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ROLEX · SERIES

Perpetual 1908

パーペチュアル 1908

チェリーニを継ぎ、ロレックスが現代に示したドレスウォッチ。社名が生まれた年1908を冠する第一作

01 — 概要 / SUMMARY

Perpetual 1908(パーペチュアル 1908)は、2023年にロレックスが発表したドレスウォッチのコレクションである。長く続いたチェリーニに代わり、新設の「パーペチュアル」コレクションの第一作として登場した。名は、創業者ハンス・ウィルスドルフが「Rolex」の名称を定め登録したとされる1908年に由来する。18ct イエローゴールド(Ref. 52508)、ホワイトゴールド(Ref. 52509)、950プラチナ(Ref. 52506)の三素材で展開し、2025年には専用ブレスレットの Settimo も加わった。新型キャリバー7140を、ロレックスとして異例の透明な裏蓋から見せる点でも注目された。

02 — STORY · 物語

Perpetual 1908(パーペチュアル 1908)、これまでの軌跡

The story of this series
01

なぜいま、ドレスウォッチか

ロレックスのカタログは、長くスポーツモデルとオイスター パーペチュアル、そして装飾的なドレスラインであるチェリーニ(Cellini)で構成されてきた。チェリーニはオイスターケースを持たず、薄型の貴金属ケースにドレスウォッチの役割を担わせた系譜である。ただしスポーツモデルと寸法やムーブメントを共有する面が強く、独自の輪郭を描き切れずにいたとの評価もあった。2023年、ロレックスはこのチェリーニを終了し、新たな「パーペチュアル」コレクションを立ち上げる。その第一作が1908である。「クワイエット・ラグジュアリー」が語られる時代に、派手さではなく仕立ての質でドレスウォッチを定義し直そうとした試みといえる。新コレクションを設定したこと自体が、今後この路線を広げていく意思表示でもあった。

02

「1908」という名

コレクション名と個別モデル名に共通する「1908」は、創業者ハンス・ウィルスドルフが「Rolex」という名称を考案し、商標として登録したとされる年に由来する。ブランドはこの年を社名誕生の起点と位置づけている。一方で設計上の着想源は、1931年前後に自動巻機構「パーペチュアル・ローター」を備えた初期のオイスター パーペチュアルにあるとされる。つまり「1908」は名の由来、「パーペチュアル」は機構と美意識の由来という、二重の参照を抱えた命名である。文字盤に並ぶ3・9・12のアラビア数字、6時位置のスモールセコンド、外周のレールウェイ型分目盛りは、こうした戦前のドレスウォッチの語彙を現代に引いたものである。

03

キャリバー7140と、透明な裏蓋

1908の核心は、この機会に新規開発されたキャリバー7140にある。自動巻で毎時28,800振動 (4Hz)、約66時間のパワーリザーブを持つ。高効率の「クロナジー脱進機」と、シリコン製の「シロキシ・ヒゲゼンマイ」を初めて組み合わせた自社製ムーブメントとされ、薄さに寄与している。ケース厚は9.5mmに収まり、チェリーニ世代から大きく薄型化したとされる。6時のスモールセコンドは間接駆動の構成を採り、必要に応じてセンターセコンドへ転換しやすい設計とも報じられる。そして何より、サファイアクリスタルの透明な裏蓋は現行のロレックスでは異例の試みであり、コート・ド・ジュネーブ装飾と18ct ゴールド製ローターを見せる。仕様を隠さず見せる姿勢は、このブランドにとって小さからぬ転換だった。

04

プラチナとギヨシェ

2024年、コレクションに950プラチナのRef. 52506が加わる。アイスブルーの文字盤には、ギヨシェによる米粒状(ライスグレイン)の立体的な装飾が施され、6時のスモールセコンドを起点に幾何学模様が広がる。分目盛りの外周には、同じくギヨシェによる縁飾り(フィレ・ソテ)が巡る。発表当初のイエロー/ホワイトゴールド版がマットで簡潔な文字盤だったのに対し、プラチナ版は文字盤造形そのものを主役に据えた一本である。光の角度で表情を変える盤面は、ロレックスが内製する文字盤製造の幅を示すものといえる。

