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ROLEX · SERIES

Submariner

サブマリーナ

潜水のために設計され、ダイバーズウォッチの語彙そのものを定めた——1953年生まれの、自らが原器であり続けるシリーズ。

40 mm – 41 mm
01 — 概要 / SUMMARY

ロレックス サブマリーナは、1953年にダイバーズウォッチの原型として発表されたシリーズである。100m防水のオイスターケース、一方向回転ベゼル、視認性に振り切った文字盤——のちにダイバーズウォッチの標準仕様となる要素が、ここで定型化された。現行は日付なしのRef. 124060、日付付きの126610LN(黒ベゼル)と126610LV(緑ベゼル・通称スターバックス)、そして貴金属モデルから構成される。映画『007』に始まる映像文化との接続もまた、このシリーズを語るときの欠かせない側面である。

02 — STORY · 物語

Submariner(サブマリーナ)、これまでの軌跡

The story of this series
01

1953年、潜水を実用に変える

第二次世界大戦後、レジャーとしてのスキューバダイビングが普及し始めた1950年代初頭、腕時計に新しい役割が求められていた。水中で時間を読む。経過時間を計る。水圧と塩水に耐える。それまでの腕時計が持っていなかった機能を、一つの本体に統合する設計が必要とされた。

ロレックスは1926年にオイスターケースで防水機構を確立し、1931年にローター式の自動巻き機構を実用化していた。竜頭ねじ込み式のケースと自動巻きを組み合わせれば、巻き上げのために竜頭を引き出す回数を最小化できる。竜頭は、防水時計にとって最大の弱点だからだ。サブマリーナの基礎は、この二つの遺産の上に築かれた。

1953年、スイスの物理学者オーギュスト・ピカールの深海艇に特別仕様のロレックスが取り付けられ、3,131.8mの潜水を経て完動状態で浮上したと記録されている。シリーズ発表に先立つロレックスの公的な実証実験となった出来事である。同じ年、ブランパンも軍用ダイバーズウォッチ「フィフティ ファゾムス」を発表しており、この時代、複数のメーカーが同じ問題に対する解答を競っていた事実は記憶に値する。

02

初期Refの混沌、メルセデスハンドの定着

最初に市場に出たのはRef. 6204とされる。発表は1953年、正式公開は1954年バーゼル時計見本市。37mmケース、100m防水、Cal. A260、針はまだ細い「ペンシル型」で、文字盤の "Submariner" 表記も一定しなかった。同じく1954年に登場したRef. 6205では、いったん文字盤から "Submariner" の文字が消える時期があり、商標上の事情によるものと伝わる。

Ref. 6200では竜頭が直径8mmへと拡大される。グローブを着けた潜水者が水中で操作することを想定したサイズだった。後に「ビッグクラウン」と呼ばれるこの仕様と同時に、現在まで続く三叉のアワーハンド——通称メルセデスハンド——が初めて採用される。視認性のために針の形状を分け、暗所でも時針と分針を瞬時に識別できるようにする思想が、ここで定まった。

Ref. 6538(1956–1959年)はビッグクラウン期の集大成となった。200m防水、4ライン文字盤(チロノメーター仕様)、リューズガードを持たない素のケース。1962年公開の映画『007 ドクター・ノオ』で、ショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンドが腕に巻いていたのは、このRef. 6538であったとされる。プロデューサーのアルバート・「カビー」・ブロッコリの私物が、コネリーの腕に巻かれたのが経緯であったとも伝わる。映画のための偶然の選択は、結果としてサブマリーナを「タフネスとスーツの男の腕時計」という文化的位置に据え置くことになった。

03

5512から5513へ — 現代の顔の確立

1959年のRef. 5512で、サブマリーナは決定的な姿を得る。ケースに「肩」を持つクラウンガードが初めて備わり、竜頭が物理的に保護された。直径も40mmへ拡大される。5512はチロノメーター認定モデルだったが、1962年に同設計でCOSC認定を持たないRef. 5513が登場し、こちらは1989年まで27年間にわたって生産され続けた。サブマリーナ史上最長の現役期間である。

5513の長寿が意味するのは、デザインの完成度の高さだった。ケース、ベゼル、文字盤、ブレスレットに大きな改修を加える必要がなく、内部キャリバー更新と細部仕上げの調整でアップデートが完結する。文字盤はガラス調光沢のギルト印字から白印字のマット仕上げへ途中で切り替わるが、外形シルエットは生産終了まで揺らがなかった。「変える必要のない設計」という、ロレックスがその後も繰り返す姿勢が、ここで一度完成したのである。

04

デイト、シードゥエラー、そしてMilSub

1969年、Ref. 1680で初めて日付窓と「サイクロップス」と呼ばれる日付拡大レンズが導入される。実用性をさらに広げる更新だったが、純粋なツールウォッチを好む層からは賛否が分かれた。以後、日付なし系統(現行Ref. 124060系)と日付付き系統(現行Ref. 126610系)の二つの軸が、サブマリーナの基本構造として並走することになる。

シリーズが直面した次の課題は、飽和潜水という新しい潜水形態だった。ヘリウム混合ガスを呼吸する商業潜水士が浮上する際、時計内部に侵入したヘリウム分子が膨張し、風防を吹き飛ばすという事象が報告されていた。フランスの潜水技術会社コメックス(COMEX)との協業の中で、ロレックスは外部に気体を逃がす一方向バルブ「ヘリウムエスケープバルブ」を開発する。1967年、これを搭載したRef. 1665が「シードゥエラー」として独立。サブマリーナは飽和潜水という極端な領域をシードゥエラーに譲り、自らはレクリエーション潜水と日常使用に集中するという分業が、ここで確立された。

