリタSW220-1を基礎とし、曜日と日付を併せ持つ。オリスはこれを大型表示として再構成し、3時位置に独立した二つの窓を据えた。瞬時に切り替わる曜日・日付は、潜水時よりもむしろ日常の視認性に効く機能である。
転換期の前に立つ一本
本作が属するのは、アクイスが自社製ムーブメントへ移行する直前の世代である。オリスは2020年に5日巻きのCalibre 400を発表し、以後アクイスの主軸はこの自社キャリバーへ移っていく。本作のCal.752が38時間のパワーリザーブであったのに対し、Calibre 400は120時間を実現した。2024年の刷新ではサイズが43.5・41.5・36.5mmへ再編され、45.5mmのビッグデイデイトはその枠に引き継がれなかった。結果として本作は、セリタベースのCal.752と大型ケースで構成された、特定の時期のアクイスを映す一本となっている。同じ45.5mmケースを共有する兄弟機として、スモールセコンド・デイト(Ref. 01 743 7733 4135-...)が併売された。
意匠分析
本Refの輪郭を決めるのは、45.5mmという径と、ラグからブレスレットへ連続する一体的な造形である。ラグ幅は24mmで、エンドリンクがケースに溶け込むように設計され、上から見たとき時計はブレスの帯の中に静かに収まる。45.5mmという径は腕上での存在感を生むが、短く整えられたラグがその印象をいくらか抑える。ねじ込み式リューズには両側にガードが立ち、500m防水を支える多層構造のケースと組み合わされる。ベゼルは逆回転防止の一方向式で、黒セラミックのインレイに60分目盛とゼロ位置のドットが刻まれ、夜光が充填される。ケースとベゼルの間にはわずかな隙間が設けられ、指やグローブ越しでも掴みやすいよう配慮される。風防は両面ドーム型サファイアで、内面に無反射コーティングを施す。
文字盤はブルーのサンレイ仕上げで、光の角度によって表情を変える。アプライドインデックスと針にはスーパールミノバ(BG W9)が入り、秒針の先端には円形の夜光「ロリポップ」が載る。針はニッケル製で、視認性を意識した太さと長さを持つ。ダイヤル上の印字は最小限に抑えられ、大型化した表示と相まって判読性を優先する姿勢が読み取れる。
本作を標準デイトと最も強く分けるのは、3時位置の大型デイデイトである。曜日と日付がそれぞれ独立した窓に大きく表示され、瞬時に送られる。日付窓だけの標準デイトに比べ、文字盤の右側に重心が生まれ、実用機としての性格が前面に出る。ケースバックはねじ込み式で、特別な刻印が施される。ブレスレットはステンレス製で、フォールディングクラスプにダイバーズエクステンションを備える。
系譜と歴史
現行世代のアクイス・デイトは、2017年のバーゼルワールドで発表された。ケースとブレスレットを刷新し、黒セラミックベゼルを得たこの世代を受けて、翌2018年にラインを拡張する形で登場したのが45.5mmのビッグデイデイトである。標準デイトの43.5mm/300mに対し、本作は45.5mm/500mと一段上の規格を採り、セリタSW220-1をベースとするCal.752を搭載した。文字盤はブルーのサンレイのほか複数色が用意され、装着はステンレスブレスレット、ラバー、レザーから選べた。本Ref(末尾8 24 05PEB)は、ブルー文字盤とステンレスブレスレットの組み合わせにあたる。同じ45.5mmケースを用いるスモールセコンド・デイトも同時期に併売された。2020年、オリスは5日巻きの自社製Calibre 400を発表し、アクイスの主力はこの新型キャリバーへ移っていく。2024年、オリスは創業120周年に合わせてアクイス・デイトを刷新し、43.5・41.5・36.5mmへサイズを再編した。45.5mmのビッグデイデイトはこの新ラインに引き継がれず、現在はオリス公式オンラインでの取り扱いを終えている。生産終了の正確な時期は確認できていない。
出典
本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。
- 01 公式 Movements - Oris
- 02 専門メディア Sellita Caliber SW220-1