05

Settimo、そして現在地

2025年、1908にとって初の金属ブレスレットとなる「Settimo」が発表された。18ct イエローゴールド製で、7列の極小コマを連ねた構造を持つ。専用設計で、コマの連なりが手首に沿い、ヴィンテージのジュエリーブレスレットを思わせる表情を与える。留め具には目立たないクラウンクラスプを備える。発表時点では、SettimoはイエローゴールドのRef. 52508にのみ用意された。これにより1908は、革ストラップのドレスウォッチから、より装飾性の高い一本へと幅を広げている。2026年のWatches and Wondersでは1908の新作は確認されず、2023年に始まったこのコレクションは、三素材とひとつのブレスレットという編成で現在に至っている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

1908の設計思想は、「足し算ではなく引き算」に要約できる。ケースは39mm径・9.5mm厚と薄く、磨き上げられた貴金属のなめらかな曲線で構成される。最も特徴的なのは二段構造のベゼルで、外周は細かなフルート(溝)、内周はドーム状に盛り上がる。これはオイスター パーペチュアル初期のフルーテッドベゼルを引きつつ、ドレスウォッチらしい穏やかさへ翻案したものである。リューズはリブ入りのドーム型(オニオン型)で、戦前の懐中時計から続く意匠の系譜にある。防水は50m防水(5気圧)にとどめ、装着感の軽さと薄さを優先している。

文字盤の構成は、徹底して可読性に寄っている。3・9・12のアラビア数字、面取りされたインデックス、外周のレールウェイ型分目盛り、6時のスモールセコンド。針はリーフ型を基調とし、過度な装飾を避ける。色は発表時のマット白・マット黒に始まり、装飾性はプラチナ版のギヨシェ文字盤へ集約させた。「派手にしない」判断を全体で貫きつつ、見せ場を一点に絞る構成である。

このコレクションが示した最大の方針転換は、透明な裏蓋にある。ケースを密閉し機構を隠すことを長く流儀としてきたロレックスが、ここでは機械を見せる側へ回った。仕上げの質を語ることがドレスウォッチの価値そのものだ、という判断がそこにある。

同じ貴金属のドレス系であるデイデイトが存在感と象徴性を担うのに対し、1908は薄さと簡潔さで別の輪郭を描く。同時代の薄型ドレスウォッチ群と並べても、ベゼルの二段構造とスモールセコンドの配置が、ひと目で1908とわかる「顔」を与えている。新しいコレクションでありながら既視感のある佇まいを持つのは、戦前のオイスター パーペチュアルという確かな参照点を抱えているためである。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2023-現在
Cal. 7140
クロナジー脱進機とシロキシを組む新型自動巻。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2023-現在

初代・ゴールド二型

52508 52509
イエロー/ホワイトゴールドで発表。Cal.7140と透明裏蓋を備える。
2024-現在

プラチナとギヨシェ

52506
950プラチナ。アイスブルーのギヨシェ文字盤を採用した一本。
2025-現在

初の金属ブレスレット

52508(Settimo)
18ctイエローゴールドの7列ブレス Settimo を追加。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 公式 1908 - Features 公式 · Rolex · 2026.10.11 閲覧 Rolex · 2026.10.11
  2. 02 公式 New Perpetual Padellone: When times align 公式 · Rolex · 2026.10.11 閲覧 Rolex · 2026.10.11
  3. 03 公式 The new face of excellence: Perpetual 1908 公式 · Rolex · 2026.10.11 閲覧 Rolex · 2026.10.11
  4. 04 報道 The Rolex Perpetual 1908 is a Return to Elegance 報道 · Esquire Singapore · 2026.10.11 閲覧 Esquire Singapore · 2026.10.11
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 1 モデル

1 references in archive