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CALIBER · CARTIER

049 No Date

自動巻 Automatic Analog

ETA 2892-A2を基盤とした、カルティエの定番自動巻。日付機構を省いた時刻表示専用の一群

OVERVIEW · 概要

Cal.049 No Dateは、ETA 2892-A2を基盤とするカルティエの自動巻キャリバーであり、日付機構を持たない時刻表示専用の仕様である。毎時28,800振動 (4Hz)、21石、パワーリザーブ約42時間を備える。ETAの上位エボーシュとして知られる2892-A2は薄型で信頼性が高く、カルティエは自社製ムーブメント確立以前の基幹自動巻として広く採用した。バロン ブルー ドゥ カルティエ36やサントス100の時刻表示モデルに搭載される。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerCartier
Reference049 No Date
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels21 石
Power reserve42 h
Movement ⌀25.6 mm
HandsHours, Minutes, Seconds
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. ETA 2892-A2という基盤

049 No Dateの素性は、ETAの薄型自動巻系譜である2890系にさかのぼる。2892-A2は1990年代半ばに先代2892-2を改良する形で現れた上位版で、巻き上げ効率を高めている(導入年は資料により1994〜1996年とされる)。直径25.6mm、厚さ3.6mmの薄型設計は、モジュール追加の土台に適し、高級自動巻の標準的な基盤となった。ETAはこれを標準からトップ、クロノメーターに至る複数の仕上げ・精度グレードで供給しており、採用ブランドは用途に応じて選択できた。オメガのCal.1120やコーアクシャルCal.2500も、この2892-A2を起点として開発されている。

2. カルティエにおける「049」

カルティエは長く自社製造の基盤を持たず、ETAやヴァルジューのエボーシュ、あるいはリシュモン傘下メーカーの供給に依拠してきた。049はその文脈で、2892-A2にカルティエ独自の型番を与えたものである。日付つきの049に対し、本稿が扱う「049 No Date」は日付機構を省いた時刻表示専用の仕様で、ダイヤルを端正に見せる設計思想に合致する。バロン ブルー ドゥ カルティエ36やサントス100など、日付を持たないモデルに搭載された。

3. 自社製への移行と049の位置

カルティエは2010年に初の自社製自動巻Cal.1904 MCを発表し、2015年には日常使いの基幹機として1847 MCを投入した。1847 MCは直径25.6mmと2892-A2にほぼ等しく、同じケースへ無理なく収まるよう設計されている。背景には、スワッチグループによるグループ外へのETA供給制限がある。在来のエボーシュに頼れない以上、同等の置き換えを自前で用意する必要があった。こうして049は、カルティエがエボーシュに依拠した時代を締めくくるキャリバーとなった。両者の過渡期には、同一の参照番号で049と1847 MCが併存した時期もあったと伝わる。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

049 No Dateの基盤であるETA 2892-A2は、スイスレバー脱進機を備えた薄型の自動巻である。脱進機とは、アンクル(レバー)を介して輪列のエネルギーをテンプへ間欠的に伝え、歩度を一定に保つ機構を指す。テンプ(振動錘)は毎時28,800振動 (4Hz)で動く。4Hzとは1秒間に8回の振動を意味し、秒を細かく刻むことで外乱に対する安定性を確保する。2890系のテンプは旧世代のキャリバーより小径で、薄型設計と高振動数を両立させている。テンプにはニヴァロックス系のヒゲゼンマイ(調速を担うぜんまい状の部品)を組み、緩急針で歩度を調整する。耐衝撃機構を備え、日常使用に耐える実用性を確保する。

自動巻はボールベアリング式のローターによる両方向巻き上げを採る。2892-A2が先代2892-2から改めた最大の点は、この巻き上げ効率にある。ローター外周の面取りを減らして質量を増し、中間減速車を支える部分を支柱から石(ルビー)へ変更した。これにより日常使用で満巻まで届きやすくなったとされる。香箱(ぜんまいを収める部品)は単一で、約42時間という持続時間はその容量に由来する。小径のテンプは慣性モーメントが小さく外乱を受けやすいが、4Hzの高振動数がこれを補い、姿勢差を抑える方向に働く。石数は21石である。

厚さ3.6mmという薄さは、ダイヤル側へ各種モジュールを重ねる余地を生む。2892-A2がクロノグラフやワールドタイムの土台として広く使われた背景にも、この薄型設計がある。No Date仕様では、日付車と早送り機構を省く。時・分・中央秒の時刻表示に特化し、ハック機能(リューズを引くと秒針が止まる機構)は保持される。ダイヤル面に日付窓を持たないため、左右対称の表情を求めるモデルに適する。

仕上げは標準グレードに準じる。ローターやブリッジに装飾を施した個体も見られるが、高級時計のような手仕上げを主眼とはしない。2892-A2は構造が広く知られ、部品供給と整備性に優れる点でも評価される。クロノメーター認定は前提とせず、実用精度の範囲で供給された。巻き上げはローターによる自動巻のほか、リューズを介した手巻きにも対応する。確立した構造と入手しやすい部品は、長期にわたる維持を現実的なものとし、整備の現場で広く支持されてきた要素である。なお、049のローターは反時計回りに回り、後継の1847 MCと識別する手がかりとされる。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 2 本のリファレンス

This caliber appears in 2 references