1953年、潜水を実用に変える
第二次世界大戦後、レジャーとしてのスキューバダイビングが普及し始めた1950年代初頭、腕時計に新しい役割が求められていた。水中で時間を読む。経過時間を計る。水圧と塩水に耐える。それまでの腕時計が持っていなかった機能を、一つの本体に統合する設計が必要とされた。
ロレックスは1926年にオイスターケースで防水機構を確立し、1931年にローター式の自動巻き機構を実用化していた。竜頭ねじ込み式のケースと自動巻きを組み合わせれば、巻き上げのために竜頭を引き出す回数を最小化できる。竜頭は、防水時計にとって最大の弱点だからだ。サブマリーナの基礎は、この二つの遺産の上に築かれた。
1953年、スイスの物理学者オーギュスト・ピカールの深海艇に特別仕様のロレックスが取り付けられ、3,131.8mの潜水を経て完動状態で浮上したと記録されている。シリーズ発表に先立つロレックスの公的な実証実験となった出来事である。同じ年、ブランパンも軍用ダイバーズウォッチ「フィフティ ファゾムス」を発表しており、この時代、複数のメーカーが同じ問題に対する解答を競っていた事実は記憶に値する。