同じ時期、英海軍向けに納入されたRef. 5517(MilSub)では、固定スプリングバー、剣型針、60分フル目盛りベゼルといった軍仕様の改修が行われている。シリーズが軍と職業潜水の現場に立っていたことを示す変種として、現在も収集対象として知られる。

05

セラミックベゼル世代 — 116610の到来

2003年、サブマリーナ誕生50周年を記念して、Ref. 16610LVがアルミ製グリーンベゼルとともに登場する。後に「カーミット」と呼ばれるこのモデルは、サブマリーナ系で初めて黒以外のベゼルカラーを採用した量産機だった。

2010年、シリーズは大きな世代交代を迎える。Ref. 116610LN/LVから、ベゼルインサートがセラクロム(セラミック)へ全面移行する。紫外線による褪色を抑え、ほぼ傷がつかない素材は、実用ダイバーズウォッチとして大きな前進だった。同時にケースは「マキシケース」と呼ばれる肉厚なラグへと刷新され、視覚的な存在感が増す。グリーンセラミックベゼルにグリーンサンレイ文字盤を組み合わせたRef. 116610LV(通称ハルク)は、特にこの世代を象徴する一本となった。

06

126610世代、そして現在

2020年、シリーズは再び世代交代を迎える。ケース径は40mmから41mmへ拡大、しかしラグは前世代より細く絞られ、視覚的にはむしろ5桁参番時代のシルエットに近い均整を取り戻した。キャリバーは3230(日付なし)/3235(日付付き)へ更新され、毎時28,800振動(4Hz)、パワーリザーブは48時間から約70時間に延長されている。Chronergyエスケープメントとパラクロム・ヒゲゼンマイにより、磁気と衝撃に対する耐性が改善された。

現行ラインナップは、日付なしのRef. 124060(Cal. 3230)、日付付きステンレスのRef. 126610LN(黒ベゼル)とRef. 126610LV(緑ベゼル・通称スターバックス)、そしてイエローロレゾール、イエローゴールドの貴金属モデルから構成される。2026年に白金のRef. 126619LB(通称スマーフ)がカタログから外れたことで、現行ラインの構成はやや絞り込まれた。

2020年世代から、サブマリーナには大きな改修が加えられていない。これはむしろシリーズの本性を物語る。サブマリーナにおいて、変えるべきものは少ない。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

サブマリーナの設計思想は、「水中で時間を読む」という一点に絞り込まれている。この単一の要件に対する解答が、結果として70年にわたるシリーズの形を決めた。

文字盤の構成を見れば、その単純さが分かる。12時に逆三角形、3・6・9時に矩形、その他に円形のインデックス。視差を生まない単純な幾何学に、長時間発光する蛍光塗料(現行はクロマライト)を厚く乗せる。針はメルセデスハンドと呼ばれる三叉のアワーハンドと、矢印型の分針。暗所で時針と分針を一瞬で識別させるための形状である。装飾を削ぎ落とし、ただ「読めること」だけに最適化された画面構成と言える。

一方向回転ベゼルもまた、機能から導かれた意匠である。潜水経過時間を測るベゼルは、誤って逆方向に回って残り時間を過大評価することがあってはならない。だから一方向にしか回らない。2010年世代以降は素材がアルミインサートからセラクロム(セラミック)へ移行し、紫外線褪色や引っ掻き傷への耐性を獲得したが、目盛り構成と色のコントラストは初代から変わっていない。

ケースのプロポーションには、自制の哲学がある。サイズは長く40mmに固定され、2020年に41mmへ広がった際にも、ラグを細く絞ることで視覚的な肥大は回避された。同時代の競合と比べてみると輪郭は鮮明になる。ブランパン フィフティ ファゾムスの装飾的な厚み、オメガ シーマスター プロフェッショナルの軍用色を強めた個性、パネライ ルミノールの大型化と橋のあるリューズガード。それぞれのダイバーズウォッチが個別の方向に振り切るなかで、サブマリーナは抑制された均衡を選び続けてきた。

70年を経てもなお「サブマリーナ」と一目で識別できる理由は、ここにある。革新は素材と機構の側で進み、視覚言語は守られた。ダイバーズウォッチの原型を作った者の責任として、ロレックスは自らが設定した型をほとんど変えなかったのである。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1953-1955
Cal. A260 / A296
初代6204/6205用、bubbleback期自動巻。
1955-1979
Cal. 1030 / 1530 / 1560 / 1570
6538からスタート、薄型化と精度向上の世代。
1979-1988
Cal. 3035
Ref.16800用、クイックセット日付搭載。
1988-2010
Cal. 3135
16610系の主力機、22年使用された名機。
2010-2020
Cal. 3130 / 3135
セラクロム時代、無印用3130と日付付3135。
2020-現在
Cal. 3230 / 3235
70時間PR、Chronergy、無印と日付付の現行機。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1953-1955

初代Submariner誕生

6204 6205
世界初の100m防水ダイバー、Oyster構造、Cal.A260/A296搭載。
1955-1959

James Bond期

6536 6538
Cal.1030搭載、6538がBond通称、ビッグクラウン特徴。
1959-1989

ロングセラー期

5512 5513 1680
5512/5513で意匠固定、1969年Ref.1680で初のDate付投入。
1979-2010

300m防水とCal.3135

16800 16610 16610LV
16800でサファイア+300m化、16610でCal.3135搭載。
2010-2020

Cerachromと無印復活

116610LN LV 114060
セラクロム+Maxi化、114060でNo-Date復活、Hulk緑LV投入。
2020-現在

41mm化と新世代Cal.

124060 126610LN 126610LV
40mm→41mm化、Cal.3230/3235、緑LV Starbucks登場。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 4 モデル

4 references in archive