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CALIBER · CARTIER

1847 MC

自動巻 Automatic Analog

2015年、創業の年を型番に冠して登場した、カルティエの実用層を支える自社製自動巻

1847 MC
movement · 1847 MC
図: ムーブメント — WatchBase
OVERVIEW · 概要

Cal. 1847 MCは、カルティエが2015年に発表した自社製自動巻きムーブメントである。型番は創業年の1847年に由来する。振動数28,800vph (4Hz)、石数23石、パワーリザーブ40時間で、中央三針と3時位置の日付を備える。ボールベアリング式ローターによる両方向巻き上げ、両持ち支持のテンプなど、堅牢性を重視した実用本位の設計を採る。上位のCal. 1904 MCの下に位置するエントリー層の基幹キャリバーであり、クレ・ドゥ・カルティエでの初搭載以降、サントス、ドライブ、ロンドなど幅広い実用モデルに搭載される。ETA系ムーブメントからの自社製化を象徴する一台である。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerCartier
Reference1847 MC
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels23 石
Power reserve42 h
Movement ⌀25.6 mm
HandsHours, Minutes, Seconds
DateDate
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

自社製化への布石

カルティエが自社製ムーブメントの開発を本格化させた背景には、業界構造の変化がある。スイス時計産業では長く、スウォッチグループ傘下のETAが多くのブランドへ汎用ムーブメントを供給してきた。しかし2000年代以降、ETAは外部供給を段階的に絞る方針を示す。リシュモン傘下のカルティエにとって、競合グループへの依存は経営上の不確実要素であった。

この状況下、カルティエは2010年、初の自社製自動巻きCal. 1904 MCを発表する。複雑機構ではなく、日常使いの基幹ムーブメントを自社で持つという宣言であった。ラ・ショー・ド・フォンの製造拠点で、設計から量産までを内製する体制が整えられていく。

「最も身近な自社製」

Cal. 1904 MCが2つの香箱(ぜんまいを収める部品)を備える上位機であったのに対し、より手頃な価格帯を担う自社製キャリバーが求められた。その答えが、2015年のジュネーブサロン(SIHH)でクレ・ドゥ・カルティエとともに発表されたCal. 1847 MCである。

型番の「1847」は、ルイ=フランソワ・カルティエがパリで創業した年に由来する。「MC」はマニュファクチュール・カルティエを指すとされる。創業年を冠した事実は、この機がブランドの実用時計を支える土台として構想されたことを物語る。寸法をETA 2892-A2に合わせたのも、既存モデルへの置き換えを円滑にするための選択であった。

静かな普及

Cal. 1847 MCの展開は、派手な技術発表を伴わなかった。クレ・ドゥ・カルティエでの初搭載以降、カルティエは多くの実用モデルへ本機を静かに広げていく。タンク・ソロXLオートマティックのように、従来ETAベースのCal. 049を積んでいた機種が、いつのまにか本機へ切り替わった例も知られる。2018年に復活したサントス・ドゥ・カルティエ、ドライブ・ドゥ・カルティエ、ロンド系などが本機を採用する。

一部の批評家は、寸法も機能も汎用品と大差ない本機を、内製であること自体を語るためのムーブメントと評する。一方で、グループ外への供給依存を断ち、実用層まで自社製で固める戦略的価値は小さくない。Cal. 1847 MCは、技術的な目新しさよりも、マニュファクチュールとしての自立を体現する一台として位置づけられる。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

基本構成

Cal. 1847 MCは、直径25.6mm (11½リーニュ)、厚さ約3.8mmの自動巻きムーブメントである。振動数は28,800vph (4Hz)、石数は23石、構成部品は165点とされる。中央三針に3時位置の日付を備える、実用三針デイトの構成を採る。28,800vphは1秒あたり8回の振動にあたり、当時の実用機として標準的な高めの値である。高い振動数は外乱に対する復元力を高め、姿勢差による精度のばらつきを抑える方向に働く。寸法はETA 2892-A2にほぼ一致しており、同系ムーブメントを収めていたケースへ無改造で収まる設計となっている。

脱進機とテンプ

調速機構には、スイス・レバー式脱進機(アンクルとガンギ車でエネルギーを断続的に伝える機構)を採用する。テンプ(往復回転で時を刻む振動体)はグリュシデュール製で、三本アームの形状を持つ。ヒゲゼンマイ(テンプに復元力を与える渦巻きばね)は平ヒゲで、シリコン素材は用いられていない。

特徴的なのは、テンプを片持ちの受けではなく、両側で支持するブリッジ上に載せている点である。両持ち支持はテンプ軸のぶれを抑え、姿勢差や耐衝撃性の安定に寄与する。耐衝撃機構にはインカブロックを備える。

自動巻きと香箱

ローター(回転錘)はボールベアリング式で、両方向巻き上げに対応する。巻き上げには、爪を介して双方向の回転を一方向の巻き上げへ変換するマジックレバー式を用いる。これはセイコーが実用化した方式に連なるもので、従来の切替車(リバーサー)に比べ部品が少なく、堅牢性に優れるとされる。りゅうずを引くと秒針が止まるハック機能(ストップセコンド)を備え、秒単位の時刻合わせを可能にする。

動力源の香箱(ぜんまいを収める部品)は1つで、公式のパワーリザーブは40時間とされる。上位のCal. 1904 MCが2つの香箱を直列に連ねて48時間を確保するのに対し、本機は単一香箱で実用域を満たす構成を選んでいる。

仕上げと認定

Cal. 1847 MCは、エントリー層の実用キャリバーとして構想された。仕上げは機能本位で、上位のCal. 1904 MCに見られる装飾は控えめである。搭載モデルの多くはソリッドケースバックを採るが、パシャやロンド・マスト・ドゥ・カルティエなど一部にはシースルーバックの個体も存在する。

クロノメーターのような外部認定は受けていない。ただしカルティエは自社ラボで、精度と歩度の安定性に加え、耐衝撃・耐磁・経年耐性の試験を課しているとする。日差をおおむね-3〜+7秒程度と紹介する資料もあるが、公式の保証値ではない。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 2 本のリファレンス

This caliber appears in 2 references