設計思想
1. 2017年、スティールの41mmが揃う
2016年に始まったデイトジャスト 41に、スティールだけで組まれた仕様が加わったのは翌2017年である。同じ年にはホワイトゴールドのフルーテッドベゼルを組むRef. 126334も登場した。スティールの41mmは、金のベゼルを持つか否かで二つに分かれたことになる。
126300-0001は、その126300のうちブルー文字盤とオイスターブレスレットを組み合わせた構成を指す。構成番号の最初に置かれた一本でもある。発表時の資料で前面に出たのは、ブルーのサンレイ文字盤を持つ126334であったと伝わる。本機は同じ系統のブルーを、金を用いないスムースベゼルで受け止めた素の姿である。
2. 116300から受け継いだもの、改めたもの
スティールのケース、スムースベゼル、オイスターブレスレット。この三つの組み合わせは、前任のデイトジャスト II Ref. 116300にもあった。本機は116300の構成を、そのまま次の世代へ移した位置にある。
変わった点の一つは、ブレスレットが選択肢になったことである。116300ではオイスターが唯一の設定だったが、126300ではジュビリーも選べる。同じブルー文字盤のジュビリー仕様は126300-0002として並ぶ。オイスターは既定の装備から、選び取る装備へと意味を変えた。
中身も入れ替わった。116300のCal. 3136が約48時間だったのに対し、本機のCal. 3235は約70時間を備える。クラスプも、セーフティキャッチ付きのオイスターロックから、より簡素なオイスタークラスプに改められたとされる。スポーツウォッチ寄りの装備を一段引き、デイトジャスト本来の性格へ戻した変更と読める。
3. 装飾を削ぎ落とした基準点
デイトジャスト 41は、素材、ベゼル、ブレスレット、文字盤の組み合わせで性格を変える。本機はそのすべてで簡素な側を選んでいる。スティール、スムースベゼル、オイスター、バーインデックス。色を担うのは文字盤のブルーだけである。
ブルーはブラックやシルバーより色味が立つ。一方でサンレイ仕上げにより、光の角度によって明るい青から紺へと濃淡が移ろう。華やかさを文字盤一枚に預け、ほかの要素は控えに回る。この配分が、スーツにも休日の装いにも収まる振れ幅を生んでいる。
4. 同じ骨格から広がる派生
126300の構成は、発表後も文字盤を中心に増えていった。オイスターとブルーの組み合わせを保ったまま、フルーテッドモチーフ文字盤を載せた126300-0023がのちに加わる。さらに同じオイスター仕様で、グリーンのオンブレ文字盤を持つ126300-0025も登場した。いずれも本機と骨格を共有し、文字盤の表情だけを変えた派生である。表情の選択肢が増えるほど、無地のブルーに徹する本機の立ち位置は輪郭を増していく。
意匠分析
41mmのケースは、904L系統に属するロレックス独自のオイスタースティール製である。ミドルケースは一体成形で、裏蓋とリューズはねじ込み式をとる。リューズのツインロックは、チューブ側とリューズ内部の2か所で密閉する構造である。ダイバーズモデルの3重構造トリプロックに対し、一段簡素な設計となる。
ベゼルはなだらかなドーム状のスムースベゼルで、全面が鏡面に磨かれる。フルーテッドベゼルのような刻みを持たないため、反射は途切れず、一本の光の輪として文字盤を縁取る。金のベゼルを持たないことで、外装はスティールだけで完結している。
文字盤はブライトブルーのサンレイ仕上げである。中心から放射状に細い筋を刻み、PVDまたは電気めっきで色を載せ、薄いワニスで仕上げる。正面では明るい青だが、傾けると紺に沈む。アワーマーカーは植字のバーインデックスで、18Kゴールド製とされる。116300より細身になったマーカーは、文字盤の余白を広く見せる。マーカーとバー針にはクロマライト夜光が入り、暗所では青く光る。
ブレスレットは3連のソリッドリンクで組まれたオイスターである。中央の駒はポリッシュ、両側の駒はサテンに仕上げられる。スムースベゼルの鏡面と中央駒の輝きが、手首の上で縦に連なる。クラスプはオイスタークラスプで、工具なしで約5mm延長できるイージーリンクを備える。手首の状態に応じて、その場で長さを調整するための機構である。
ムーブメントは自社製のCal. 3235である。2015年にパールマスター39で初めて搭載された、新世代の自動巻きキャリバーにあたる。ニッケル・リン合金製のクロナジー脱進機と、常磁性合金のブルー パラクロム・ヒゲゼンマイが、磁気の影響を抑える。耐震装置はパラフレックスを備える。精度はケーシング後に日差-2〜+2秒で検査される。この検査を含むSuperlative Chronometer(高精度クロノメーター)認定を受ける。公認クロノメーター(COSC)の基準である日差-4〜+6秒より、許容幅はその半分に満たない。
系譜と歴史
126300-0001は、2017年3月にスイスで開かれたバーゼルワールドで発表された。デイトジャスト 41のスティール仕様Ref. 126300の一構成である。同時に発表されたのは、ホワイトロレゾールのRef. 126334である。発表時の126300の文字盤は、ブルー、ホワイト、ブラック、シルバー、アンスラサイトが中心であった。ローマ数字の設定はまだなかった。ブレスレットはオイスターとジュビリーの2種で、いずれもオイスタークラスプとイージーリンクを備えた。オイスター仕様の本機と対になるジュビリー仕様のブルーは、126300-0002である。
発表当初、ケース素材は904Lスティールと表記されていた。のちにロレックスは自社のスティールをオイスタースティールと呼ぶようになり、本機の表記もそれに改められた。
2022年、同じオイスターとブルーの組み合わせにフルーテッドモチーフ文字盤を載せた126300-0023が加わった。ジュビリー仕様は126300-0024である。同年には、ミントグリーン文字盤の126300も登場したとされる。
2026年4月のWatches and Wondersでは、グリーンのオンブレ文字盤が加わった。オイスター仕様が126300-0025、ジュビリー仕様が126300-0026である。同時期にローマ数字文字盤の意匠も改められたが、41mmの技術仕様に変更はないと報じられている。バーインデックスを持つ本機は、この改訂の対象外である。
同じ2026年、ロレックスはSuperlative Chronometer認定に3つの基準を加えた。耐磁性、信頼性、持続可能性である。2015年に定めた精度、防水性、自動巻き、パワーリザーブの基準を補うものである。以後に製造される本機も、この基準の対象になるとみられる。
2026年9月時点で、126300-0001はロレックス公式サイトに掲載される現行品である。発表から9年あまり、生産終了の告知はなく、公表仕様に目立った変更も確認されていない。