系譜と歴史
1. デュアルウィングの着想
複雑機構を備えた時計には、古くから一つの矛盾がつきまとう。カレンダーなどの表示を動かすたびに力が取られ、調速機構である脱進機とテンプへ届くエネルギーがわずかに揺らぐ。ジャガー・ルクルトがこの課題へ与えた回答が、2007年に発表したデュアルウィング機構である。時刻と複雑機構に、それぞれ独立した香箱と輪列を割り当て、両者が唯一の調速機構を共有する。時刻とストライキングの動力に別々の香箱を要するグランドソヌリやプチソヌリの発想を応用したもので、デュオメトルの名を持つ一連の時計はクロノグラフから始まり、スフェロトゥールビヨンなどへ広がった。
2. Cal. 381とカンティエーム・リュネール
Cal. 381は、このデュアルウィングをカレンダー時計へ応用したキャリバーである。2010年、42mmのデュオメトル・カンティエーム・リュネールに初めて搭載され、同年のTimeZoneのウォッチ・オブ・ザ・イヤーにも選ばれた。2012年には40.5mmに小さくした版が出ている。一方の輪列が時刻表示と脱進機を受け持ち、もう一方が日付と月齢、セコンド・フードロワイヤントを動かす。フードロワイヤントは1秒で1周しながら6回止まり、1/6秒の目盛を刻む秒針で、本機の象徴となっている。中央の秒針はリューズを引くとゼロへ戻り、押し戻すと動き出すため、時刻を秒まで正確に合わせられる。日付は10時位置のプッシャーで、月齢はケース側面の修正ボタンで合わせる。
3. 2024年の刷新
2024年のウォッチズ・アンド・ワンダーズで、デュオメトルは2007年の登場以来初めての大きな刷新を受けた。クロノグラフは一から作り直したモノプッシャーのCal. 391へ移ったが、カンティエーム・リュネールのCal. 381は機構を変えておらず、番号も初代と同じである。新しい世代では42.5mm×13.05mmのケースとなり、刷新後のコレクションで唯一のステンレススチールのモデルとなった。地板やブリッジの素材は、従来の無めっきの洋銀からロジウムめっきの真鍮へと改められている。